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久しぶりにモ-トルの貞が殺されるシーンを見る

6月22日
なんだか、疲労。
暑さに負けたのか、食欲が落ちる。
暫く、おさまっていた咳がぶり返す。

でも、懲りずに勝新映画祭へゴー!
今日は『酔いどれ博士』、『続・悪名』、『不知火検校』の3本。
『酔いどれ博士』は、初めて見る映画だが、よく繰り返される話型。
もちろん、それが悪いと言っているわけではない。
むしろ、それをいろんな脚色や演出で変えて、面白く見せてくれる事が興味深い。
途中で、「ああ、きっとこういう展開になんねんなあ」と思っている自分がいるのに、それが分かっていながら、ほろっと映画に引き込まれている自分もいる。
1966年の作品だが、すっかり勝新のイメージが「暴れまくる腕っ節の強い豪快男」として定着している。
この頃には、もう貫禄も出ているね。
あれ、66年はまだ大映所属だっけ?
独立プロだっけ?
まあ、どっちでもええけど。

後の2本はもちろん見た事がある。
『悪名』を見ずに(見た事はある)、なぜ『続・悪名』を選んだのかというと、久し振りにモートルの貞が殺される、俯瞰撮影されたあの名シーンを、ニュープリントで見たかったからである。
いつ見ても、あのシーンは美しく、哀しい。
そういえば、このシーンについて言及されていたもので、「別にええやん、そんな事」と個人的に思った発言があったが、分かる人には分かるので、取り立てて書かない。
何がともあれ、私の好きなシーンである事には違いない。
やはり、同じところで涙する。

『不知火検校』は、座頭市の原型というか、勝新のイメージ転換に決定打を与えた作品として、有名。
もちろん、両作品とも原作は違う。
この映画はビデオでしか見た事がなかったし、それもかなり前の事。
久し振りに、そして初めてちゃんとスクリーンで見たが、その後の座頭市イメージとごっちゃになっていたのだろう。
映画の記憶がまたええ加減なものになっていた。
卒倒するぐらい悪辣な主人公である。
(座頭市はいい人やからね。)
2枚目路線で、長谷川一夫に続けと頑張っていたであろう勝新が、よくこれだけの悪人をやろうと決心したなあと感心。
アンチ・ヒーローなんてもんじゃない。
極悪非道人が、極悪非道人のまま、なんの情けもええ所も全くなく、救いもなく終わる映画を製作した方もすごい。
主人公に救いがなくても、脇役には救いがあるから、憂鬱な気分になる事もなく、結構楽しんでみられるのかしら。
あらためて感服いたしました。
しかし、この作品をきっかけに決定的になってしまった勝新へのイメージは、その後の彼の役者人生に良かったのか悪かったのか?

前回の神戸における勝新映画祭に続く、京都での勝新映画祭だが、なんとも客数が寂しいのう。
平日の昼間だからかも知れないが、1本目が10人ぐらい、内女性3名。
2本目が8名ぐらい、内女性3名。
3本目が6名ぐらい、内女性は私一人。

週末やと混んでたんかなあ。
ええ作品ばかりやと思うねんけど。

予定では、あと4本見るつもりである。
そのうち、見た事のない作品は1本だけなのだが。

6月21日
勝新の命日。
波瀾万丈の彼の人生を象徴するかのように、季節はずれの大型台風直撃。

勝新映画祭に行かず、今日は日文研。
その後、お食事会。

昼間にあまりにも暴風雨という感じだったので、「大丈夫か?」と不安になっていたが、帰る頃には、だいぶんとましになった。

今日の食事会は、3月末にお会いし、軽くお食事を共にさせて頂いた、女学院の院長先生と、先生の教え子と女学院から同期で総研大・日文研に進学した子との、7人による交流会。

このきっかけとなったのは、院長先生が総研大の理事をされている事が、修了直前(すなわち私が女学院のアルバイトをやめる直前)に分かり、それで院長先生とお知り合いになれた事である。
もちろん、院長先生以外はどの人も初めて会う人たちばかりだが、意外なところで接点があったりする。
一人は、私がA.V.ライブラリーで働いているときに、よく利用に来ていた学生だった。
一人は、やべっちの前任で日本語教師をしていた人であり、英文科事務室でも働いていた事があるという。
きっと、会っていたであろう。

こうして、異分野の人と話すのはとても楽しい。
よく言えば、好奇心旺盛なのだが、悪く言えばばかなので、それぞれの研究について、ものすごく初歩的であろう質問を浴びせかけてしまった。
すまない。
一人で話していたようで、顰蹙もの。
ええ加減、気付けよ。
うるさい大阪のおばちゃんやねんさかい。
反省。

6月19日
朝から研究会に出席するために、日文研に通う。
しかし、発表準備が滞っているため、研究会は失礼して、院生室にて調べもの。

昼には日文研を後にして、懲りずに文博に行く。
今日も「新選組!展」で、文博は盛況である。
本日の映画は、篠田正浩監督『暗殺』(主演:丹波哲郎)であるが、前回よりも観客数が少ない。
パンフレットを手にしているところから、「新選組!展」に来たついでに映像ホールに来たと思われる観客もちらほら。
そのような観客で、すぐ近くに母と息子らしき一組の会話が、聞くことなく聞こえてきた。
母の言葉に対して息子が「丹波哲郎って霊界のじいちゃんやろ」とか「岩下志麻ってあの怖いおばちゃん?」と言っているようだ。
うーん、確かにね。
でも、丹波哲郎って、「霊界」や「やくざの親分」の前は、結構、時代劇スターの一人だったんだけどな。(過去形は失礼か)
岩下志麻も「極妻」で、変なイメージがついてもうたんやろね。

夕刻は両親に付き合って食事、兄の店にへと同行。
明日の父の日の代わりの孝行ってとこですかね。

しかし、動揺、疲労が重なり、そうそうに帰る。
ごっつい、しんど。
雨のせいか台風のせいか?

6月18日
朝から日文研。
ファイルに穴を空けたり、コピーをしたり、鼓舞したり、一応手伝いらしきものをする。
これは、自分の時にもしてもらってきた事だから。

今回は提出者が多いため、院生室のコンピューターやプリンターはフル活動。
コピー機も、手分けして、あちらこちらで同時にコピーする。
5部提出しないといけないので、結構大変。
しかし、みんな偉いよなあ。
資料のデーター・ベースがすごいし、分量も多い。
ちらっと一人のを読んだのだが、自分が提出したものが恥ずかしい。
提出書類に関しては、半年前に自分が提出しているはずなのに、よく覚えていない。
事務に確認して、「ああ、そうそう」と思い出して、「こんな風に提出したよ」と付け加える。
ほんまに役立たずやなあ。

夕方に無事、提出。
しばらく、お茶を飲んで話をして、家路につく。
放心状態。

なんか、自分が提出したわけでもないのに、ものすごく疲労している。
なんでや?

6月17日
はあ、あかんわ。
昨朝、うろたえる出来事が起きて、未だに落ち着かず、動揺している。
仕事をしていても、ため息ばかり。

ため息をしながらも、明日は博論本稿の提出日。
夜まで、手伝うと言いながら、なにしろうろたえているのだから、何もせず、見守っているだけ。
「うどの大木」と言いたいところだが、ちんまいので「大木」の喩えはしっくりこんなあ。
さしづめ「無用の長物」といったところか。(長くもないな)

こんなんでどないしたらいいのか、分からんが、明日も朝から日文研予定。

6月15日
勝新映画祭で京都・みなみ会館に行く。
今日は、『ドドンパ酔虎伝』と『薄桜記』の2本。
『ドドンパ酔虎伝』は初めて見る作品だが、抱腹絶倒の面白さ。
まあ、ナンセンスといえば、そうかも知れないが・・・
中山安兵衛(勝新)が主人公になるのだろうが、作曲し(それがドドンパ節)、大流行、みんなで和製マンボなるドドンパを踊りまくる。
この「ドドンパ節」は、もちろん本家である渡辺マリが出演して、その喉を披露する。
ちゃんとした曲名は『東京ドドンパ娘』であり、同名の映画が同年、日活にて製作されているが、残念ながら私は見ていない。
それはさておき、中山安兵衛なのでちゃんと高田の馬場も出てくるが、それが1937年のマキノ正博・阪妻のパロディ(オマージュ??)としか思えない。
手紙の読み方、飯をかきこむさま、斬ったときの見栄の切り方、足の運び、長屋の応援団、そっくりである。
また、高田の馬場では、安兵衛に加勢する親友・赤穂浪人が二人助っ人に来るが、その3人で立ち廻る様は、伝説のマキノ正博『浪人街』を彷彿とさせる。
ああ、なんて楽しいんだろう。
こうやって、映画は模倣を重ね、作られ、物語は増殖していくのだろう。

『薄桜記』は雷蔵との共演作。
これはビデオも持っているし、論文にも引用して、何度も見ていたはずなのだが・・・
勝新には申し訳ない、私の記憶。
話のあらすじも間違ってはいないのだが、雷蔵ファンの私は、雷蔵の物語しか覚えていない。
今回、「ええ?こんなに勝新も出番多かったっけ?」という、いい加減ぶり。
雷蔵が出てくるシーンは、「ああ、ここで泣くわ」と思って、ちゃんと毎回同じところで涙する。

満悦して、一路御影にお稽古。
早速、長刀を持って歩かされ、腕が震え出す頃に、お稽古をはじめられ、おまけに筋トレをさせられる。
長刀は好きなんだけれど、筋トレがねえ・・・
しかし、本当は、前シテの方が不安なんよねえ。
はあ、どないなることやら。

6月14日
下川正謡会の反省会で、リッツ・カールトンの花筺でお食事会。
昼間から、鮎を中心とした懐石と昼酒でご馳走、贅沢三昧。
下川先生のお話は相変わらず面白い。
内田先生、飯田先生も一緒で話は盛り上がる。

家に帰ると、さすがにぼーっとしている。
それでも、いろいろしなくてはならない事があるので、休憩しながら家で作業。

来年は、初能をする予定となった。
ああ、稽古時間を作りつつ、自分の事もちゃんとしないといけないし、大丈夫なんやろか。

6月13日
朝は、CDを片づける。
昼前に楠公さんに能を見に行く。

発表の準備をしなくてはならないのに、そんな事している暇かよ?
いやいや、舞台を見るのも我が肥やし。

師匠は出ないのだが、演目が面白いので、どうしても見に行きたかったのだ。
能が3番、狂言1番、仕舞が6番という盛りだくさんの番組。
お目当ては、「屋島」とまだ一度も見た事のなかった「烏帽子折」。
もう一番は「求塚」だが、哀しい暗いお話の上、動きが少ないので、ミーハー素人の観客である私の好みではない。
哀しい暗い話は能楽に多いのだが。
「求塚」って、とりわけ後(のち)の謡が怖いんねんもん。

「屋島」の舞囃子はした事があるので、キリは親しみがある。
もちろん能楽と舞囃子は違うのだが。
今回は「大事」という小書きがついていて、見応えがまた違う。
能も大がかりだが、那須与一の場面をかたる間狂言が面白い。
狂言の中でも重習いにあたるそうだ。
この狂言が終わった時点で、思わず拍手をしたい衝動に駆られた。
でも、日本の観客はとりわけ古典の観客は礼儀正しいので、最後になるまで拍手をしない。
(それも橋掛かりの1の松の所に来て、漸く拍手をはじめるのである。)

「烏帽子折」は話を知っているが、見るのが初めて。
これも間狂言が面白い。
そして、後が今の言い方で言うと、大立ち廻り。
能楽では「翔」である。
仏倒しにトンボ(バク転ではなくて、前転)、欄干越えと見ていて血が騒ぐ。
ああ、楽しい。
さすがに、これだけの演目が出ると、休憩もあるが、11時開演で、終了は18時。

堪能。
「烏帽子折」を見ていると、いつ頃作られた能楽なのかすごく気になる。
今度、調べてみよう。

6月12日
なんだか、昨日よく眠られなかった。
調子が悪い。

ふらふらしながら、論文を発送。
次にする事は、部屋の片付けである。
残っている荷物が本、資料、文具などであるため、これを片づけない事には、発表準備も、次の研究も何も出来ないのである。

少し頭がくらくらしながら、段ボールを空けて、本棚に自分の使いやすいようなジャンル別に仕分けしていく。
親友が、昼過ぎに用事があってやって来た。
簡単にすませ、TVで阪神戦を見ているのを、ほっておいて、一人黙々と、本棚の片付けを続ける。
私ももてなしもせんで、自分の事ばかりしている勝手な奴だが、親友も阪神戦をぶつぶつ言いながら見ていたかと思うと、静かになるので、あれっと見てみるとソファに横になって昼寝をしていた。
親友も勝手な奴である。
あ、似たもの同士だから、親友になったんか。

しかも今日に限って阪神がまた長い長いしんどい試合をする。
その間、着々と本・資料を片づけて、残るはCD・カセット、ビデオ・DVDと一部資料や文具などごちゃごちゃした小物。
もう、やめた。
最後のさよならを見届ける。
体力的にもしんどいけど、阪神の試合見て精神的にもしんどいわ。

「お疲れ様でした」ととりあえずビールを飲む。
その後も、気になるので、ちょこちょこ片付けをしたりしていた時、私は気付かなかったのだが、どうもすごい独り言を言っていたようだ。
「一人で遊べるおめでたい人」と言われてしまった。
うーん、そうかなあ。

その後、いろいろ話しているうちに長所と短所の話になって、意見が一致。
私の長所はあほなところである。
私の短所は馬鹿なところである。

ふむ。
腑に落ちた。

6月11日
朝から日文研。
投稿原稿の準備である。

午前中、検索などかけて、最終的な調べものをするが、院生室にいると、ついつい研究生等々と話をしてしまい、いっこうに捗らない。
しかし、話しているのが無駄な時間かというと、それはそれで、とても有益な時間であるので、あえて話を中断せずに、続けているのである。

しかし、今日中に発送できるようにしたいので、午後はいつも仕事をしている場所に移動。
論文要旨を書くが、どうしても2000字におさまらない。
2500字ぐらいから、考えて書き直して2300字、2100字、2030字と、少しずつ減っているのだが、なかなか2000字を切らない。
久し振りに、ものすごい頭を使った気がする。
変な話だが、所属していた大学には、博士論文の枚数上限がなかった。
だから、枚数制限を考えずに、とりあえず書きたい事、言いたい事を書いていた。
約何字というのも、その前後に収めればいいので、誤魔化しがきくと思う。
これは、単に時間がかかった言い訳に過ぎないのだが・・・
要領悪いわ。

なんだか、台風が来ているせいか、雨がひどい。
極悪非道の私は、来週本稿提出をひかえている院生に、「今日、車?」と聞いて、「何時に帰る?」とさらに回りくどく聞き、要は「駅まで送って」と言ったのである。
一応、来週の金曜日の締め切り日は1日、提出予定者を手伝うために空けてある事をその前に話して、自分の非道ぶりを紛らわしていたのだが。
もろ、ばれか。
でも、ほんまに来週は空けてるからね。

その前に、自分の論文どないかせえよ。
明日、発送しよう。
疲れた。

6月10日
昨晩は蒸し暑かった。
2時ごろに眠ったかと思えば、3時に目覚め、暑苦しくて、眠られない。
明け方にまた少し眠ったけれども、1時間ぐらいかな。
おかしい。
最近、薬がよく効いてきたような気がしたのだが・・・
不眠ゆえか、蒸し暑いため、皆さん寝づらい夜だったのか?

テンションが下がったまま日文研へ。
仕事もあるが、締め切りが迫っているので、投稿原稿の準備をする。
なんとか、明日には仕上げたいところだが。

先生がいらっしゃって、「これ貸してあげるから、発表の参考にして」と、CMのDVDを持ってきはった。
ああ、そうだ。
どうしても明日中に投稿原稿を仕上げて、土曜日には郵送せねば、発表が間に合わない。
帰り際に、「そうそう、発表タイトルを下さい」と言われ、思わず「今ですか?」とうろたえる。
「うーん、今週末か来週の月曜日までに」と打診して頂いた。
週末考えなくては。
ほんまに、綱渡り人生やな。

今日は祖母の満90歳のお誕生日である。
お祝いを持って、夕食を共にする。
切羽詰っているので、サービスはここまで。
泊まってあげられず、食い逃げして帰った極悪非道な孫であった。

ああ、早く仕上げなくては。

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2004年06月23日 09:34に投稿されたエントリーのページです。

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