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2005年05月26日
会議は短く
5月25日(水)
天保山の診療所で丸一日外来診療をする。普段、僕の担当は水曜日の午後だけなのだが、午前中に外来をしているI先生から交代を頼まれたのである。
外来はそれほど忙しくなかったので、患者さんを診る合間に、大学のN先生に教えてもらった戸田山和久の『科学哲学の冒険』(NHKブックス)を読みすすめた。
科学的実在論をめぐる議論についてわかりやすく丁寧に書かれている。対話形式になっていて、内容に入り込みやすい印象を受けた。まえがきにも書いてあるが、本書は科学哲学の入門書であり、科学哲学を専門としている筆者が、この分野となじみの薄い人たち(特に高校生や大学1,2年生)にその面白さを伝えることを目的としている。
科学的実在論と、社会構成主義および反実在論との間に起こっている論争について記述してある第5章を特に興味を持って読んだ。反実在論に対して必ずしも旗色が良いとはいえない科学的実在論を「なんとか擁護したい」という筆者の姿勢がすがすがしい。潔く、粘り強く、そして頭の良い先生だ。
夕方から大学へ行き、培養細胞の培地交換をしてから病棟のミーティングに出席する。来月から短期間だが大学病院の病棟で医者をすることになっているので、その準備のためである。
ミーティングは午後6時から始まり、終わったのが午後9時30分過ぎ。無意味に長い。研修医のプレゼンテーションが冗長なのが特に気になった。
症例のミーティングは、問題点を明確にして、診療方針の決定に必要な情報(症状や検査結果)を共有し、その時点で議論可能な事項について議論をするということが重要である。
方針決定に必要な情報が不足している段階で「あーでもないこーでもない」と議論するのは、あまり意味がない。
投稿者 uchida : 2005年05月26日 09:26
コメント
ドクター
こんにちは。Y地です。先日の演舞会では、大変お世話になりました。
このような場で、お礼を申し上げることをお許しください。
また、ドクターのご質問にうまくお答えできず、申し訳ありませんでした。まだまだ修行が足りないなと痛感したしだいです。
さて、お読みになられたご本の著者の戸田山先生は、某N大の科学哲学の先生でして、われわれの研究室とも交流のある方です。
ドクターのご感想のとおり、大変に切れ者な先生で、まさに「知の巨人」といった感じの方です。しかし、その風貌、物腰、話し方はとても柔らかく、穏やかで、とても親しみやすい先生です。
こういった方が普通にいらっしゃるというのが、大学という場なのだと思います。
戸田山先生のOHPでの講義はプレゼンの真骨頂でしたが、今はパワーポイントになってしまい、それを見ることができないのが残念です。
(お話も素晴らしいですが、字と絵が上手なのです。)
うちの研究室の院生で「科学の範疇」がどのように形成されるのか心理学的に研究しているものがいますので、もしご興味があれば、いつかの機会にご紹介できればと思います。
それではまた。
フリオ、楽しみにしています。
追伸:お礼が遅れまして、大変失礼いたしました。
Y地さま
先日はどうもありがとうございました。お話できてとても楽しかったです。
戸田山先生、かっこいいですね。不思議なご縁に驚いたり喜んだりしております。
戸田山先生の本を読んで僕は、「難しいことを難しいままにわかりやすく」(@内田先生)というフレーズを思い出しました。
だんじり編集長の江さんもこのフレーズが好きで、このことについて一緒によく話したことがありました。
あ、フリオですが、この前とつぜん家に来ましたよ。二人で将棋を指しました。「王将」と「玉将」のどっちを使うかで少しもめました。
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