早く帰りたい、と真剣に思うわけなのだが、そう思う理由は、つまり、僕が相当なマヌケ扱いをここで受けるからである。
「マヌケである」ということと「マヌケ扱いをする」ということは違う。「マヌケ」というのは「事実」だが、「マヌケ扱いをする」というのは恣意的なラベルである。「マヌケ扱いをしない」ということによって人は徐々にマヌケではなくなることもあろう。しかしながら「マヌケ扱いをする」というのはそいつがますますマヌケになるように呪いをかけるということである。
残念なミスマッチであるが、僕はここの人によほどのマヌケに見えているらしい。繰り返し言うが、これは実際に僕がマヌケであろうとマヌケでなかろうと関係なく、マヌケ扱いを受ける環境という意味であり、つまり僕はここに居ても仕方がないということである。
そういう環境はどちらにしろ存在する。僕にとっては中学・高校が「いつもマヌケ扱いされる場所」だったし、ブダペスト大学も「いつもマヌケ扱いされる場所」である。だから僕は大きく距離を取る。そんな場所には居たくないから。
やはり他人と関わる時に一番大事なのは敬意だなと思う。