12月22日(日)クリスマスとルリユールさんとの再会


 何度も何度も読んだので、ばらばらになってしまった大好きな植物図鑑を製本し直す「本のお医者さん」こと『ルリユールおじさん』という絵本を子供の頃に読み、なんと美しい話だろうと感動した覚えがある。

 ほんの小さいときに読んだかすかな記憶から、それは外国の絵本を翻訳したもので舞台は日本のどこかだと、今まで思っていた。ところが、お友達のJさんとKalákaというバンドのクリスマス・コンサートに行った帰りにおうちにあがらせてもらってモフモフの猫ちゃんを撫でながら(猫成分摂取!)製本のお話になったときに、『ルリユールおじさん』を知ってるかどうかと聞こうと思ったのだが、描いたのは日本人で、舞台はパリの路地裏なのでうまく紹介できなかった。

 彼女の手作りのbookbindを見せてもらったときにrelieurをなんとなく思い出したのである。ルリユールrelieurはフランス語で「製本」の意味。絵本の絵の方ばかり見ていたので言語の方にそんな意味があるとは知らなかった。ブダペストで本物のルリユールとの思いがけない邂逅。

 ヨーロッパにおけるルリユールとは貴族たちのための工芸品のようだ。中身を読むというより観賞用なのかもしれない。すると、「直してまた読む」という文脈でルリユールを解釈するというのはかなり日本的な解釈の仕方かもしれない。

 一生懸命読んでばらばらになった本は、また縫って、もっと一生懸命読めるようにアップデートしていくというしぶとさ。虫の魂百までって言いますよっ。

 今年は、そんな早めのメリー・クリスマス。