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2004年10月23日

街に「いけない鰻屋」はいねが

10月21日(木)

街のいけないうなぎを正す会の報告(第二回)です。

うなぎ屋によく似合う客というのはどういう人たちでしょうか。

前回の報告にも書きましたが、うなぎ屋には若い人よりもどちらかというと年配の方
のほうがぴったりくるようです。男性だったら60歳くらいからがうなぎ屋の客として
脂がのってくる頃でしょう。服装はネクタイをしていた方がいいですね。

イタリアのおしゃれ爺さんのようにカラーシャツなんかを着ていると、いかにもうな
ぎ屋にスタミナをつけに来たように見えてしまいますから、ワイシャツは白にしましょ
う。ネクタイピンも忘れずに。

うなぎ屋には中高年の女性客も似合います。「今日はお父さんが出張だから、お買い
物の帰りに外で晩ご飯を済まして…」という非日常的うきうき感は、鰻と非常に相性が
よろしい。

東海林さだお氏によりますと、鰻というのは、天丼、あんかけうどんとともに中高年
女性の「三大外食メニュー」ということになっております。

中でも鰻は「おば様外食メニューの横綱」と言って差し支えないでしょう。天丼とあ
んかけうどんは値段と格から言って、大関というよりも、「太刀持ちと露払い」くら
いのほうがぴったりかも知れません。

老舗のうなぎ屋で、親娘が二人で鰻を食べながら瓶ビールを一本分け合っているとい
うのも絵になりそうです。

ビールは是非、親娘連れで飲んでいただきたい。おばさん同士でビールを飲んでいる
と、どうしても宴会になってしまいます。瓶ビールならまだ良いですが、おば様たち
が、鰻を頬張りつつ中ジョッキを飲みながら嫁の悪口なんて言っていたら、話に聞き
耳をたてることに夢中になってしまい、こちらが鰻に集中できなくなってしまいそう。


さて、そんなわけで第二回目のうな正会の会合は、10月16日の土曜日、福島5丁目の『菱東』において開かれました。

メンバーは前回と同様、江会長と僕の2名です。

30台と40台の男性ですので、「白いワイシャツにネクタイピン」というわけには行き
ませんでしたが、ちゃんとジャケット着用で出掛けました(二人ともたまたま仕事帰り
だったからだけど)。

国道2号線、出入橋の交差点の少し西側から細い路地を北に入ると、そこには古い木造の家屋が並んでいます。

普段から早歩きなのに、旨い鰻を目指してさらに足早二割増となった江会長の後ろに
ついて数十メートルほど歩くと、暗い路地を明々と照らす「鰻 菱東 東京流」の看
板が見えてきました。『だい富』のマークは「○に鰻」でしたが、このお店のマークは
菱型に「鰻」です。

引き戸を空けて店内に入ると、初老の男性が迎え入れてくれました。うなぎ屋は職人
さんも老人が似合います。会長の話では、この店は2階の個室が雰囲気が良いということでしたが、2階はコース料理の客のみということだったので今回は断念。

1階にはテーブル席が4つと、少し広めの座敷がありました。

店内はとても静かで、もちろんBGMなど流れていません。

他の客は、40台と20台くらいの女性二人連れが一組いるだけでした。仕事仲間のようだったけれど、あんまりかたぎっぽくなかったです。

例に出した女性客のカテゴリーには入らない人たちでしたが、そんなものを超越して、
鰻が似合っている二人でした。「労働者の強さ」みたいなものを感じた。
うなぎ学は本当に奥が深いですね。


我々はテーブル席に座ってビール、うまき、うざく、そしてうなぎどんぶりのシング
ルを注文。

数秒後には、和服姿のお店のおばさんが素早い身のこなしで、キリンラガークラシッ
クの中瓶と、絹さやのごま和えを持ってきてくれました。

ビールを飲みながら店内を見渡すと、壁にはどこかの雑誌に紹介されたお店の記事が
張ってあります。記事の見出しによると、ここは創業83年だそうです。古いですね。

ビールを飲みつつ、江会長と今度二人で共同購入することにしたヴォーヌロマネ村の
特級畑について相談していると(うそ)、すぐにうざくが到着。

青い器の中には、茗荷、キュウリと共に、厚めに刻んだ鰻がたっぷりと入っている。

ふっくらとした鰻は絶妙な焼き加減。なるほどこのふっくらとした食感は、この厚み
で切らないと分からないかもしれない。

ふわっと広がった鰻の切り身は、だし汁をたっぷりと含んでいて、一切れ口の中に入
れると、丁度良い酢加減のだし汁と鰻の脂分が口の中で混ざり合います。

酢と脂がこんなに合うなんて知らなかった。


続いて登場したのはうまき。

一人前を頼んだら、お店の人が二つに切って、別々のお皿にのせて持ってきてくれま
した。

熱々の卵焼きは柔らかくて、しっかりとだしが効いています。

会長とともに、はふはふ言いながらうまきを食べていると、店の奥の方から、「ご
飯2人前お願いします」という声が漏れ聞こえてきた。いよいよ我々の鰻が焼き上がっ
たようです。

程なく運ばれてきたうなぎどんぶりは、蓋を開けると、申し分ないくらい上品な焼き
加減。鰻の大きさや焼き具合は、だい富のそれとよく似ています。でも、よく見てみ
ると、こちらのお店では、鰻だけでなくて、ご飯にも蒲焼きのたれをたっぷりとかけ
てある。

たれの味付けはやや濃いめであり、ほんのりと焦げた皮の部分が何とも言えず美味し
い。

サイドメニューも含めて全体的に味付けが濃いめのせいか、食べた後の満足感がとて
も大きかったです。

ごはんたっぷり、味付けしっかり。どんぶりが出てきたときは、「全部食べきれるか
なあ」と心配になったのだけれど、気がついたら完食していました。

さすがにお腹一杯になったけど、その後も全く胃がもたれるということがありません
でした。

元気になりたいときには、絶対おすすめのお店です。

うざくとうまきは絶対に忘れないでください。ネクタイピンもね。






投稿者 uchida : 2004年10月23日 11:08

コメント

タイトルの、街に「いけない鰻屋」はいねが、ってどういう意味なんですか?

投稿者 江  : 2004年10月26日 13:13

あ、会長。

内田先生が付けてくださったタイトルは、なまはげに出てくる言葉です。

「なまはげ」というのは、生々しい禿頭のことではなくて、秋田に伝わる風習です。

鬼のお面をつけたおじさんが、「なまはげ」という鬼に扮しまして、『この辺に悪い子はいねが?』と家々を回り、子供をわんわん鳴かせて脅かすという様な感じの行事です。

秋田の子供は、悪いことをすると「そんな悪いことすると、なまはげに連れて行かれるべさ」と言う感じで怒られるそうです。

写真やニュースの映像で見たことがありますが、結構怖いですよ。藁でできた簑のようなのを着てるんです。

投稿者 sato : 2004年10月26日 17:26

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