モビィリティの利便性vs.シュア争いの行方

 以前、電気自動車について書かせていただきましたが、その続きを書いてみました。ネットやCNNのニュースからピックアップしてまとめてみました。新たな情報が日々、発信されるため期間限定の短命な内容であることをご海容の上お読みください。
 ありがちなんですが、「失って初めて、そのありがたみを知る」と感じています。
 その理由は最後に...。
 過去の事例を紐解くと、「モビリティ・イノヴェーションを制するものは経済を制する」という事実はよくご存知の通りですが、古くは帆船から汽船のギリシャの海運王アリストテレス・オナシス、荷車から鉄道のコーネリアス・ヴァンダービルト、馬から自動車のヘンリー・フォードと、時代時代でパイオニアが現れ、大富豪として君臨し世界経済を牽引してきました。
 そして今、ガソリンから電気へのシフトの真っ只中。その過程において、電気自動車の最大の欠点である充電システムに大変革がもたらされつつあります。すなわちカートリッジ式のバッテリー交換システムの実用化と普及です。
 以下のURLは、YouTubeに挙げられたNIOのカートリッジ型のバッテリー交換の解説動画です。
 https://youtu.be/kBY6nkkyD7M
 わずか5分間ほどでバッテリーの交換が完了してしまいます。
 中国の自動車メーカーのNIOは18年にステーションの整備を開始し、22年末までに中国で1300カ所に設置しましたが、今年中に2500箇所に増設すると発表。インフラの整備も着々と進みつつあります。
 世界経済を回していくためのモータリゼーションが、電気自動車へのシフトしていくことに異論を唱えるひとはいないでしょう。ステーションの性能も段階的に改良されており、現行のシステムでは約5分で充電済みの電池に交換できるのです。
 大容量電池を搭載した通常のEVの場合、高出力の充電器でも充電に1時間以上(家庭用200vだと8時間)の充電時間かかりますが、交換式ならガソリンスタンドでの給油と変わらない時間で充電できる。まさに画期的です。
 さらに、車両コストの3割程度を占めるといわれる電池をサブスクリプション形式で提供することで、EV本体の初期費用を低減できる利点も大きい。NIOは23年に中国で1000カ所のステーションを新設するとともに、昨年から始めた欧州でのインフラ整備も加速すると伝えられています。
 交換式ステーションの展開に取り組む企業はNIOだけではありません。
 中国でNIOに続く規模のステーションを展開する奥動新能源(Autlon)は、自社製品のオーナー向けにステーションを展開するNIOと異なり、自動車メーカー各社と連携し、幅広いブランドのEVが利用できるステーションを展開しています。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/nio-aulton-geely-a-look-into-chinas-ev-battery-swapping-big-3-ja/?amp
 米国ではENEOS(エネオス)も出資するスタートアップ企業のアンプルが、ウーバーのライドシェア車両向けのステーションをサンフランシコで運営中。
 一方、日本では、いすゞが伊藤忠商事、ファミリーマートなどと交換式電池を搭載したトラックの実証実験を22年11月に開始。ホンダは23年3月、「N-VAN」に交換式電池を搭載したコンバージョンEVを公開。日本では二輪が中心となって普及が進み始めている交換式(企業向け二輪では実用済み)ですが、四輪への適用も一部で検討されています。
 そして、ここでしっかりと把握しておくべきファクターが自動運転システムの動向です。
 AIが、頻繁にネット上の話題になる昨今ですが、Chat GPTなどの生成AI市場の10倍の規模の可能性のあるといわれるのが自動運転の市場。自動運転の市場規模は2030年に約150兆円に達するとも予測されており、生成AIの約10倍の市場規模が予測されているそうです。現在、自動車メーカーも各社、必死で自動運転実用化の取り組みに励んでいる現状が見て取れます。
 ゼネラルモーターズは2023年3月7日、次世代の先進運転支援システム(ADAS)「Ultra Cruise」を開発中であると明らかに。
 フォード・モーターは3月2日、自動運転支援システムの開発を手がける新会社を設立したと発表。
 テスラも、年内に完全自動運転技術をローンチする可能性があると発表。
 このように自動運転の話題には事欠きません。
 また自動運転時代の到来を目指す企業、米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているMobileye(モービルアイ)の上場は2022年の米国上場案件で最大規模となりました。
 日本企業の株式会社ヴィッツは自動運転関連の取り組み発表後、株価が急騰し1日で8.1%高になるなど、今世界中で注目されているのです。(注2
 エヌビディア(注1)が出した予測ではEVよりも自動運転の市場規模の方が2倍以上大きくなるだろうと予測されています。
https://www.youtube.com/watch?v=cJHi0wbyUBw
その理由として、
・今後世界中で高齢化が進み、高齢者の運転のハードルが高くなること。
・世界の人口増加に伴い、車の需要も増すこと
・事故の減少、渋滞の緩和
 この3点を考えるだけでも、自動運転は、さらにどんどん利用・普及していくことに異論を唱えるひとはいないでしょう。現在、自動車の自動運転システムに関しては、中国が先陣を切っていると言って間違いありません。以前は日本のお家芸であったはずの自動化の分野での復活を期待したいと願ってやみません。
 最近、カフェでひとり、スマートフォンや雑誌を見る時間が増えました。というのも、諸事情あり自宅を売却。取り付けていた200V充電器が無くなり、高速充電器のあるディーラーで充電する間、近くのカフェに行かざるを得ないからです。
 個人的なことになりますが、実は日頃の足として15年落ちの古いガソリン車を購入しました。逆行じゃないとの声が聞こえてきそうですが、日々のニーズと時間とのバランスを考えた上での答えがこれです。
 この2年ほど自動車で走っていて、ガソリンスタンドの価格掲示に目がいかなくなっていたのですが、スタンドの数字を追いかけています。さらに高騰するガソリン価格に驚くばかり。
 エネルギー転換の過渡期がいつまで続くのか。ドローンによる空飛ぶクルマの実用化も時間の問題となっている現在、これより先、モビィリティ(mobility)の動向から目が離せません。

注1:
NVIDIA RTX™ と NVIDIA Omniverse™ は、世界中のプロフェッショナル、クリエイター、開発者、学生がクリエイティブ ワークフローを強化し、メタバース アプリケーションを構築、運用、接続するための性能を提供
注2:
日本の自動運転関連銘柄の株価が急騰した。その企業とは株式会社ヴィッツで、5月24日の株価は前日比8.18%高の1,150円となった。
 同社などが取り組む仮想空間ソリューション「WARXSS」が、経済産業省と国土交通省が主導する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」(RoAD to the L4)における取り組みで活用されたことが好感された。