9/21(木) 留学生はなぜファシズムに陥るのか

 こんなことを言うと留学生たちをみんな敵に回しかねないけど、僕の知る限り、留学生の多くはいとも簡単に、あっという間にファシズムに陥る。権威主義的な言動をするし、他の国から来た人について興味があるふりをしていても、国境を超えた高度な理解をするつもりはない。ファシズムに抗う心的耐性を持っている留学生はものすごく少ないと思う。どうしてそうなるのかというと、僕は留学生が「正当化された少数派」というポジションによって利益を獲得しようとしているためだと思う。
 アメリカではトップ1%が総資産の30パーセントを握る。そういう少数の者たちが利益を独占するという状態を防ぐために、私たちは「何もしない」という手段によって少数派に抗うことができる。利益を独占する少数の者たちは、常に多数派による貢献を必要としているからだ。多数派が少数派に資源を支払わない限り、少数派は結局のところ利益を獲得できない。だから多数派は少数派を直接的に攻撃しなくても、「何もしない」ということによって、少数派に利益が集まることを防ぐことができる。
 留学生は自らを「何かしている人」というポジションに置くことに躊躇しない。留学するためには語学試験を受けたり面倒な書類の手続きをしたりするし留学生は自分が「何かしている」「行動している」と思い込みやすい。ところが、これは躊躇しないといけないことなのである。これはグローバリゼーションの罠なのである。「何かする」ということは、少数派に利益を集中させることにいとも簡単につながるということを忘れてはいけない。
 留学する人は少数派であってはならない。教室の自分以外の人たちは、みんな自分とは人種も違ううえに、受けてきた教育も慣習も違う人たちだ。外国では、自分一人が日本人だ。しかし、それにもかかわらず、自分は多数派なのだ。留学する人は決して孤高の戦士ではない。留学する人はどこにでも味方を見つけることができる。そういう認識が大切なのだと僕は言いたい。