海賊は奪った宝の価値をわかっているのだろうか。奪った宝の価値をわかって奪ったのか、それとも「なんとなくいいなあ」という直感で奪ったのか。
日本のような環境ではあまり思い切ったことをする必要はないから、上品に構えていればそれで結構。むしろ普通以上に頑張ってみせることは下品ですらある。
しかしブダペストの文化は日本文化と同じように発展してきたという訳ではない。全員がそうだというわけではないが、ブダペストでは海賊的な気質が発達してきた。今のところ僕にはそう思える。
それはただの略奪ではない。ちゃんと奪ったものの価値をわかっている。もとの所有者よりもわかっているかもしれないほど価値がわかっていて、ねらいを定めて鮮やかに奪う。それはもはや「奪う」という動作ですらなく、宝物が向こうからやってきたのだとすら言える。そんな現象がギリギリ存在しているように思える。(でも、海に面してないのに、どういうことなのでしょうか)。
そのような海賊的な人を前にして僕はなんと言えばいいのか正直よくわからない。ただ「すごいですね...」と思う。