だから映画はやめられない
9月14日
観世会。
先生が能楽「班女」を舞わはるので、観にいく。
後見が家元だった。
先週の歌仙会で「班女」の謡をやったところなので、なじみやすい。
綺麗だった。
最後の扇を見せ合い確かめるシーンは感動してしまった。
単純かもしれないが、能楽でも結構楽しめるんです。
昔は、とろくさくてつまらないと思っていたんですが(若かったんでしょう)。
はあ、もう授業がはじまる。
厳しい宮仕えの日々にもどります。
9月13日
前回はAO入試ガイダンスのために、参加できなかったので、今回はオリエンテーションと重なったが、同僚に泣きついて仕事を頼み、研究会に参加させてもらうことができた。
久しぶりに、頭を使う雰囲気に。
勉強になる。
と同時に、4月に発表して以来、なにも進展していない自分が恐ろしい。
報告を書かないといけないのに。
気を引き締められた。
9月7日
歌仙会。
付焼刃的に、特訓、特訓で8月末から9月初めにかけてバタバタと稽古してもらったおかげで、なんとか間違わずに終えた。
仕舞は「三輪」。大会では舞囃子を舞うが、とりあえず現段階は仕舞。
これから神楽をまた思い出して御稽古しなくては。ああ、完全に忘れている。
謡は、「熊野」のツレと「班女」のワキツレ。あとは地謡。
大会では「熊野」のシテを謡うので、祖母がつとめたシテの謡を一生懸命聞いていた。
結構難しいぞ。
まあ、無事に済んでよかった。(2月の新年会は倒れてしまったからなあ)。
ほっとした。
9月3日
『スカイクロラ』を観にいきました。
個人の感想ですが、つまらない。
あまりにもつまらなくて、途中寝てしまいました。
そういえば、スクリーンでアニメを観るのは、『AKIRA』以来なので、かなり久し振り。
普段は、スクリーンで実写の映画を観るのは、モニターで観るよりも楽だし、銀幕は大きくてとても好きなのだが、今回は違った。
光がきついというか、デジタル?CG?よくわからんが、とにかく目が痛くなって始まって5分もたたないうちに、気持ち悪くなってきたのだ。
それでも1時間10分ほどは頑張って見ていたのだが、もう話は見えたし、シーンも話のくだりも繰り返されるので、飽きてきて30分ほどうたた寝。
大事なラストシーンへのところは不思議とちゃんと起きて、おそらくキーと思われるセリフは逃さずに聞きました。(書くと、観ていない人に悪いから今は書かない)。
一応一緒に行った人に寝ていた間のシーンと物語を確認したけれど、やはり思っていたとおり。
なんかねえ。
飛行機の戦闘シーンはいいんだけど、悪意を感じるというか、わざとやっていることが妙にあわないというか・・・
まあ、個人の嗜好ですから。
8月26日
はじめての北海道から帰りました。
摩周湖は霧どころか大雨だし、天気は悪い、何といっても寒い。
でも、知床五湖を歩くこともできたし、モエレ沼公園もたのしかった。
まあ、一番エキサイティングしたのは、網走でしたが。
車の運転がさすがに疲れた。
8月14日
ようやく、石井輝男監督「網走番外地」シリーズ10作品を見終える。
面白かった。
全作に出てはいないが、待田京介はやっぱりいい。
そして、これはアラカンの映画であった。
無茶なご都合主義といい、フィルムの使い回しといい、プログラム・ピクチャアばんざい!
「網走番外地」の歌もすっかり覚え、これで北海道への準備は万端。
各作品に思い入れがあり、書きたいこともあるが、まあそのうちに。
返還前の沖縄ロケはどれぐらいやったんだろうか?
高倉健も若い。
さっきも書いたばかりやけど、やはり「八人殺しの鬼虎」親分があまりにもかっこいい。
あらためて、嵐寛寿郎という役者の偉大さを思いました。
素晴らしい。
8月9日
二日間にわたるオープン・キャンパスが終了。
やっと夏休み。
疲れた。
8月7日
昨日からばたばたで東京へいって帰ってきた。
久しぶりに、お世話になっている先生にお会いし、東京へ就職した学生にも会え、楽しかった。
学生との夕食を終えてから、お世話になっている先生と大人の時間へ。
ゴールデン街へゴー!
本当にこの街は面白い。(まだまだ一人ではようきやへんけど)
楽しかった。
8月4日
毎年の恒例で、夏期ゼミナールに参加。
今年のテーマはずばり黒澤明。
ラインナップは『隠し砦の三悪人』『用心棒』『蜘蛛巣城』『七人の侍』『椿三十郎』『天国と地獄』『姿三四郎』『野良犬』。
改めて、黒澤はスクリーンで観る映画だと思う。『七人の侍』と『天国と地獄』を同じ日に観ると、面白いのだが、長い。重たいというと少し違うのだが、どう言えばいいのか、良い意味で濃い。
あれは、DVDでちっちゃい画面で観るものではない。
一番感動したのは、『隠し砦の三悪人』における光の加減だ。
あの影の入り具合は、今まで思い込んでいた場面がまるで違って見える。
ちゃんとフィルム(35mm)で観たせいか、それとも思い込みかわからないが、デジタルにするとあの陰影が殺されてしまうような気がする。
レコード派の嘆きと共通するアナログへの郷愁なのかもしれないが、私はアナログ派なのだ。(単に機械音痴という説も)
久しぶりに見て面白かったのは『姿三四郎』。
それから高堂国典の演技(さまざまな作品すべて)。もちろん伊藤雄之助の怪演も。
うっかり『七人の侍』のラストシーンを『荒野の七人』とごっちゃにして思い込んでいたことにも気付かされた。
記憶なんてそんなもんだ。私の中では木村功がちゃんと村に残るという台詞を言っているシーンがあるのだから。
シンポジウムでは、岩本憲児先生に初めてお会いする。
少し引っかかっていた疑問が、シンポジウムでの発言を聞いて腑に落ちた。
黒澤研究をしているわけではないというと言い訳だが、単に勉強不足で、その指摘をしている論文を読んでいなかった私も悪い。
岩本先生から学んだのは、要するに黒澤は「過剰」だということ。
納得。だから、『蜘蛛巣城』のようなシンプルを極める(「見立て」に頼る)能楽形式は、どことなくしっくりこない。別に『蜘蛛巣城』が失敗作だといっているわけではない。
しかし、能楽をかじっているものとしては、『虎の尾を踏む男たち』に比べると、違和感というか、なんか消化しきれていない気がするのだ。
それから、今回まとめて黒澤の作品の一部を観たが、ひとつ思ったのは、北野武は黒澤映画の影響をかなりつよくうけているのではないかということだ。
北野武作品をすべて網羅していないが、思い返せば、なんとなく黒澤作品のにおいがする。
確か二人の対談記事を昔読んだ気が・・・(そのフランス語版も一緒に挑戦したような)
浅草という場が北野武に及ぼしている影響はもちろんあるのだろうが、映画に関してはどことなく黒澤作品を感じる。(たとえば、浅草で活躍し、映画でも活躍したエノケンの匂いはそれほどでもない。)
黒澤研究者である若手の橋本君の意見も非常に面白かった。
参考になります。
ああ、だから映画はやめられない。
そして、今日は映像学会中部支部会があり、またまたテーマが「映画」。
アン・リーについての講演も興味深く、思いつきで申し訳なかったがいろいろ質問させもらう。
でも、『ラスト・コーション』はまだ見ていないので、ちょっと乱暴な質問だったかもしれない。
他にも、『キクとイサム』についての言及。映画に表出した身体の分析。
これは、私にとっても興味のある問題であるが、まだまだ着手し始めたところなので、参考になる。
大量生産された黄金期の日本映画。
発掘していけば宝の山だなあ。(観るのも大変だけど)
時間がほしい。
7月27日
今日は、雷蔵映画祭も終わるので、『新源氏物語』を観てから名古屋に戻ることに。
雷蔵の光源氏は美しい。
気品というか、それでいてちょっと傲慢というか、でも憎めないところなど、本当にはまり役。
惚れ惚れとする。
ああ、スクリーンで雷蔵がまたしばらく観られないかと思うと名残惜しい。
半ば陶酔しつつ、半ば現実に戻される恐怖を抱え、新幹線にて名古屋へ。
はあ。
7月26日
今年初の体術の稽古。
ほぼ、1年ぶり。ひどい状態。
腰が割れていないなど、基本的所作がまったくひどい。
腰がねじれている。
少しずつ、ヌンチャクを使いながら微調整。
2時間とは言え、実際に動いているのは1時間ぐらい。
すこし、体の流れがよくなったみたいですっきり。
やっぱりちゃんと体をケアしないとあかんねえ。
頭の流れまで滞るわ。
7月22日
ちょっと登校拒否。
雷蔵にはまっていたい。
みなみ会館で入手したポスターをいそいそと研究室に飾る。
「眠狂四郎、円月殺法」のワンシーンだ。(『女地獄』かな。)
仕事をすませて、遅めの帰宅。
雷蔵にはまっていたいが、北海道旅行までに「網走番外地」シリーズ全作を観るという自分のノルマがある。
まあ、楽しいノルマだが。
今日は『続網走番外地』と予告編。
『続網走番外地』も観た覚えがある。
予告編を観ながら、おそらく4作品ぐらいは観ているだろうと記憶をたどる。
(余談だが、予告編は楽しい。とくに惹句がええ。韻を踏んだり、極めつけのキャッチコピー。面白い。)
そこで、思い直した。まだ全作見ていないので単なる感想だが、私にとっての「網走番外地」は高倉健の映画ではなく、「アラカン」の映画であると。
茶髪に染めたアラカンのかっこいいこと。
スターとは、と問いかけて、当時の高倉健は本当に青二才にみえる。
それから、脇役として「待田京介」が見られるのも楽しみ。まあ、個人的な好み。
見た記憶が定かでないのが、「網走番外地」の中でも沖縄を舞台にしたもの。
「南国の対決」という予告編を見て、「あれ、この当時はまだ沖縄は返還されていないぞ」ということに気がついた。観るのが楽しみである。
そういえば、「悪名」シリーズが衛星劇場にて一挙放送している。先日うっかり見てしまって、勝新と田宮二郎から目が離せなかった。(あやうく遅刻しそうに・・・)
やめられない、プログラム・ピクチャアである。
7月21日
『炎上』(何回目?)をみなみ会館で堪能。
はあ、やっぱりスクリーンでみなあかんわ。
その後、久々のスクリーン登場、『赤い手裏剣』。
たぶん、初めていった「市川雷蔵映画祭」(15年ぐらい前?いやそれ以前?)で心斎橋のキリンプラザだったかなんかで見た作品。
なんだこりゃ、時代劇なのに、まるで西部劇。革のベストにズボン(おそらく裃を連想させる袴だった)、ラストシーンは『シェーン』ではないか。
と思ったのがこの作品。
当時のお相手が、雷蔵には興味はないが、大藪春彦の大ファンだったので、話題にしたのを覚えているが、雷蔵ファン新米の私は、戸惑ったのは確かだ。
雷蔵ファン新米というより、日本映画ファン新米でもあったので、「ええ、これってパクリやん」と日本映画を訝しく思っていた。
まあ、それまで洋画崇拝で生きてきたもんやさかい。
今日、久しぶりにじっくりと拝見。
西部劇という感想も、『シェーン』そっくりラストシーンという感想も変わらないが、もっと巧妙なパロディというか本歌取りというか。
いやいや、日本映画はすごい。と別の意味で感心し直した。
そして、やはり雷様である。
久しぶりの雷蔵映画祭に1日参加しての感想。
以前よりも女性ファンが減った。というより、男性の姿が増えた。
いや、私が同席させていただいた現役女性ファンがもしかしたら・・・
ああ、年齢的にもあり得る。いやいや、たまたま今日が少なかったからかもしれない。
しかし、映画が終わって、雷蔵を堪能して思わず拍手をしかけたのは、私一人だったように感じられた(音のない拍手になってしまったので)のがさびしい。
それは先輩現役雷蔵ファンたちから教わった流儀だと信じていたからだ。
しかし、そこで一人でも「拍手を送る」観客になりきれない自分もあかんたれや。
心からスクリーンの雷蔵を楽しんだのに…
まあ、そんなことはまたにしよ。
雷蔵に心洗われて名古屋に戻った夜であった。
7月19日
帰阪の最中、観たのは雷蔵ではなく、東映映画。
「はるか、はるか、彼方にゃあ、オホーツク。あかい、真っ赤なはまなすが、海を見てます。泣いてます。その名も網走番外地」
『網走番外地』である。
8月下旬に、親孝行を兼ねて北海道旅行をすることになった。
北海道を沖縄には行ったことがない。
そこで、「網走番外地」シリーズである。(『水戸黄門海を渡る』も観直さなくては。)
また、タイミングのええことに、東映チャンネルでは、「網走番外地」シリーズ一挙放送ときた。
全10作。おそらく半分も観ていないような気がする。
でも、一作目は何度か観ているようだ。
「8人殺しの鬼虎」が正体を現すシーンをセリフとともに覚えているのやさかい、たぶん。
いやあ、かっこええ。
7月18日
講義はすべて終了。
あとは演習のみ。
気持ちに余裕が出てきた。
そこで、またもや雷蔵へ思いを…
決心したのである。連休は関西に帰って雷蔵映画祭に行くことを。
そろそろ、研究対象の映画がみたい。
7月17日
祇園囃子がコンチキチンと流れる前の早朝、4時過ぎに暑さのために目が覚める。
ああ、もう少し時間がたった29年前、市川雷蔵が東京で息を引き取ったのだと思いをはせる。灼熱の名古屋で。
朝からニュースでは祇園祭は取り上げられるが、古の人雷蔵には言及がない。
はあ、関西におりたいと思う瞬間である、いや、正確に言うと京都市内の中心地にというべきやろう。
今年も「市川雷蔵映画祭」がみなみ会館で開催されているはず。
それに参加できないのが、名古屋にきて一番悔しいことかもしれない。
とはいえ、授業を休講にはできない。
雷蔵を思って、合掌。
ひとりで夜に『大阪物語』を拝見。
脇役の雷蔵も素敵だ。