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2004年08月10日

こんな教員採用の仕方でよろしいのか

8月8日(日)

県の教員採用試験1次合格者の発表があった。

残念ながら、本校で講師をしている先生や、以前本校で講師をしていた先生たちは、誰も1次試験をクリアすることができなかった。

確かに、講師をしながら採用試験を受けるということは、なかなか困難を伴うことである。

ましてや、講師で学級担任と部活動の顧問などをしていては、とても試験勉強どころではないのである。

どこの都道府県でも同様だと思うが、教員採用試験は7月に実施される。

7月というのは、特に中学校においては、とてつもなく多忙な月である。

まず、学期末の成績処理(通信簿の作成を含む)を行わなくてはならない。さらに、中体連夏季大会に向けて、部活動にも力を入れて指導しなくてはならない。加えて、三者面談も行わなければならないのである。

かような多忙な月に、採用試験のための勉強に時間を割くというのは、かなり困難なことであろう。

もちろん、「そんなことははじめから承知の上で講師を引き受けているのだから、合格したかったら自分で計画的に勉強していけばいいのだ」とか、「本気で合格しようと思っているなら、講師など引き受けず、ひたすら勉強に励めばいいのだ」言われるかもしれない。

それはそのとおりである。

でも、講師をしなければならない事情だってあるんだよね。

かくして、「目の前で毎日接している生徒たちのために一生懸命になる講師の先生ほど、採用試験には合格しない」という、おかしなことが出来してくるのである。

少なくとも手前が知っている講師の先生方は、それぞれ「将来いい先生になるだろうなあ」と思われる若者たちばかりである。

中学校の現場においては、まず「生徒指導」ができる教員でなければならない。

いくら専門教科についての知識や指導技術が豊富であろうとも、授業中に「ちょっとそこのキミ、居眠りこいてないように」と言えないようでは、中学校の教員は務まらない。

ところが、「新規採用教員」には、そういうことがまるで言えない教員がけっこういるのである。

いくら生徒が授業中に「居眠りこいて」いても、まるでわれ関せずとばかりに授業を進めていってしまうのである。

手前の知っている講師の先生方は、そんなことはない。

逆に、「生徒指導ができるから」と、生徒指導困難校ばかりに配属されていく講師の先生もいる(手前が本校で2年ご一緒させていただいたヤイリ先生など、その典型である)。

たぶん、多くの新規採用教員は、高校時代はひたすら大学受験のために勉強し、大学入学後はサークル活動もせず、ひたすら教員免許取得と採用試験のための勉強に勤しみ、晴れて採用試験に合格して現場に配属されてきたという経歴の人たちが多いのではなかろうか。

皆が皆というわけではないのだが、そういう経歴の持ち主たちには、「生徒指導」が不得手という人が多いような気がする。

たとえば、教室の中に「不良性向生徒」がいると、そういう生徒には自分から近づいていこうとしない、というようなことがよくあるのである。

もちろん、経験を積んでいく中で「生徒指導」のノウハウも培われていくのであろう。しかし、ノウハウだけで「生徒指導」はできないということも、また事実である。

どうも、その先生に「教え導く師としての資質」があるかどうかということは、経験を積めば何とかなるということとは別のことであるような気がする。

毎年やってくる教育実習生たちを見ていても、たとえ指導技術は拙くとも、しっかり生徒たちを把握してうまく授業を進めていくことができる実習生もいる。

そんな様子を見ていると、基本的に教師に向いている人とそうでない人って、経験の有無とかではないような気がしてくるのである。

現行の教員採用試験も、もちろんそんなことは十分勘案しての試験を実施されていることと思う。

しかし、1次試験で「一般教養」と「専門教養」についてのペーパーテストと簡単な面接を行い、それで志願者の大多数を足切りしてしまうという選抜方法はいかがなものであろうか。

よくよく考えてみれば、採用する方としては、「この人は将来いい先生になれるだろう」ということを第一に考えて合否を決定するのである。

だとするならば、実際に講師をしていて、校長を含めその現場の教員たちから圧倒的に「この講師の先生は絶対にオススメです!」って折り紙をつけられる人をこそ優先的に採用するような方途を考えてもよいのではなかろうか。

実際に、近畿のある県などは「1年以上の講師経験のある人については、1次試験を免除する」というような採用方法をとる県も出てきているそうだ。

ならば、本県も「1年以上講師経験があり、かつ現在の勤務校長の推薦状がある者については、1次試験を免除する」というような採用方法を考えてもいいのではないだろうか(もっとも、そうなったらそうなったで、ほとんどの講師には校長の推薦状がつけられるようになるとは思いますが。だって推薦しなかったら校長が恨まれちゃいますよね)。

まあ、教員採用試験も、現在は基本的に都道府県単位で実施されているが、浜松市などはいずれ政令指定都市になるので、その際には浜松市独自の採用になる(たぶん2年後くらい)そうだ。

その節には、ぜひ採用方法を入念に検討して、優秀な講師経験者が優先的に採用されていくような方法をとってもらいたいものだ。

今年もダメだったヤイリくん、ジュンちゃん、めげずに来年も挑戦してくださいね。教育現場は、あなたたちのような若者を切望しているのですから。

投稿者 uchida : 2004年08月10日 15:00

コメント

スーさんと同じように
教育実践に優れていることを教育現場で検証されていることを採用時にかなりの比重で考慮して欲しいですね。
管理職登用試験でもいえます。

今や本県では、教育委員会や教育事務所の勤務経験がない方は、管理職に登用されにくい現状があります。
常に現場感覚を大事にしてほしいな。
管理職登用試験については、
後日「学校改善日記」で触れたいと思っています。
スーさん。お互い、現場感覚を大事にしながらがんばりましょう。

投稿者 へなちょこ教頭 : 2004年08月12日 13:34

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