ムラヤマさん、コメントありがとうございます。
確かに「写像」(function)は自然言語の会話ではあまり使わない言葉かもしれないですね。どんな言葉がどんな環境でジャーゴンになりうるのか--興味深いテーマだと思いました。
「もて論」のようなことを考えるときにどうも引っかかることなのですが、科学の世界のジェンダーバイアスというのは、一体どうなっているのでしょうか。例えば、これから科学や数学の世界を志そうとする若い人たちにとっての「日本人」かつ「女性」かつ「科学者または数学者」のロールモデルって存在するのでしょうか?
「日本人」かつ「男性」かつ「科学者または数学者」のロールモデルや成功譚は山のようにたくさん存在します。しかし、それなら同じ割合の「女性」のロールモデルがいても全然おかしくない。そうですよね?しかし、実際にはそのようなロールモデルは極めて少ない。
欧米には、「女性」かつ「科学者または数学者」で人気のある人がいます。例えば、コーネル大学の教授でMoon Duchinという女性の数学者がYouTubeで数学の面白さをユーモアや親しみやすさを交えながらわかりやすく伝えていて、素敵だなと思いました。Moonさんは動画のなかでFelix HausdorffとEmmy Noetherという、Moonさんの考える二人の偉大な数学者の名前を挙げています(僕はこの二人は渾身の選出だと思いました)。こうやって、アメリカのトップ大学の教授が、男性のロールモデルも女性のロールモデルもいっぺんに挙げることができる。これはありがたい。是非真似したい能力です。Moon教授と同じようにして、バイアスのせいであまり注目を浴びていないけれど、本当はたくさん学ぶことがある「成功譚」を他に見つけることは自分にもできないだろうか?ということについて議論して考えている人はELTE(ブダペスト大学)にもいました。そういう人たちと話すことができたのは僕にとってもよい経験だったと思います。
またフィンランドでは、(日本と同じように)STEM分野の男性支配が続いているため10代の子供を持つ親のステレオタイプなジェンダー観が話題に上っています。まさに差別や偏見によらないロールモデルが必要だという提起です。
素直さと感性を大事にすることにもちろん僕は賛同します。そして、数学の「美しい」がわかる人は、多様なロールモデルが等しい割合で存在する社会にいると思います。
(参考)
'OLIV project.' https://blogs.helsinki.fi/olive-project/2023/01/26/panel-discussion-women-in-stem/.
'数学者だけど質問ある? | Tech Support | WIRED.jp'. https://www.youtube.com/watch?v=SIUl9Mx51W4.