教員が明らかに誤っていることを言っているときや、不当な理由で考えを否定してきたとき、僕が適切な反論をすると、しばしば教員は「ハァアア??」と返事をして反応する。まるで僕の頭がおかしいかのように。まるで僕の常識を疑うかのように。なかなかのトラウマものである。
戯曲の場面設定について、情報を捕捉したとき。音韻論の基本的な定義を説明したとき。テクストの背景にあるギリシャ神話を挙げたとき。彼らの「ハァアア??」(あるいは「フゥウウン??」)は発動する。示唆するところのメッセージは一様である。
「オレがオマエを査定するんだよ」
別にこのような威圧的態度はヨーロッパ特有のものではない。日本にも似たような人はいる。ただ、「ハァアア??」みたいな言い方は滅多にしないけど。
別に僕は体制批判をしたいわけでもなければトラブルを起こしたいわけでもない。間違っているから間違っていると指摘しただけである。「オイ、こいつのいうことに賛成するやつは他にいるか?いないだろ?ほら、オマエが間違ってんだよ」と他の受講生に呼びかけ、あからさまにイジメる教員もいる。っていうか、彼らがやってることはほぼ「差別」の定義そのものって感じなんだけど。
まず公平に行って、博士号を持っている教員とついこの間英文学を専攻することに決めた僕とでは、間違いを犯す確率は僕の方が圧倒的に高い。にも関わらず、僕は教員の間違いをものすごく心配しながら講義を受けることになっている。でも、僕が一番心配しないといけないのは僕自身の間違いのはずである。これはどうしたことだろう。「ここは学べる環境なのだろうか」と心配せざるを得ないのはこういう所以である。
こちらとしては、一応「差別してくる人はいない」「教員は学生の属性に関わらず教育する」という前提で留学に来ているのである。このような無礼がある以上、そうもいかないらしいので、いそいそと、帰国の準備をしている。
本当はいい人なのかもしれないですけどね。でもあんまり社会性が見受けられないので...。