ハンガリーに戻りブダペストに再び滞在することになった。日本を離れると味噌や豆腐や梅干しなどが食べられなくなるのは名残惜しいが、それは我慢。すでに残暑とはいえ、ハンガリーでも八月・九月は暑い。エネルギー消費を抑えて温暖化対策をとった方がいいと思う。とにかく暑さはピクルスを食べて対策。ピクルスは美味しい。ピクルスを食べると暑さに強くなる。ピクルスは程よくジャンクな食べ物だというところもいい。トマト、オリーブ、きゅうりなど様々な野菜を漬けたピクルスを齧って、今年の夏を乗り切ろうと思う。
ブダペストにはリスト・フィレンツェ音楽大学という世界的に評価の高い音楽大学があり、近くを通りかかったので立ち寄ってみると、偶然にも予約の必要ないオープンのイベントが行われていた。様々な国籍の50人以上の歌手がそれぞれオペラのアリアを歌うというイベントで、せっかくなので一時間半ほど聴いてみた。聴いていると、すごい!と歌手のすごさがわかるような気もしたが、技術の巧拙は素人の僕にはそれほどよくわからない。一方で歌手の表情変化があまりにもシュールなのでツボにハマってしまったのだが、歌っている人は真面目に歌っているのだろうから必死で無礼をこらえた(どうしてあんなに面白い表情をしていたのだろう。それとも僕が旅疲れのせいで箸が転んでも面白い精神状態に陥ってしまっていたのだろうか)。アリアを聴いたら「よーし、ブダペストで学ぶぞー」という気持ちになった。今度はちゃんとした歌劇場の演奏を聴きに行ってみたい。
去年の留学では何が何だかわからない混乱のうちに留学生活を過ごしてしまったが、今回はハンガリーで暮らす人々の傾向や考えやが以前の自分よりよく見えるようになった気がする。どんな人も医学的に言えば同じ臓器を備え、同じ病気や怪我に対して弱みのある人間である。そう考えれば、表面上の違いを恐れることもないと思う。