ベルギーるんるん日記・2004へ 

カナ姫のベルギーるんるん日記・2003

 

Journal jovial de Kana "la Princesse" en Belgique

 

12月31日mercredi

午前中Santons Fouqueを訪れる。ここはSanton(粘土でつくられたプロヴァンス特有の人形。Crecheに置く)のアトリエがある。またプロヴァンスのクリスマスの食卓のデコレーションも見ることができる。黄色と赤がプロヴァンスの色とのこと。テーブルクロスが3枚重ねてあるのもキャンドルが三つ置かれているのも三位一体を表しているのだとか。デザートは13種類・・

午後 エクス・アン・プロヴァンス生まれの画家セザンヌが歩き、絵を描いたという場所を散歩、その後アトリエを訪れる。門をくぐるとかわいらしい庭にテーブルと椅子、夏には木陰の椅子に座りスケッチなどしたくなる雰囲気。

建物の2階のアトリエに入るとセザンヌの描いたキューピッド、カラフやコンポート鉢、Les joueurs de cartesに描かれたテーブル、パレットやイーゼルが当時のままに残されている。

アトリエをあとにし、一同アランの両親の家でお茶。Galette des Roi(公現祭の祝い菓子。本来1月6日に食べる)をいただいていたら、中から陶器の小さなお人形が・・切り分けられたお菓子にこの人形が入っていた人はその日一日王様としていばってよいのだとか。Reine!(女王)と写真をぱちぱち撮られる。

夜 サロン・ド・サン・ヴィクトワールで食事。この日はSoiree de reveillon(大晦日の祝宴)で夜8時すぎからアペリティフ、小さなパイやタルトレットなどのアミュ−ズ、帆立て貝のオードヴル、フォアグラ、メインの鹿肉を食べる頃にはもう12時近くになっていた。12時をまわった瞬間Bonne anneeと言い合い、シャンペンで乾杯する。

しばらく踊った後チーズ、そしてデザートの洋梨のムースが出てくる。もうお腹ははちきれんばかり。

 

 

12月30日mardi

朝マルシェへ。オリーヴやイチジク入りソーセージを昼食用に買い、バゲットとともに食べる。

午後はCours Mirabeauあたりを散歩、ウインドウ・ショッピングする。

夜オレリアとアランのアパルトマンで食事。Papillote de canard(鴨の包み焼き)をオレリアと一緒に料理する。

鴨肉を薄くスライスし、アルミホイルに重ねて置き、蜂蜜、roseのジュレ、Gueuze(ビール)のジュレをたらし、鴨肉用の香辛料をふりかけ、オーヴンで約20分余。付け合せはポテトのピュ−レ。

赤ワインとともにいただく。ソースは鴨肉の代表的なソースのカシスやオレンジソースとも一味ちがったマイルドな味わい。

 

 

12月29日Lundi

朝早くヴィヴィアン、ヴァンサン、オレリアと車でエクス・アン・プロヴァンスへ向けて出発。私は日本の運転免許証しか持ってないので後部座席でひたすら眠る人となる。

 

リヨンをすぎたあたりから空の色が灰色から南フランス特有の青に変わる。

朝8時過ぎにリエージュを出発してエクス・アン・プロヴァンスに到着したのはPM7時近く。約990kmの道程、約8時間余で着く予定だったが、休憩をはさみながらなので約11時間かかる。こんなに長く車に乗ったのは初めてのこと。

夜オレリアの彼のアラン、その友人のクリストフもまじえて食事。

食後、クリスマスのイルミネーションで美しいエクス・アン・プロヴァンスの町を歩く。

Cours Mirabeauのイルミネーションは金色に輝く天の川のようでとりわけ美しい。

 

 

12月26日vendredi

友人とブリュッセルへ。王立美術館で19世紀絵画を見た後グラン・サブロンのWITTAMER2階のティールームでお茶。老舗のショコラティエだけあってシックな雰囲気・・。窓からはサブロン広場が見渡せる。クリスマスのイルミネーションがうつくしい。

一息ついた後はグランプラスへ。ライトアップされた大きなツリー、Creche(キリスト生誕群像の模型)の前には沢山の人だかり・・マルシェ・ド・ノエルをひやかしながら歩く。

 

 

12月24日mercredi クリスマス・イヴ

雪は降らず。部屋のカフェテーブルの上は数日前から届きはじめたクリスマスカードでいっぱい。日本やパリやベルギーの友人たちから・・Eメールもいいけどやはり手書きのカードは心がこもっている気がして嬉しい。

彼からクリスマスプレゼントにピアスをもらう。本当は夜中の12時になってプレゼントを開けるのだが私は待ちきれずすぐ開けてしまう。

友人宅にクリスマスのディナーに招待されていたので出かける。まず色んな種類のアミューズとともにアペリティフをいただき、オードブルにキッシュ、メインの肉、デザートにアイスクリームのブッシュ・ド・ノエル、コーヒーと続き、食後酒を飲む頃にはお腹がいっぱいで苦しいほど。

こちらの人って本当によく飲み、よく食べる。胃の大きさもタフさも日本人とは違う気がする。

そして深夜12時をまわったらJoyeux Noel!(メリークリスマス!)と言ってからプレゼント交換・・私はチョコレートと木箱に入ったプロヴァンスのサボンをもらう。ミュゲとジャスミンのいい香り。

外ではどこからか花火が上がっている。教会へ真夜中のミサに出かける人も多い。

 

 

 

12月23日mardi

ふと窓を見ると粉雪がちらちら・・ホワイトクリスマスになりそうな予感。

午後クリスマスプレゼントを買いに街へ。

彼と友人たちへそれぞれ好きそうなものを選ぶのはそう簡単ではなく、ぐるぐるいろんな店を見てまわる。どこもプレゼントを買う人たちでいっぱい。まあ明日はクリスマス・イヴだから大詰めといったところ。デパートもレジ前は長蛇の列で、プレゼントの包装をする専門の人が3人くらいいてせっせと包装している。

寒いのと買い物に疲れてカテドラル前のカフェでひと休みしようと思ったらまたここも沢山の人たちで混み合っている。(皆考えることは同じ?)カテドラルの前の広場につくられたスケートリンクでスケートする子供たちを眺めながら一息つく。

夕方にはプレゼントも決まり、ローズ色のバラを買って帰る。

 

 

12月22日Lundi

今日は比較的よい天気。

午後クリスマスの買い物をしに町に出かけようと思っていたのだが頭痛がひどくとても外出できず。アスピリンをきらしていたのだが薬局に買いに行く気力もなく、ひたすらベッドで安静にする。夕方には少しおさまる。

 

 

12月21日dimanche

昨夜から降り出した雨は今日も降り続いている。

空は灰色、どんよりと暗い.。朝なのにすでに夕方というかんじ。こういう日はどこにも出かけず、うちにいるに限る。

ラジオから流れるチェンバロ─バッハのフランス組曲など聴きながら本を読んだりクリスマスカードを書いたりして過ごす。

夜BFがsapin(モミの木)を担いでやってきて一緒に飾り付けする。こちらでは既製品のツリーももちろんあるが本物のモミの木をツリーにする人も多い。お店で簡単に手に入る。ツリーの下にはプレゼントを沢山飾るのがお決まりのスタイル。

飾り付けを終え、窓に白いスプレーで雪だるまやツリーを描いたら一気にクリスマスムードいっぱいとなる。

 

 

12月20日samedi

BFとEaux Thermesへ。もともとChateau(城)であったという白亜の建物は非常に優雅な雰囲気で、中庭に曲線のうつくしいプールが・・と思ったらこれが温泉とのこと。(温度は34度に保たれている)

私は職業病といおうかひどい肩こりと腰痛に常に悩まされているので温泉に入る前にマッサージを受ける。あまりに凝り加減に担当のマダムに驚かれる。

マッサージの後ハーブの香りのするサウナや蒸気風呂に入り、そのあといよいよ中庭の温泉へ。(日本と違って水着着用)

温泉というよりは温水プールといったかんじ。外が1度くらいの気温なので34度でもあたたかく感じる。

ハーブのサウナ→温泉を2回くらい往復してレストランで食事。

クリスマスのデコレーションが美しくしつらえられている。 

アペリティフにシャンパン(お風呂上りのシャンパンはまた格別)、アミューズ、サーモン・フュメ、鴨のソテー中華風ソース(鴨をこういうソースでいただくのは初めてだったがこれがとてもよく合う)デザートは洋梨のシャルロット、最後にカフェ。どれも軽めで胃にもたれず、繊細な味わいで大変美味しくいただく。少し早めのクリスマスのディナーといったところ。

日頃のストレスを忘れ、至福のひとときを過ごす。

 

 

12月19日vendredi

久しぶりに日がさす。午後Acoustique specifique et facture instrumentaleの講義のあと友人らと近くのブラッセリ−で乾杯する。明日からVacances de Noelクリスマス休暇に入る。

先生や友達にBonne Vacances!(よい休暇を)と言って別れる。

 

 

12月17日mercredi

夜リエージュ・フィルのコンサートを聴く。

今日はEric LE SAGEとFrank BRALEY2人のピアニストをソリストにオール・プーランクのプログラム。

Suite francaise d'apres Claude Gervaise,

Concert pour piano et orchestre,

休憩をはさんで

Aubade,concerto choregrapique pour piano et 18 instruments,

Concert pour deux pianos et orchestre

エスプリが効いた演奏はフランス人ならではという感じ。

 

12月16日mardi

夜 友人の誕生日会。日本から持ってきた扇子と小物入れをプレゼントに持ってゆく。とても喜んでいた。皆でシャンパンで乾杯する。

 

 

12月14日dimanche

BFとチュニジア料理のレストランで食事。アペリティフにPasoaを飲んでgambas langouste(伊勢海老)のトマトソースを食す。海老の旨みとトマトソースがあいまって美味しい。

レストランを後にして彼の車で送ってもらいながら町の景色を眺める。今の季節、店だけでなく各家々もドアや窓、庭に思い思いのクリスマスの飾り付けをしていて目を楽しませてくれる。(中には家全体をライトアップしている人も。まるでおとぎの国の家のよう)

赤、緑、金色・・・寒くて暗いヨーロッパの冬に彩りを添える。

 

12月13日samedi

交流会の人たちとドイツのアーヘンへマルシェ・ドゥ・ノエル(クリスマスマーケット)を見に行く。

リエージュから電車で50分ほど。外国へ行くというよりはちょっと近くの町まで行ってくるといった感覚。

あいにくの雨で風も強い。小雨なので傘をささずに歩く。

ちょうどお昼どきだったのでマルシェでホット・ドッグをかじり(ソーセージが美味)、マルシェを一軒一軒見てまわる。色とりどりのクリスマスのオーナメント、オブジェ、ボンボン、おもちゃ・・見ているだけで楽しい。ガラスでできた小さなツリーのオーナメント、それからいくつかの小物をお土産に買う。

それにしても多くの人で前に進むのが難しいほど。あまりに寒いのでEierdunsh(Eggnog 卵のお酒)を飲む。生クリームが上にのっていて体の芯から温まる。ちょっと余分にお金を払うと長靴の形のマグカップももらえる。 

マルシェを後にしてユネスコ世界遺産にも指定されている美しいカテドラルを訪れる。

 

 

12月12日vendredi

午前中Acoustique specifique et facture instrumentaleの講義の1回目がある。

各種楽器の特徴、ホールの音

響についてなどスライドで説明がある。

午後ヴァイオリンのクラスの発表会を聴く。

夜アパートの階下で誰かの誕生日パーティーをやっているらしくものすごいどんちゃん騒ぎ。夜12時ごろまで。

 

12月11日jeudi 

パリからT氏がブリュッセルにいらっしゃる。大使館のほど近くのレストラン、ブルタ−ニュで氏と大使館の方お二方と昼食をご一緒する。

レストランを出ると小雨。かなりの冷え込み。

夕方EUを訪問される氏に同行し、夜はモネ劇場近くの日本食レストランSAMURAIで大変美味しい日本食をご馳走になる。明朝パリにもどりそのままスイスのWHOに行かれるのだとか・・いつお会いしてもそのパワーに圧倒される。

 

12月10日mercredi

l'histoire comparee des artsの授業の初日、

某俳優が来て話。

演劇について、表現することとは・・・といったような内容。

 

12月9日mardi

昼モーツァルトのトリオの合わせ、引き続き歌の合わせ、続いてピアノのレッスン。

それから練習してアパートに帰る頃は辺りは真っ暗・・寒さが身にしみる。

 

 

12月8日Lundi

伴奏法のレッスンでフォーレの“Apres un reve 夢のあとに”を弾く。それからベッリ−ニのノルマの祈り(アリア)を。

夜プロコフィエフのヴァイオリンソナタの合わせが終わってコンセルヴァトワールから出ると冷たい風が頬を刺す。

 

 

12月7日dimanche

夜 以前知り合いからすすめられたことのあるレストランで彼と食事。

大変スノッブな雰囲気のレストランで17、8世紀の執事といった風情のムッシューがうやうやしくもてなしてくれる。アペリティフにキールを飲んだ後、子海老のポタージュ、続いてメイン。デザートはあたたかいいちじくのバニラアイス添え。いちじくには蜂蜜がかけられ、皿全体に粉砂糖がちりばめられ、雪のよう。

とても美味。

外は今日も凍える寒さ。

 

12月6日samedi

サン・ニコラの日ということでBFからお菓子の詰め合わせのプレゼント。サン・ニコラをかたどったチョコレート、マジパン、マシュマロ、甘いメレンゲのお菓子、熊の形のショコラ、犬の小さなぬいぐるみが美しい箱にきれいにラッピングされて入っている。食べてしまうのが勿体ないみたい・・

とてもうれしい。童心に返って喜ぶ。

夜友人宅でチーズ・フォンデュを楽しむ。

 

 

12月5日vendredi

夜彼と食事。今日は先日偶然に見つけて食事して以来2人の気に入りのレストランで海老や魚、烏賊などシーフードを食す。大きなプレートに3人分はあろうかと思われるほど沢山のっていてお腹いっぱいになる。明日はサン・ニコラの日とのことでサン・ニコラの扮装をしたおじさんがどこからともなくやってきて小さなワインのボトルをプレゼントされる。子供たちにはお菓子のプレゼント。

食後のコーヒーはお店からのサービスで気持ちもあたたかくなる。

 

 

12月4日jeudi

サン・ランベールであるConcert midi(昼のコンサート)へ。

今日は日本人の演奏家2人堀込ゆず子さんと児玉桃さんによるコンサートでモーツァルトのヴァイオリンソナタイ長調KV526、メシアンのテーマとヴァリエーション、ドビュッシーのヴァイオリンソナタというプログラムだった。

アンコールはモーツァルトの小品。

お昼のひとときこういうコンサートを聴けるのは素晴らしいことだと思う。いつ来てもたいてい会場は一杯で人々の生活の中に音楽が溶け込んでいるという感じがする。

外に出るとサン・ランベール広場はクリスマス・マーケットを見て歩く人々で賑わっている。

 

 

12月1日Lundi

夕方モーツァルトのトリオの初合わせ。クラリネットとアルトとピアノという編成。

 

11月29日samedi

友人とAywailleに彼女の友人のデッサンの個展を見に行く。

子供のデッサンが印象的。

個展を見た後 寒いのでカフェでchocolat chaud(ホット・チョコレート)を飲む。

夜彼と食事。ボルドーのロゼはこくのある味わいで辛目の鳥料理や海老ともよく合う。私はワインにそれほど詳しくないのでワイン選びは彼にまかせているのだがたいていいつも美味しくいただいている。しかし私の場合ワインを飲むと(ワインに限らずお酒を飲むと)たちまち眠くなってしまうのがちょっと困りもの。。

 

11月28日vendredi

夜OPLのコンサートを聴きに。

前半がモーツァルトの25番交響曲、後半がツェムリンスキーのSymphonie lyrique op.18.

7つの詩から成り、バリトンとソプラノが交互に歌う。内容は王子様との恋の話。

 

 

11月26日mercredi

Encyclopedieの授業で再びUniversite de Liegeの図書館を訪れる。今日は中央図書館の方。

11世紀、12世紀・・・の楽譜の貴重なmanuscrit(手書きの楽譜)を見せて下さる。

リエージュ出身の作曲家でオルガ二ストのセザール・フランクやギョ−ム・ルクーのmanuscritも目にすることができる。

 

11月23日dimanche

雨模様の日曜日。

午後Bellevueにあるビール工場を友人たちと訪れる。

工場を見学したあとはクリーク(サクランボのビール)を楽しむ。

 

 

11月22日samedi

夜BFのうちでチーズ・フォンデュをする。バゲットを小さく切って、ポテトや野菜とともにあつあつのチーズにひたしていただく。白ワインとともに・・身体が温まる。

 

11月20日jeudi

風邪はだいぶよくなってきたようだ。

夜久しぶりにOPLのコンサートを聴きにゆく。

今日のコンサートは生放送されるということでテレビ局がきている。

James Ehnesというカナダ人の若手ヴァイオリ二ストがブラームスのヴァイオリンコンチェルトを弾く。彼のストラディヴァリウスはリエージュのヴァイオリ二ストMartin Marsick(1848-1924)のもので、その美しい音色を堪能する。

 

 

11月16日dimanche

雨の日曜日。午後Tilffのカフェへ女友達2人と。ここのカフェはショファージュ(暖房)があまり効いておらず、コートを着込んだまま2時間くらい話す。仕事、恋愛・・・どこの国でも女同士がする話って同じ気がする。

 

11月15日samedi

夜友人の誕生日会に招待されていたので友達の車で行く。アペリティフのあとはサラダ、七面鳥のカツレツ、デザートにアイスクリームの盛り合わせ。そして彼女のママ手作りのギターの形のチョコレートケーキに歓声が上がる。

食後ピアノを弾いてほしいと言われて2,3曲弾く。鍵盤の重いピアノで少々弾きにくかったが。

実はこういう場面で弾くのは苦手だ。家族や親しい人たちの前で弾くというのが・・妙に照れて集中しきれないから。

 

11月12日mercredi

相変わらず咳が止まらない。いつになったら止まるのかしら・・

Encyclopedieの授業で今日はリエージュ大学の図書館を訪れる。音楽学に関する本が沢山・・・

コンセルヴァトワールの学生も利用してよいとのこと。

帰り先生と一緒に行った生徒たちとカフェで話す。

 

11月11日mardi

Armistice 第1次世界大戦休戦記念日の祝日。

秋晴れ。午後友人とモダーヴ城の並木を見にゆく。茜色のブナで有名な並木はすでに葉がずいぶん落ちていた。

 

Esneuxの町のレストランでおそい昼食をとった後、カフェで一休みして、Foret du Rond Chaine ロン・シェ−ヌの森を訪れる。黄色やオレンジ色の葉が傾きかけた陽に染まって美しい。カサカサと落ち葉を踏みしめながら歩く。

 

 

 

11月10日Lundi

夕方主治医の所へ行く。やはりのどがかなり赤く腫れているとのこと。3種類の薬を処方してくださる。水に溶かして飲むAcetylcysteineとのどスプレーと夜寝る前に飲むシロップ。

 

 

 

11月9日dimanche

相変わらず風邪。咳のし過ぎで肺のあたりの筋肉が痛い。こんなにひどく咳が出るのなん

て本当に久しぶりだ。

日曜日なのでベッドで安静にして過ごす。

 

夜 BFが天然蜂蜜と厚手の毛布、薬、そして中華のアンポルテを持ってきてくれる。

 

 

 

11月8日samedi

アパートの前の広場の銀杏が黄色に染まっている。葉がそろそろ落ち始めてまるで黄色の絨毯を敷いたよう・・

 

夜友人の誕生日パーティー。プレゼントとお菓子を持って訪れる。

手作りのスパゲッティ・ボロネ−ゼはとても美味しく、楽しい時間を過ごす。しかし夜が更けてくるにつれ、咳がひどくなってきたので早めにお暇する。

 

 

 

11月7日vendredi

風邪はまだ治らない。夜になると咳が止まらず、呼吸が苦しい。熱は37度少しと高くはないのだがやはり身体全体がだるい。

夜ボーイフレンドが花を持ってやって来て、栄養をつけたほうがいいと食事に連れて行ってくれる。身体を温めたほうがいいとアペリティフをすすめられピノを少し飲んで、gambas(中型の海老)や白身魚のブレゼとクスクスをいただく。

 

 

11月4日mardi

のどが痛い。風邪をひいたらしい。私はあまり風邪をひかない方なのだけど・・

とりあえず手元にある薬を飲む。

 

 

11月1日samedi

昼過ぎボーイフレンドと車でフランス北部の町 リールへ。

途中からあいにく雨模様となるがAutoroute(高速道路)沿いの木々はすっかり色づき、赤や黄、オレンジと絵の具で塗ったような美しさ。

リエージュから車で約2時間弱、国境を超えるとすぐにリールに着く。

グラン・プラスにあるビストロでおそい昼食をとったあとvieu Lilleのあたりを散歩。石畳に色とりどりの看板、かわいらしいパン屋、インテリアや洋服の店・・とウインドウショッピングするには格好の界隈。しばらくウインドウショッピングを楽しんだあとはパン屋で美味しそうなブリオッシュを明日の朝食用に買ってリールの町を後にする。

夜 友人宅であるハロウィーン・パーティーへ。皆思い思いの仮装をして行くことが決まりなので、私と彼はマスクをしていく。

エントランスにはかぼちゃのオブジェが置かれ、家のなかもいろいろ飾り付けされている。

大音量で流れる音楽に合わせて皆踊る。バカルディ−をかるく飲んで踊っていたら急に酔いが回り、リールに行ってきた疲れも出て猛烈に眠くなったので12時前にはおいとまする。

 

10月31日vendredi

夜ピアノリサイタルを聴きに行く。会場はリエージュから車で約30分ほどのところにあるVerviersのプロテスタント教会。薄暗い明かりに照らされた祭壇には古いスタインウエイが。

プログラムは前半がバッハのパルティータ1番、シューベルトのソナタOp.143( DV784)イ短調、休憩をはさんでショパンのバラード1番、リストのペトラルカのソネット104番、ラフマニノフのMoment musikaux n。3、4 Op.16、最後にリストのメフィストワルツ。アンコールはショパンのエチュードOp.10-1。

とてもいいリサイタルだった。

リサイタル終了後 一緒に行った友人と町の中心にあるギリシャ料理のレストランで食事。オリーヴやフェッタ(チーズ)とともにアペリティフを楽しんだあとは友人はカルマやscampi(えびフライ)や魚などの盛り合わせを、私は舌平目のムニエルをいただく。大変美味・・コンサートの余韻とともに親しい友人と美味しい食事をいただくのは至福のひととき。

 

10月30日jeudi

Toussaint(カトリック万聖節)の休暇。

夕方知り合いに誘われ、手作りアイスクリームのお店へ。

サロン・ド・テでベリーづくしのパフェをご馳走になる。とても美味しかったのだが途中から話に熱中するあまりスプーンを動かす手が止まり、最後の方は溶け気味・・

帰り、車窓から見る夕暮れが美しい。

 

 

10月29日mercredi

Encyclopedieの授業で今日は前回に引き続きchiffles romains(ローマ数字)について。

私は普段せいぜいXXくらいまでしか使うことがないので、50以上の数字の表記法は

なじみが薄い。

50はL、60はLX、90はXC、100はC、200はCC、400はCD、500はD、800はDCCC、900はDCCCCあるいはCM、1000はM・・といった具合。

古い楽譜や著書にはこのローマ数字で出版年が印刷されている。

いくつかの古い本を手渡され、出版年を生徒が答えてゆく。私はラテン語で書かれた本の出版年を答える。MDCCXCIIIつまり1793年に書かれた本。

午後鍵盤和声のレッスン。シューマンのリートの伴奏付け。リートのなかではシューマンがとりわけ好きだ。

夕方マリーとプロコフィエフのヴァイオリンとピアノのためのソナタNo.1O Op.80の2楽章の合わせ。

 

10月28日mardi

滞在許可証の延長手続きのため朝コミューンへ。早めに行ったので20分ほど待ってすぐ順番が来る。

今日の窓口のムッシューはとても感じのよい人だった。スタンプを押す欄がなくなったので新しいものと交換してくれる。コンセルヴァトワールの昨年度の成績表と今年度の在学証明書を提出し、手数料の4,80ユーロを払い、手続き終了。

午後久しぶりに陽がさす。Jardin botaniqueの木々が黄色に染まり美しい。

 

 

10月27日Lundi

午後伴奏法のレッスン。今日はモーツァルトのオペラ“フィガロの結婚”の中からいくつか抜粋、初見で弾く。

 

 

10月26日dimanche

10月最後の日曜の今日から冬時間となる。時計を1時間戻し、日本との時差は8時間。

午後ブリュッセルのTerburenにある王立アフリカ美術館を訪れる。ライオンやトラの剥製が迫力満点だった。その後ソワ−ニュの森を散策。黄金色に染まった森の中を歩く。2年前新緑の頃来たときとはまた全然違った風情。

ハロウィーンが近いせいか、あちらこちらに顔型にくりぬかれたオレンジ色のかぼちゃが置かれている。

金色の木のアーチを通り抜け、友人たちとクルミの実や手作りクッキーとともにティータイムを楽しむ。

 

10月25日samedi

今日も寒い。午前中部屋の掃除。午後買い物と洗濯。

夕方友人とビリヤード。この前に次いで2度目にしては上出来と言われる。

ビリヤードの後はトルコ料理のレストランで食事。初めて飲んだトルコの赤ワイン        は軽めでフルーティーな味わい。

食事を終えて外に出ると冷たい風。

 

 

10月24日vendredi

昨日冷え込みがすごいと思っていたら

初雪が降る。すでに12月くらいの寒さ。今年は夏が暑かったから冬寒さが厳しくなるらしい。

くるぶしまであるコートを着込み、帽子をかぶり、マフラーをぐるぐるに巻き、手袋をし、完全武装で出かけるが、それでも寒い。

夜 友人とムーズ川向こうのこじんまりしたレストランで食事。よく冷えたシャルドネとともに舌平目のsauce de la maisonに舌鼓を打つ。キャンドルのやわらかい明かりと低く流れるクラシックが心地よい。

ヨーロッパ人は家のなかでも白熱灯のやわらかい明かりを好む。キャンドルも日常的によく使う。

私も明るすぎる照明は苦手で、少し暗めの方が落ち着く方だ。

 

 

10月23日jeudi

夕方 コンセルヴァトワールからバスでブリュッセル パレ・デ・ボザールへピエール・ブーレーズのコンサートを聴きに行く。

19時からピエール・ブーレーズ自身による曲の説明などがあり、20時からコンサート。

“Eclat multiple”

ブーレ−ズの指揮は一分のすきもない完璧なものだった。

外に出るとかなりの冷え込み。頬を刺すような冷たい風。

バスでリエージュにPM11時半頃着き、友人たちと軽く飲む。

 

 

10月18日samedi

昨日乗ったアトラクションのせいか、朝起きると首が痛い。

夜 友人宅でフロマージュ・パーティー。

色々な種類のチーズを皆で持ち寄って生ハムやぶどう(マスカット)、ワインとともに・・。

私はくせのつよいチーズは苦手なのでもっぱら軽めのGoudaやnazarethなどをいただく。ピレネーというフランスのチーズ、初めて食べたのだがとても美味だった。

framage d'herbeは包みを開けた途端強烈な匂いが鼻につくが、薄く切ったバゲットにこれをのせ、リエージュシロップをとろりとたらしてオーヴンで軽く焼いて食べると美味しいとチーズ好きの友人たちは美味しそうに食べていたが、私はこれはパス。こちらの友人のなかにも私と同じように癖の強いチーズは苦手な人がいて、彼はしきりに窓を開けていた・・

沢山の種類のチーズを食べた後はカードをしたり、ビデオを見たりする。

 

 

 

10月17日vendredi

夕方まで練習して夜 友人と待ち合わせしてfoireへ行く。

観覧車にだけ乗るつもりが今年初お目見えのアトラクションeclipseに乗ることになり、もう生きた心地がしなかった。ヴァイキングの360度版とでもいえばいいのか、時速110キロで一気に落ちるかんじ。ほとんど失神寸前・・

観覧車も久しぶりに乗ったら意外と怖く(こちらの観覧車には窓もドアもない)風で揺れたり(誰かが回したり?)頂上で止まったり・・と微妙に怖い。夜景を楽しむつもりが全身硬直状態・・・(観覧車で泣いた人って私くらいではないだろうか)

乗り物に乗った後はやたらとお腹がすいたので焼き栗やシーフードを食べる。

 

 

10月14日mardi

夜 オペラ・ロワイヤル・ド・ワロニ−にドニゼッティのオペラ“Lucia di Lammermoor”を観に行く。ルチア役はDarina TAKOVA。

 

一家の仇敵と恋仲になったルチアが、別の男性と無理に結婚させられて狂死し、恋人もみずから死を選ぶという悲劇。19世紀前半のイタリア ベルカントの美しい旋律が随所にちりばめられ、とくにコロラトゥ−ラの名曲とされるルチア狂乱の場のアリアは素晴らしく、感動する。

 

 

10月13日Lundi

午後伴奏法のレッスン。今日は“ラ・ボエーム”の4幕(ミミが死ぬ場面)を。

 

【結核に冒され、愛するロドルフォを別れていたミミが最期は愛する人の腕の中で死にたいと二人が初めて出会った場所、カルチエ・ラタンのアパートの屋根裏部屋に戻ってくる。出会った日のことを語る二人・・・やがてミミはロドルフォの腕の中で静かに息を引き取る】

 

数年前ウイーンのオペラ座でラ・ボエームを見たことがあるのだが、そのシーンを思い出しながら弾く。

 

10月12日dimanche

日曜日。朝の日差しで目が覚める。日本の秋晴れを思わせる青空・・

お昼にガスパッチョとともにサンドウィッチを作って食べる。

 

夜友人宅で夕食を一緒に。

アペリティフのあとは chou-fleur(カリフラワー)のポタージュ、きのことさやえんどうのリゾット、ソーセージ添え。

いつもながらとても美味しくいただく。

食事の後はデザートのアイスクリームを食べながらビデオで映画を見る。

“Rires et chatiments”というコメディー。主役の男の人があまりに可笑しくて皆爆笑。早口で喋るので分からないところもあったが彼らにとってもフランス人特有の略したり単語の最初と最後をひっくり返したりする言い方で分かりにくいときもあるとのことだった。

 

10月10日vendredi

朝8時半からイタリア語の授業。今日も先生がペラペラと喋られる。私は相変わらず???というかんじ・・周りは歌科の生徒がほとんどなのでけっこう理解している様子で先生の質問にもすらすらと答えている。

先生は大丈夫大丈夫と言って下さるが・・

耳から慣れた方がよいというのでCDを貸してくださる。

ドイツ語は今日は休講。

 

午後いつもなら練習するところだが頭痛がひどいのでうちに帰って休む。ときどき起こるひどい偏頭痛・・これが起こると吐き気とともに顔面まで痛くなり何もできなくなってしまう。薬もなかなか効かないし、ものすごく厭世的な気分になってしまう。 

夜気分が少しよくなったのでリエージュ・フィルのコンサートに出かける。

OPLのコンサートを聴きに行くのは今シーズンになって初めてのこと。ボリス・ベルキンがプロコフィエフのヴァイオリンコンチェルト1番を弾いた。先日のリハーサルのときも聴いたが何度聴いても素晴らしい。後半はラヴェルの“マ・メール・ロワ”と“ダフニスとクロエ”

帰り道FOIREの観覧車がライトアップされていて美しい。

 

 

10月9日jeudi

ここのところ毎日曇りのち雨といったぐずついた天気が続いている。こう毎日灰色の空で天気が悪いといささか気分が滅入る。まあベルギーは年間の3分の2以上が雨といわれてはいるけれど・・

11時から音楽史上級の授業。先々週からのチャイコフスキーに続いて今日はムソルグスキーについての講義。

“Boris Godounov ” “La Kovanchtchina”などのオペラやいくつかの歌曲などを聴く。

“Les enfantine”という子供のために書かれた曲、初めて聴いたが1曲1曲がお芝居のようで楽しい。とくに“a cheval sur un baton”がホップ、 ホップ、ヘイ!という掛け声が軽快で楽しい曲。 ムソルグスキーはシューマンの影響をつよく受けているといわれている。分裂症気味なところもどこか合い通じるものがある。

 

 

10月7日mardi

ピアノのレッスンでショパンのコンチェルト1番の2楽章まで弾く。2楽章アダージョ・・なんて美しいんだろう・・

「ホ短調協奏曲のアダージョは月の輝く美しい春の夜にまどろむ夢のようだ」(ティトスへの手紙)

それからリストの「伝説」より“小鳥に語るアッシジの聖フランチェスコ”を弾く。

 

 

10月5日dimanche

去る5月にブリュッセルで個展を見て以来その画家の絵に魅せられている。彼女の名はIsabelle Pingen。先日expositionの招待状が送られてきたので出かける。ヴィヴィアンとヴァンサンを誘って・・。 

ブリュッセル近くのソワ−ニュの森近くの閑静な住宅地。地図が曖昧でたどり着くまで随分時間がかかった。

着いてみるとそこは彼女のアトリエ兼住宅だった。 

画材や描きかけの絵などが無造作に立てかけられている。

風景画、人物画ともに静かな作風。風景は海を描いたものが多い。どことなく日本の海に似ているので訊いてみたら日本には行ったことがないとのことだった。飛行機が苦手だから・・。

私は人物画の方に惹かれる。たいてい女の人でうつくしいローズ色で描かれている。

特定のモデルを描いているわけではなく、想像上の人物とのこと。どこか遠くを見つめているようなアンニュイな表情の女のひとの絵が多い。

外に出ると小雨。ここのところ急に寒くなってきたのだが今日も冷える。

 

 

10月4日samedi

友達の誕生日会。夜皆でギリシャ料理のレストランに行く。アペリティフで乾杯してから、イカリングや、タラマ、フェッタ(ギリシャのチーズ)などのオードブルをとって、メインは各々好きなものをとる。

私はYouvetsi de Corfou(海の幸のグラタン)にした。なかなか美味。

ギリシャ料理でお腹が一杯になった後は、Parc d'AvroyにFOIRE(縁日、移動遊園地)が来ているので皆で行く。デザートにラックマンと言うシロップのかかった薄いゴーフル(ガレット)を食べる。

綿菓子はbarbe a papa(バーバ・パパ)、りんご飴はpomme d'amour(愛のりんご)という。なんかロマンティック・・

最新のアトラクションに2人が挑戦していた。あんなにぐるぐる回されてまっさかさまに落ちるなんて生きた心地がしなさそう・・・見ているだけで背筋が凍る。

FOIREを見て歩いたあとは近くのボーリング場でボウリングする。ボウリングするのなんて久しぶり。

私は調子のいいときとわるいときと非常にムラがあるのだが、今日もいきなりストライク、そのあと溝掃除とその傾向を大いに発揮してしまった。皆最初はブラボーとか言ってくれていたが、だんだん“サ・アリーヴ”(よくあることだよ)“セ・パ・グラーヴ”(たいしたことないよ)etc..→・・・(無言 ─慰めの言葉が見つからないためと思われる)

何にせよ皆それぞれ性格が出るようで見ていて面白い。

 

 

10月3日vendredi

夜 夕食をとっていたら、コンセルヴァトワールの友達が訪ねてきて、この夏ヴァカンスで行ったザルツブルグのお土産をくれる。“Stille Nacht,Heilige Nacht”(聖しこの夜)の手書き楽譜の複写でポストカードより少し大きいくらいの美しい紙に印刷されている。とても嬉しい。 

 

 

10月2日jeudi

夜 知り合いと郊外の雰囲気のよいレストランで食事。

ポルトをアペリティフに、メインは彼は鴨肉のマスカット添え、私は魚にした。

アルザスのワインとともに・・

食後川沿いを散歩。ほろ酔い気分で、偶然そこにあったブランコに乗ったら夜風が気持ちよかった。ブランコに乗るのなんて子供のとき以来・・童心に返る。 とても楽しい夜のひととき。

 

 

10月1日mercredi

鍵盤和声の今年度最初のレッスン。今年から新しくいらしたマダム コッペノル先生はとてもやさしいかんじの先生だ。いくつかのカダンスとメロディーの伴奏付けをしたら褒めて下さる。

レッスンが終わって外に出ると久しぶりの雨。

 

 

9月29日lundi

今学期最初の伴奏法のレッスン。歌科のマイテが来てくれてべッリー二のオペラノルマの第1幕のアリア「ノルマの祈り」、ドニゼッティの“Lucrezia”を合わせる。

ノルマはとりわけ好きなのでうれしい。

 

 

9月28日dimanche

天気がよいのでバルコニーにテーブルを出して朝食をとる。ラジオから流れるバロック音楽など聴きながら・・。昔から日曜日の朝食というのが好きだ。いつものようにあわただしくパンとカフェ(あるいは紅茶)というのではなく、スクランブル・ド・エッグやサラダ、フルーツも・・とイギリス式にする。

大学の卒業旅行で友人と訪れたロンドン最後の日の朝、最後くらい豪華にとハイドパークホテルで庭を眺めながら優雅な朝食をとったことを思い出す。

朝食の後は部屋の掃除。天気がよいと掃除しようという気分になるもの・・鼻歌交じりにチャッチャと済ませる。

午後Sprimontという町にヴィヴィアンとヴァンサンと行って乗馬。彼女の愛馬“Kajimoto”はとても大きく、乗るとかなりの高さ。

最初は怖くておっかなびっくり(乗馬をするのは私の人生において2回目。といっても前回は日本で初心者のための体験コースといったのに参加したことがあるだけ。

“落ちる、落ちる!”と叫び、2人は“サヴァ、サヴァ(大丈夫、大丈夫)”と苦笑していた)

しかしKajimotoはとてもやさしい性格の馬でじきに慣れていった。

構内ではなく、森の中を馬に乗って散歩するのは自然と一体になれるようで、また格別だった。馬に乗っていると他の動物たちも警戒しないのだとか。

乗馬の後はちょうど近くの町でハロウィーンのお祭りがあるというので行く。

さまざまな形のかぼちゃの飾り、魔法使いのお人形(幸運を呼ぶとされている)、チョコレートボンボンやマジパン、ソーセージやチーズを売る店などがあり、多くの人でにぎわっていた。

夜ヴィヴィアン宅で食事。イカリングのフライとriz avec legumes。 赤ワインとともに美味しくいただく。デザートはtarte au riz(お米のタルト。カスタード味 こちらではポピュラーなお菓子)とtarte aux pommes(りんごのタルト)。お腹が一杯となる。secret thibetainというお茶がエキゾチックな味わいで美味しかった。

 

ウチダより:あのさ、そのウマってKajimotoじゃなくてQuasimodo じゃない?『ノートルダムのせむし男』の

 

9月27日samedi

夕方買い物に出かけたら、サンランベール広場でジャック・ブレル オマージュ コンサートのリハーサルをやっていた。コンセルヴァトワールの友人も何人かオケでヴァイオリンやチェロなど弾いていた。

複数の歌手が歌ったが、パトリシア・カースが“Quand on a que l'amour”“Ne me quitte pas”を歌ったときにはリハーサルにもかかわらずひときわ大きい拍手が送られていた。

 

 

9月26日vendredi

イタリア語とドイツ語の1回目の授業が始まる。

朝8時半からまずイタリア語の授業。男の先生。

イタリア語を習うのは初めてで単語といえばボンジョルノ、アモーレ、チャオくらいしか知らない。今日覚えたのは

“Io sono pianista.”

(Moi, je suis pianiste.私はピアニストです)

くらい。

アクセントが非常に大切とのこと。それからrのあの独特の巻き舌が難しい・・。トリノのブタさんに伝授していただきたい。。

続いて11時からドイツ語。

今度は女の先生。文法などは極力自分で勉強、授業では実践的なことをしてゆきたいとのこと。

今日はシューマンの有名な歌曲ミルテの花の一曲目Widmung(献呈)を聴く。何度か聴いて、聞き取れた歌詞を書いて、分かる人が発表したり・・

次の授業までに訳しておく。まず辞書を買わなくては・・・

夜 帰国する日本人3人のお別れパーティー。

沢山の人。

 

 

9月24日mercredi

朝10時からLecture et transposition((初見と移調)のレッスン。

フランス語の歌詞を歌いながら、伴奏譜を移調して弾くのは難しい。目と耳と頭をフル回転させるといったかんじ。

11時からbibliothequeのsalle de lectureでEncyclopedie de la musiqueの講義の一回目。

音楽家や音楽学者にとってtresor(宝)ともいえる古い楽譜に囲まれて、今日はここ、リエージュの王立コンセルヴァトワールの歴史について聞く。

イザイやヴュータンら名ヴァイオリ二ストを輩出してきた学校として名高い。

セザール・フランクがプルミエ・プリの試験のとき弾いた曲や、かつてリストがここに演奏しに来たときの貴重な直筆メッセージなども目にすることができる。

 

 

9月23日mardi

今学期最初のピアノのレッスン。

シューベルトのソナタイ長調とシューマンのファンタジーシュトゥック、ショパンのコンチェルト1番の1楽章(途中まで)を弾く。

ショパンが二十歳のとき作曲したこのコンチェルトの1楽章の美しいテーマを弾くたび、胸が締め付けられそうになる。

 

9月21日dimanche

今日も快晴。午後少し眠って、夜友人と中華レストランで食事。アスパラ、カニ入りスウプをアントレにアルザスの軽めの白ワイン ピノとともに鶏のピリカラ、シーフードのあんかけをいただく。とても美味なり。

食事の後ビリヤードをする。私はほとんどルールも知らない初心者なので彼がいろいろ説明してくれる。ときどきビギナーズ・ラックと思える瞬間があった。こつをつかんだら、あとはともかく集中力が大切だ。

 

 

9月20日samedi

快晴。 ベルギー・日本交流会の人たちとアントワープ(フランス語ではAnvers)へ。

待ち合わせ場所のノートルダム大寺院前に着くとちょうど寺院で結婚式が終わったところで、花嫁、花婿の両親らに続いて新郎新婦が出てくる。

たまたまそこに居合わせた人たちも皆笑顔で祝福している。ヨーロッパでは土曜日の教会でよくこういう光景を目にすることができる。

しばらくして寺院の中を見学しルーベンスの祭壇画“キリストの昇架”“キリストの降架”“聖母被昇天”何度見ても素晴らしい。

大寺院を後にして フランドリア社の船に乗り、シュヘルド川をクルーズ。雲ひとつない青空、真夏のような日差し・・最高のクルーズ日和。今夏最後のヴァカンス気分を味わう。

 クルーズのあとはグランプラス周辺を少し歩いて、夜は大寺院前の老舗レストランRooden Hoedでビール、ムール貝、フリットゥの典型的ベルギー料理を楽しむ。

 

9月19日vendredi

今日も真夏のような暑さ。9月も半ばを過ぎたというのにこの陽気はヨーロッパではちょっとめずらしい。ヴァカンス気分から抜け切れない人たちが(私も?)カフェのテラスや街にあふれている。

午後ヴィヴィアンとオレリアとカテドラル前で待ち合わせし、カフェで冷たいものを飲んでから、街を歩く。オレリアが洋服を買うのにつきあったり、FNACに行ったり・・・

FNACからPassage Lemonnierを抜けてサンジャック教会前を通ってd'Avroy公園を抜けてオレリアの家に着いたころにはさすがに足が痛くなる。

オレリアの家近くのピッツァリアで食事。2人はピザを注文したが私は大きなピザを食べる気分ではなかったのでパスタを注文したら、茹ですぎで(こちらのレストランではよくあること アルデンテという概念がないらしい)こんなカルボナーラ見たことないというほど変なカルボナーラで(ゆですぎの極細パスタ、ハムと炒り卵、液体状のスープが下にたまっている)どんなにがんばっても4分の1くらいしか食べられなかった。注文したものがまずいと悲しい。

歩きすぎて足が痛いのとまずいカルボナーラとでどっと疲れが押し寄せてきて早めに別れる。

 

9月18日jeudi

昨日に引き続き、夏に逆戻りしたかのような陽気。28度近くあるらしい。

11時から音楽史上級の授業が始まる。今日はBergについて。いくつかのシャンソンを聴く。

13時に授業が終わり、天気がよいので外で昼食をとる。

 

 

9月17日mercredi

映画“Mariees mais pas trop”を見る。(監督はCatherine Corsini 2003年フランス)

ジェーン・バーキン扮するルネは次々に金持ちの老人をつかまえては結婚を繰り返している。

男運のない孫のロランスにいかにしてリッチな男の心をとらえ、結婚し、なるべく早くその男から自由になり(つまり殺してしまうのだが)、お金を得るか・・・というようなことを伝授してゆく様子がコミカルに描かれ、ひどいことをしているにもかかわらず、どこかユーモラスで憎めない。

見に来ている人たちは皆女で度々笑い声がもれていた。

 

9月16日mardi

ピアノの教授と今年度弾く曲のプログラムについて話す。

べ−トーヴェン、シューベルト、シューマン、ショパン、リスト、シェ−ンベルグ、武光徹etc......約10曲。

夜アパートの三階に新しく越してきた中国人の男の子2人が鶏の炒め物と中華風オムレツをご馳走してくれる。

彼らにもTVで君を見たと言われる。何か似ている人を見たことあるなぁと思って見ていたら同じアパートの階下の住人ということで驚いたそう。

 

 

9月13日samedi

快晴。

午後churchillでトリュフォーの1969年の映画“La Sirene de Missippi”を見る。カトリーヌ・ドヌーヴが美しかった。

夜 中華レストランで久しぶりに会う人たちと食事。Salade chinois au pouletやPoulet croquanteSichuanなど美味しくいただく。

リエージュ・フィルのnouvelle saisonのTVコマーシャルにちょこっと(2秒くらい)私が出ているらしく、TVで君を見たよと言われる。そういえばコンセルヴァトワールの友人らも言っていた。私はTVを持ってないので見ていない。

 

9月11日jeudi

リエージュから電車で約40分余のナミュールを友人と訪れる。

駅は最近新しく建てかえられのか、光があふれ、非常にモダンな印象。

まず、Musee des Arts ancien(古典美術館)へ。HUGO D'OIGNIESの素晴らしい作品を見ることができる。カトリックの聖遺物箱やゴブレット、福音書のカバー(これはベルギー7大秘宝の1つであるとか)、十字架・・・・普段はノートルダム尼僧修道院宝物室にあるものがしばらくの間ここで展示されているとのことだった。

ミュゼを後にして少し歩いてノートルダム修道院を訪れる。私は日本で高校時代 ノートルダムに通っていたこともあり、その本拠地であるここ、ナミュールのノートルダム修道院を以前から一度訪れてみたいと思っていた。

本来一般の人は中に入れないのだが、受付で日本のノートルダム学園の卒業生であることを告げると、シスターがあたたかく迎えてくださる。

シスター マリー・フランシーヌは聖堂や中庭、同じ敷地内にある学校など熱心に説明しながら案内してくださる。聖堂のシンプルなステンドグラスの何という美しさ・・・創立者マザー・ジュリー・ビリアートの像の傍らには彼女の愛してやまなかったひまわりの花が一輪活けられていた。

シスター マリー・フランシーヌは私がフランス語を分かると知ると喜んで、本当に熱心に説明してくださり、気がつくと2時間近く経っていた。もう70代こうはんくらいとお見受けしたが、たいへん笑顔の素敵なシスターだった。

シスターと別れて、シタデル(城塞)に向かう。ナミュールの街を一望する。全体的にオレンジ色の印象。レンガのせいだろう。

夜美味しいと評判のレストランAu trois petits cochonsで食事。ガスパッチョや海老とクスクスのサラダが美味。

 

 

9月9日mardi

昨日に引き続き、友人とドライヴ。今日はナミュールの程近く、かねてより訪れたいと思っていた美しい庭園で有名なアンヌヴォワ城を訪れる。

この広大で美しい庭園はヨーロッパでも有数のものだとか。

傾斜ごとに噴水や滝がつくられ、城の周りの池には白鳥や鴨の姿が・・

 

残念ながら城は現在工事中で公開されていなかったので公園をゆっくり散歩する。

フランスの滝、イギリスの滝、水階段、銀の橋、トロンプルイユ、アーチチョークの池、ため息の小道、いのししのサロン。ミネルヴァの小部屋、水を吹く少年、ネプチューンの岩、トリトンの泉、花園etc....素敵な名前が付けられており、1つずつ確かめながら歩くのもたのしい。

黄色に色づき始めた木の葉が午後の優しい日差しに透けてうつくしい。時のたつのをわすれる。

パンジーやチューリップ、水仙などの花が咲き乱れる春か、初夏にまた訪れてみたい。

 

9月8日Lundi

友人とアルデンヌにあるモダ−ヴ城を訪れる。

13世紀に建てられ、17世紀に城主のマルシャン伯爵によって再建されたこの城は大変優美で特にダイニングルームのヘラクレスの間は素晴らしく、ダイニングテーブルの上にはフランス ジアン製の食器、リエージュ サンランヴェール社のクリスタルが・・・

ローズ色のクリスタルグラスの美しさは特筆すべきだろう。

2階には紫檀のピアノが、また女公爵の寝室の家具─リエージュ レジャンス様式のチェストやオランダの寄木細工の机など素晴らしかった。

車窓から眺めるアルデンヌの森の木々は色づき始めている。あと1,2週間もすれば素晴らしい紅葉を見ることができるだろう。

 

9月6日samedi

11時35分発のエールフランス291便で日本を発つ。低空飛行のとき耳が非常に痛くなる。ときどき

こうなることがある。フランス人のスチュワーデスから 鼻の片方をつまんでもう片方からゆっくり空気を抜くようにしたらいいですよとアドヴァイスを受け、そのようにしてみると幾分ましにはなるが、すぐに痛くなる。それもかなりはげしく痛いので、早く着陸してくれることを望むばかり。

シャルル・ド・ゴールに着くと曇り、20度くらいの気温。

3時間くらい待ち時間があり、タリスでブリュッセルに着いたのは夜の9時ごろ。肌寒い。薄手のコートが要るくらい。

そこから電車に乗り、リエージュに着くころにはもう眠気と疲れでふらふら。機内で眠ることができればもう少し楽だとは思うのだが・・・。

駅近くで偶然 アパートの隣人と会い、車で送ってくれる。部屋に着くなりベッドへ直行。

 

 

9月5日vendredi

O氏と母とF美術館のティールームで昼食をとり、新幹線のホームで別れる。

大阪でYちゃんとお茶する。夜は大学時代の友人と食事。

夜 関空近くのホテル泊。

 

9月4日jeudi

Wさん宅に招かれ、昼食をご一緒に。美味しい鯛めしをご馳走になる。

いろいろ楽しくお話しているうちにすぐに時間がすぎてしまう。またゆっくりお話したい。

夜トランクケースを前にああでもない、こうでもないと荷物を詰めたり出したり・・・。帰ってくるときには楽譜以外ほとんど何も入れずに帰ってくるのに、どうしていつも向こうに帰るときには荷物がいっぱいになってしまうのだろう。

服、本、楽譜、CD、日本食、友人たちへのお土産etc・・・を前に頭をかかえる。

 

9月3日mercredi

先日のリサイタルでお世話になった方たちと昼食をご一緒する。美味しい手打ち蕎麦の店に連れて行ってくださる。

かつての庄屋の家を改造したというそのお店はとてもよい雰囲気。蕎麦は・・・今までに食べたことがないほど美味しく、いっぺんに蕎麦党になってしまった。

 

 

8月30日samedi

夜 知り合い二人と食事。彼らと会うのは実に3年ぶりだ。お一人は竹久夢二のコレクターの方で、展覧会を通して知り合った。ご自身も日本画を描かれる。

 あわびやステーキを食しながら楽しいひとときを過ごす。

 

8月28日jeudi

夜7時からリサイタル。Orchidという会場は別名洋らんセンターといい、色とりどりの洋らんが咲き誇り、かぐわしい香りに包まれた中で演奏する。

心配していた雨も止み、お客さんも沢山来てくださり、あたたかいスタッフの方たちに支えられ、素敵な演奏会となった。

リサイタル終了後、打ち上げの席で、一人一人メッセージを言って下さり、嬉しかった。

 

 

8月27日mercredi

朝8時すぎのサンダーバードで新大阪へ向かい、ひかりレールスターに乗り、さらに在来線に乗り、昼すぎ尾道に着き、迎えの車に乗り、その足で明日のリサイタルのプログラム校正をしに行き、夕方4時からOrchidで音響その他スタッフの人たちと打ち合わせ&リハーサル。

 

8月26日mardi

堀込ゆず子さんお勧めの東茶屋街の兎夢で豆腐御膳の昼食。古きよき時代の日本家屋のよさをそのままに残す落ち着いた雰囲気のお店で手作り豆腐が大変美味しく、デザートの抹茶アイスも美味。

 午後2時から石川音楽堂でP・ロジェと堀米さんのリハーサル。7時からコンサート。

 

 

8月25日Lundi

明日のコンサートに向けて ヴァイオリ二ストの堀込ゆず子さんとパスカル・ロジェ氏のリハーサルに同行。ブラームスのヴァイオリンソナタ1番。譜めくりをする。

一流の演奏家のリハーサルを間近で聴くことができて非常によい勉強になる。

夜 コンサートを聴きに行く。今宵はポール・メイエがモーツァルトのクラリネット協奏曲をアンサンブル金沢と弾いた。この曲の2楽章を聴くたびになんてうつくしいんだろうと思う。

 

8月24日dimanche

午後 兼六園を散歩。

夕方から生徒らによるコンサートがある。

夜ピアニストのパスカル・ロジェ氏とクラリネッティストのポール・メイエ氏と食事。

 

 

8月23日samedi

金沢へ。石川音楽堂で国際的な演奏家を教授に迎えてマスタークラスが開かれている。

夜 金沢城に歌舞伎を見に行く。

 

 

8月10日dimanche

倉敷のフェリシテという店でランチ、その後美観地区を少し散歩する。

午後3時ごろ駅で別れて、夜は地元の夏祭りへ父と行く。

 

 

8月9日samedi

友人に会いに岡山へ。彼女とは帰国するたびに会っている。2人の子供たちが大きくなっていてかわいい。お茶しながら色々話する。

 

 

8月6日mercredi

今月末にピアノのリサイタルをすることになった会場にポスター用写真撮影とピアノの試弾に行く。

洋らんに包まれた素敵な会場・・・素敵なコンサートになりそうだ。

 

 

7月26日samedi

夕方浴衣を着て母と母の同僚の方々と住吉の花火を見に行く。海のすぐ側の特等席で間近に見る花火は迫力満点で、心ゆくまで堪能する。

ヨーロッパでもときどき花火を見る機会があるのだが、日本の花火とはどことなく違う気がする。空気が違うせいだろうか。なにかこう、もっとドライであっさりした感じがする。桜を見てもそういう印象。

 

7月25日vendredi

朝8時半すぎに関空到着。

今年の夏は冷夏とは聞いていたが、本当にあまり暑くない。

特急はるか、新幹線と乗り継ぎ、駅に着くと母が迎えに来ていた。

家に着き、自分の部屋に荷物を置いてやっとひといきつく。 

ヨーロッパから日本に帰る度に思うのだが、自分の住んでいたはずの家なのに、なにか他人の家という印象。ヨーロッパでの生活の方が主になってしまったからだろう。

夜、家族3人で食事。

天ぷら、とりのから揚げなど、久しぶりに食べる。日本食は美味しい。

 

 

7月24日jeudi

ブリュッセル南駅AM10:25発のタリスに乗り、パリ

シャルル・ドゴール空港へ。約1時間15分ほどで着く。PM1:45のエール・フランス292便に乗り機上の人となる。搭乗口で偶然松本一将君に会う。コンサートのため日本へ帰るところとのこと。

機内では相変わらず眠れないので、本を読んだり映画を見たり・・それにも飽き飽きしたころやっと関空に到着。

 

7月23日mercredi

ついに三十路となる。いいんだろうかという感じ。ニースでも19才と言われていたし・・・(まあこちらではアジア人はたいてい若く見られはするのだけど19というのは喜んでいいのか悲しんでいいのかちょっと複雑)

30才になったからといって別に昨日までと何も変わるわけじゃなし、これからもマイペースでいくだけ。

残りの夏休みを日本で過ごすことにしたので明日ブリュッセル南駅からタリスでシャルル・ドゴールまで行き、午後1時45分発のエール・フランスに乗る予定。

9月6日まで約一ヵ月半のんびりと過ごす予定にしている。

 

7月22日mardi

暑い一日。朝から洗濯しに行ったり、郵便局に行ったり、銀行に行ったり、お土産を買いに行ったり・・と何かと忙しい。帰国する前はいつもこんな感じだけど。

夜はベルギー人の友人の日本語の添削をちょっとだけ頼まれていたのでカフェに行く。

部屋に帰ってメールをチェックすると

誕生日おめでとうのメールその他が沢山来ていた。皆さんありがとう。

 

7月21日Lundi

夜 Viviane宅で私の誕生日パーティー。(正確には明後日の23日が誕生日なのだが24日の朝に日本に発つので少し早めて)

アペリティフのClairette de Dieで乾杯した後ヴィヴィアンとヴァンサンからリエージュの伝統料理のレシピ本とTシャツのプレゼント。 ジャン・フランソワからは美しい絵の本と写真。うれしい。

メルシー・ミル・フォワ!!(本当にありがとう)

庭でヴィヴィアンお手製のpate a la sauce de scampi(海老ソースのパスタ)を皆でいただく。

ガーリックやエシャロット、白ワイン等がよくきいて複雑な味となっておりとても美味。今度レシピを教えてもらおう。

デザートはやはり彼女お手製のりんごと洋梨のメレンゲ・タルト。柔らかすぎて失敗とヴィヴィアンは言っていたけれど手作りならではの素朴な味で私は大変おいしくいただく。

その後リエージュのお酒Peketの店へ。

3人新たに友人たちが来てくれて夜12頃まで飲む。

楽しく幸せな一日。

 

7月20日dimanche

BJAの人たちとアルデンヌのNisramontにある湖にカヤックをしに行く。

カヤックをするのは生まれて初めての経験だったが、とても楽しかった。二人用の前の席に友人が乗り、私は後ろで最初はおっかなびっくりだったが、見よう見まねでオールを操り、慣れてくるとスピードも出て・・・ときどき他の友人たちに追突されてびしょぬれになったりしてそれもまた楽しという感じ。漕ぐのに疲れたらボーっとして

2時間弱カヤックを楽しむ。

その後友人たちが泳ぎ始めたので、私も、と湖に入り、泳ごうとしたのだが、急に深くなって足が届かなくなり、溺れかけたところをBJAのメンバーのべルギー人の男の人に助けられる。

まるで映画のワンシーンのようだった。

その後La Rocheの小高い丘の上でバーベキュー。サラダに肉、ソーセージなど・・。

自然の中で友人たちと食べる食事は本当においしい。

明日はFete Nationale Belgeとのことで 夜城でSon et lumiere(音と光のショー)、そして花火が上がる。演出が凝っていて花火もとてもきれいで最高の一日、最高の夜。

 

7月19日samedi

午前中旧市街のマルシェを覗きにゆく。

新鮮な野菜、甘い香りの果物、オリーブオイルetcなどを売る店が所狭しと並び、活気にあふれている。

ニース名物のSocca(ペッパーとオリーブオイルをかけたクレープ)を食べながら店を見て歩く。

無花果を一山2ユーロで買う。その他ラヴェンダーのエッセンシャル・オイルをお土産用に購入。

お昼を友達になった人たちに誘われていたのでコンセルヴァトワールに行く。

短い間だったけどとても仲良くなったので別れるのがちょっと名残惜しい。皆とEメールアドレスを交換する。

夕方空港に向かい、PM7時35分のVirgin Expressでニースを後にする。

 

7月18日vendredi

バスで約20分ほどのところにあるEze Villageというところに友達になった人たちと行く。

ここは美しい景観で有名なところなのだが、真っ青な海、ニースとその近郊の町が見渡せて本当に素晴らしい。

迷路のような石畳の小路を歩きながら、かわいらしいお店をのぞいたり、少し疲れたら海の見渡せるテラスでお茶したりする。

Grasseに工場のある有名な香水メーカー、Fragonardの店もあり、定番のソレイユ(太陽)というオー・ド・パルファンを購入。

お昼に塩味のクレープを食べて、Eze zVillageを後にする。

譜めくりをロジェ先生から頼まれていたので午後リハーサル(ミッシェル・ベロフとの4手のためのブラームス ソナタへ単調 Op.34)に同行する。現役ピアニストのリハーサルに立ち会えるなんてとても貴重な経験と思う。リハーサルはかるい打ち合わせというかんじであっという間に終わる。

夜9時からコンサート。プログラムはPascal Roge, Michel Beroffによる、ブラームスの

ソナタFa m op34, ラヴェルのラ・ヴァルス,後半がPascal Roge, Olivier Gardonによる

プーランクの2台のピアノのためのエレジー、ラフマニノフの2台のピアノのための作品Op17だった。

プーランクのエレジーを弾く前 加えタバコにコニャックという演出もあったりして、こういう光景はフェスティバルでしか見られないだろう。

アンコールも客席からBrigitte Engererが飛び入り参加して1台のピアノで4人のピアニストが同時に弾いて会場は大いに沸いてブラボーの嵐だった。

 

7月17日jeudi

先生が発表会の前に一度さらっと聞いてくださるというのでお昼前頃Auditoriumへ。

今日は先生は客席で聴かれてトレ・ビアンと言ってくださり、お昼に誘ってくださり、アキちゃんと私とご一緒する。車でCimiezの坂を少し上ったところにある素敵なイタリアンレストラン。先生は店の方たちとすっかり顔なじみのようでにこにこ話されている。

君は今晩弾く人だからワインは禁止!と楽しそうにおっしゃる。

日本にもコンサート等で何度もいらしたことがあるそうで、そのときの話やいろいろ楽しい話を聞かせてくださる。日本語も勉強中とか。

15時すぎからCloitre du Monastere中庭のステージでリハーサル。野外で弾くのは初めてだが、風に吹かれながら弾くのはとても気持ちがよい。

一旦コンセルヴァトワールに戻り、練習して再びMonastereに戻り、18時から発表会が始まる。弾く前 先生がご自分のリハーサルの合間を縫って駆けつけて下さり感激。

ヴァイオリンとフルートの演奏の後私の番が回ってきてモーツァルトのソナタヘ長調を弾く。

レッスンのときよりリラックスして弾けて演奏後先生がよかったよと言ってくださり嬉しかった。 

夜旧市街のレストランで皆で食事。

楽しい人たちが多く、笑いすぎてお腹がいたくなるほど。

こんなに笑ったのは久しぶり。

 

7月16日mercredi

午後レッスン。モーツアルトのソナタを弾く。

先生はトレ・ビアンと言ってくださる。

明日の発表会で弾くことになったので夜8時過ぎまでさらう。3楽章で指がもつれそうになるところがあるのでちょっとこわい。

夜同じクラスのエミさんとノリコさんと食事。もう何年も続けて毎年ニースにいらしている方たちでいろいろなことをご存知。

 

7月15日mardi

PM6時からCloitre du Monastereで選ばれた生徒による発表会があるので聴きに行く。いろいろな国から来た人が弾く。

日本人はアキちゃんがアルベニスのRondena,ゆりちゃんがC.サンサーンス/イザイのワルツ・カプリースを弾いた。

終了後アキちゃん、ゆりちゃん、T君と食事。

ロゼワインとともにsalade nicoise(ニース風サラダ)、魚のグリル、ラザニアなど。

夏 外のテラスで友人たちと食事するのは本当に楽しい。大学3年の夏 ブザンソンでのフランス語研修の帰り、ヴェネチアで内田先生や友達と夕暮れにワインを飲んだ楽しいひとときを思い出す。

 

7月14日lundi

午前11時からロジェ先生のレッスン。

ラヴェルのソナチネを弾く。1楽章、私は先生が腰を抜かして椅子から転げ落ちそうなほど早いテンポで弾き始めてしまう。初めての先生の最初のレッスンというのはいつも緊張してしまうので苦手。しかし一回弾いてしまったら少し落ち着く。

フランスものを得意とされている現役のピアニストならではのアドヴァイスを沢山いただき、ひじょうに勉強になる。音の響かせ方やペダルの使い方、ラヴェルならではの和音の強調の仕方など・・。

 午後聴講と練習をして夜友人になったしのぶちゃんとひろこちゃんと旧市街にあるシーフード・レストランで海の幸を食す。 

海老の地中海風、海の幸のパスタ、パエリアなどをとる。地中海のそばだけあって海の幸が美味しい。

今日はFete National Francaiseなので10時すぎから海辺で花火が上がる。

多くの人。

 

7月13日dimanche

午前中予約していた練習室で2時間ほどさらい、(原則一日2時間までということになっている)レッスンを見学し、午後アキちゃんというパリのCNR(コンセルヴァトワール)でピアノを勉強している同じクラスの女の子と海に泳ぎに行く。

ニースの浜辺は砂浜でなく石で、裸足で歩くとちょっと痛い。波は意外と強く、私の場合泳ぐというより波に流されているという感じだがそれでも充分たのしい。海に行くとストレスから開放され開放的な気分になるのは、海からなにか特別な気体(周波?)が出ているからというのをきいたことがあるけれど、ほんとうに久しぶりにフーッとする。

 

7月12日samedi

AM10時コンセルヴァトワールへ。

今回私の習う先生Pascal ROGE氏のレッスンはAuditorium(ホール)で行われる。

ロン・ティボーコンクールで優勝し、フランスものを得意とするピアニストと呼ばれているROGE氏だが素顔は非常にやさしく、飾らない人柄という印象。実は昨年彼のクラスに登録しようとしたのだがすでに満員で締め切られていたので聴講したのだが、今年は彼のレッスンを受けられるので嬉しい。

私は今日は弾かないので他の人のレッスンを聴講したり、友達になった日本人の女の子たちに頼まれ、レッスンの通訳をする。

今宵もCloitre du Monastereでコンサート。

やはりマスタークラスの教授としていらしているピアニストのBrigitte Engerer, ヴァイオリ二ストのOlivier Charlier, チェリストのHenri Demarquetteによるコンサートでドヴォルザークのヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調 Op.100、ショパンのチェロとピアノのためのソナタト短調 Op.65、ショスタコヴィッチのヴァイオリンとチェロ。ピアノのためのトリオホ短調Op.67が演奏される。

ショパンのチェロとピアノのためのソナタはとりわけ好きな曲なのでうっとりと聴き入る。

 

7月11日vendredi

朝バスでCimiezにあるコンセルヴァトワールに向かう。ここで夏のマスタークラスが開かれるのだ。緩やかな坂道をのぼり、小高い位置に位置するコンセルヴァトワールは白亜の瀟洒な建物。すぐ近くにはシャガール美術館、もう少し上に行くとマチス美術館がある。このあたりは高級住宅街として知られている。

まずセクレタリアに行き、受付を済ませる。

その後 これから一週間の宿泊所となるResidence Cite Parc Imperial(リセの学生寮)に向かう。 ものすごく立派な大きな建物だが、中はいたってシンプル。

日本から来たゆりちゃんという女の子と同室。

今大学3年生でヴァイオリン専攻とのこと。おっとりとした上品な雰囲気漂う女の子で仲良くやってゆけそう。

夜9時からCloitre du Monastere de Cimiez(シミエ修道院)中庭でコンサート。

モンテカルロ フィルハーモニックオーケストラによるコンサートのプログラムはヘンデルのコンチェルト・グロッソ、ヴィヴァルディのファゴット コンチェルト、そして“四季”だった。オレンジ色のやわらかい照明につつまれた野外でのコンサートは夏の音楽祭ならではというかんじで素敵だった。

 

7月10日jeudi

12時20分発のVirgin expressでブリュッセルを発ち、約2時間弱でニース空港に着く。

ブリュッセル空港を発つとき、偶然コンセルヴァトワールのスペイン人の友達ルチアのお父さんに会う。

ニース空港で娘とボーイフレンド一家と待ち合わせてこれからイタリアにヴァカンスで行くとのこと。

空港に降り立つと真っ青な空、椰子の木、生暖かい空気に包まれ、南に来たことを実感。

空港のロビーでルチアたちと少し立ち話する。

彼女とは昨年夏バルセロナのメトロの中でそれこそ偶然に会ったのだが、2回目となると何か不思議なものを感じる。

ルチアたちと別れてシャトルバスでニース市内に向かう。空港を出発してほどなくして窓から右手に海が広がる。浜辺には多くの人が。

30分弱してSNCF(駅)に着き、予約しておいた駅からすぐ近くのHotel Medicisにチェックインしようとしたら冷房が故障中とのことで2件となりのHotel Choiseulに移ってもらえますかというのでウイと行って移動。部屋はシンプルながら冷房がよくきいており快適。フロントの人も親切。フランス語を話す日本人客は少ないとのことで嬉しそうにいろいろ話しかけてくる。

ピアノのマスタークラスは明日からで今日はとりたててすることもないので電車に乗ってモナコへ。25分ほどで着く。

海岸を歩いていると突然日本庭園があらわれ、ちょっと意外な感じ。中に入ってみるとけっこう本格的なつくりで、丸橋のかかる池、枯山水、茶室などがしつらえてある。雛人形や五月人形も展示されている。九州の建築会社によって1993年につくられたのだとか。

少し歩きつかれてバスに乗ってモナコ駅にもどる。バスは街中を通り、カジノや高級ブティックなどの華やかな雰囲気が伝わってくる。そして椰子の木、ハイビスカス等の色とりどりの花々・・・と

どこか現実離れした世界というかんじ。

 

7月9日mercredi

夜Viviane宅でディナー。

先日のお好み焼きのお礼にベルギー料理をつくってくれるという。

メニュウはblanquette de veau(仔牛のクリーム煮)付け合せのポテトとともに美味しくいただく。

エクスアンプロヴァンスから彼女の友人がちょうどベルギーに来ており、彼女も一緒に11時過ぎまで楽しいときを過ごす。

 

7月7日lundi

今日からvacances d'ete(夏のヴァカンス)が始まる。

ニース行きの飛行機を予約しに行く。

Virgin expressでブリュッセル─ニース往復190ユーロだった。Virgin expressはチケットなしでチェックインできるので便利。昨年ニースとバルセロナに行くときも利用したのだが、余計なサービスを省いて価格を下げ、安全性重視というのもいい。

 

7月6日dimanche

午後 リエージュ郊外の のどかな田舎にある友人の家へ。

レンガづくりのかわいらしい家で、広い庭にはクレマチスバラなどの花壇、家庭菜園、鶏に鴨・・とまるでピーターラビットのおはなしから抜け出してきたみたいな風情。

 

庭のテーブルで彼のママ特製カシスのお茶とお手製のレモン・タルトをご馳走になる。甘さ控えめでとても美味しかった。

そのあと友人と小津安二郎の日本映画“晩春”(“Printemps tardif”)を一緒に見る。原節子が輝くばかりに美しかった。そして笠智衆のあの独特の語り口・・

ヨーロッパで 日本映画をわりあいよく知っているいる人は小津映画を好きな人が多い。パリでもよく彼の作品が上映されているようだ。

その他私のパソコンのファイルをCD-ROMに保存してもらったり彼の書いた日本語の文章を添削したりしていたらすっかりおそくなり、再びママンの手作りピザとクレームブリュレとスグリの実のジェラートをご馳走になる。全部手作りであまりに美味しくて感動。料理上手な人って尊敬してしまう。

 

7月5日vendredi

ついにGSM(携帯電話)を購入する。まわりからどうして持たないの?といわれ続けても家の電話で十分だし、頑ななまでに持たない主義を通してきたのだが、室内楽の合わせ等で連絡を取り合うのに携帯を持っていないとやはり不便なので購入することにした。

今ちょうどsolde(バーゲン)の時期で129ユーロのところを99ユーロで購入できる。しかも9ヶ月間いろいろな特典(一時間無料通話etc)が受けられるとのこと。

 

7月4日jeudi

今日も雨。今週に入ってからずっと・・湿気はなく、どちらかというと肌寒い。晴れているときとの気温の差がひじょうに大きい。

コンセルヴァトワールは11日まで開いているので、少しばかり新しい曲など弾きに行って、夜知り合いの日本人のご夫妻とポルトガル料理のレストランで食事。

キャベツやジャガイモの素朴なスープをアントレに、porc aux coquillage(あさりとポークのソテー、ポテトとサラダ添え)をポルトガル名物の発泡白ワインvinho verdeとともにいただく。食後にはエスプレッソを。食後酒のアーモンドの甘いお酒はお店からのサービス。

ポルトガル料理はおいしいとよく聞いていたが、本当に美味しかった。

ご夫妻がポルトガルやベルリン、フィンランド、東欧etcを旅行されたときの話を聞いたり、いろいろな話をして楽しいひとときを過ごす。東欧、特にプラハはとても美しいところだからお勧めとのこと。機会があれば是非訪れてみたい。

 

 

7月2日mercredi

午後 今住んでいる所の4階の部屋から3階の部屋へ引越す。2階の住人アンヌが引っ越すので彼女の使っていた部屋に移ることにしたのだ。

今度の部屋は、今まで住んでいた部屋の3倍以上広く、天井も高いので余計広く感じられる。広場に面してバルコンがあって窓から広場の緑を庭のように眺められる。ここの広場は白を基調とした建物で統一されており、レンガの茶色の建物が多いベルギーの中にあってここはどことなくフランスっぽい雰囲気を漂わせている。日当たりもよく、これからは天気のいい日に窓辺で読書など楽しめそうだ。

大きな家具といったらベッドと机くらいなのでアンヌと彼女のボーイフレンドが運ぶのを手伝ってくれる。(ピアノは後日専門の業者に依頼する予定)

あとの本や楽譜、CD、洋服etcは自分で運ぶ。

3年住んでいると初めのころに比べてさすがに物が増えている。(極力物を増やさないようにしようと思うのだが、楽譜やCDは増える一方)

夕方くらいには運び終え、ほぼ部屋も片づく。

白の壁紙でところどころアクセントに淡いブルーの壁紙が使われている。作り付けのクロゼットも沢山あるので収納には困らない。

床はクラシックな天然木のフローリングで、部屋の中央にはマーブルのcheminee(暖炉)がある。

音楽をやっていなかったらインテリアデザイナーになりたかったほど、インテリアを考えるのが好きなので(中学生のころから外国のインテリア雑誌を愛読していた)レイアウト等考えるのが楽しい。

夜 和声の先生マダムMとその生徒たちとでイタリアン・レストランで一緒に食事。本来はバーべキューの予定だったのだが(毎年試験が終わった時期の恒例行事)ここのところ雨模様の天気が続いているのでレストランでということに。

今のシーズンとてもおいしいクリークというさくらんぼのビールをアペリティフに飲み、ムール貝のパスタを食す。とても美味しかった。

12時くらいまでたのしく喋り、

“Bonnes vacances!”(よい休暇を!)と言って皆と別れる。

 

6月30日Lundi

コンセルヴァトワールの事務室にすべての試験の結果を聞きに行く。

今年から新しいシステムが導入され、学科がどっと増え(数えたら10科目あった)、さらに実技のピアノ、伴奏法、室内楽・・とあらためて表で見てみるとすごい量だ。こんなに沢山あったのねというかんじ。我ながらよく乗りきったものだと

思う。頑張った甲斐あってすべての試験にパスしていた。

楽器、学科を合わせた総合評定はadmise合格 avec distinction(区別、栄誉つき)。

学科はもしかしたら9月に追試を受けないといけないのもあるかも、と思っていたが全部受かっていたので一安心。

というわけで怒涛のような日々が過ぎ去って明日から待ちに待ったヴァカンスが始まる。

7月中に1週間ほどニースにピアノのマスタークラスを受講しに行って、8月は日本に帰る予定にしている。

 

 

6月29日dimanche

夜 友人宅でvideoを見る。さらにごはんもつくってくれる。(男にしておくのは勿体無いほど料理上手)さらにお茶、コーヒー、果物と次々とすすめてくれ、お腹いっぱいとなる。

 

6月28日samedi

友人宅でお好み焼きパーティー。

日本で買ってきて大事にとっておいたオタフク・ソースと青のり、かつおぶしを持参し、スーペルマルシェでできるだけ薄い豚肉を調達し、あとはキャベツ、人参、卵とごくオーソドックスなもの。そばやうどんは使わず、関西風。

仲良しのヴィヴィアンはワカメと豆腐のお味噌汁をつけあわせにつくって、お好み焼きは私が担当。あとの2人はお好み焼きを食べるのは初めてとのことで興味深そうに見ている。

ホット・プレートにタネをそーっとおとして焼いていると、“Comme la crepe!”(クレープみたいだね)と言っている。ひっくり返すとオオー!!っという歓声があがる。

そして仕上げにソースをぬって青のり、かつおぶしををぱらぱらっとふるとオオー!生きているみたいにはねている!とリアクションが面白い。

“Tres bon!delicieux!”(とてもおいしい)と大変好評で何枚も焼く。“Tu est tres douee pour les cuisines!”(とても料理の才能に恵まれているね!)と言われるが、お好み焼きくらいでそんな風に言ってもらえるなんて・・・だって料理といえないくらい簡単なのに。何にせよこんなに喜んでもらえてうれしい。途中からはヴァンサンが焼くのとひっくり返すのに挑戦していた。初めてとは思えないほど上手。皆でわいわいと焼いては食べてたのしいひとときを過ごす。

お好み焼きでお腹がいっぱいになった後は、近くのTilsという町にドライブがてら行き、アイスクリームを食べる。

招待した友人から 先日行なわれたエリザベス王妃国際コンクールの受賞者の演奏が録音された3枚組みのCDをプレゼントされる。

Merci beaucoup !! 

 

 

6月27日vendredi

今年伴奏法の授業で歌ってくれたコンセルヴァトワールの友人マイテがOpera Royal Wallonie(オペラ座)でワーグナーのオペラ“ワルキューレ”でOrtlinde役をつとめているので夜 観に行く。

今日は最終日ということもあり沢山の人。正装しているムッシューやマダムが多い。

歌科の友達と一緒だったので無料で一階席で観ることができる。

マイテは第3幕で登場したのだが、8人の娘のなかの一人で皆同じ衣装と同じようなメークなので途中からどれが彼女なのかわからなくなりそうだったが声ですぐに聞き分けられた。

PM7時から始まり、終わったのは深夜の12時。

終了後、楽屋におめでとうと言いに行く。

 

 

6月25日mercredi

昨日にひきつづき映画館で映画を見る。

こちらでは映画の入場料は5ユーロ(約600円)と安く、今日はさらに昼間だったので3,7ユーロだった。

今日は北野武監督の“Dolls”を見た。彼の作品を見るのは初めてだったが、映像がひじょうに美しかった。こちらの新聞批評にも書かれていたけれど。

夜コンピューターの詳しい友人が来てウイルス駆除してくれる。私のパソコンは先日新種のウイルスに感染してしまい、困っていたのだ。(ウイルスにかかったのは初めて)

私のパソコンは日本で買ってきたものだから当然日本語で書かれているものをフランス語に訳して彼が作業するという形ですすめ、ウイルスが検出されるまで時間がかかるので食事し、帰って見てみるとなんと2つもウイルスが検出されていた。オーララー

その後彼がウイルス駆除してくれ、やっと通常通りに使えるようになった。持つべきものは友達、メルシー ミル・フォワ!(本当にありがとう)

 

 

6月24日mardi

午後友人と映画Dark Water(「仄の暗い水の底から」Hideo Nakata監督、黒木瞳主演)を見る。(この作品は数々の賞を受賞しているが昨年ブリュッセルでも審査員特別賞を受賞)

ホラーものは苦手なので基本的に見ないのだが、たまには、と見に行く。

私には十分怖かったのだが、一緒に見に行った友人(ベルギー人)は「リング」の方が怖かったと言っていた。(私は「リング」は見ていない)

映画を見た後カテドラル前のカフェでひとしきりお喋りする。町はもうヴァカンス気分でテラス席はビールなど飲む人たちでいっぱい。

 

 

6月22日dimandhe

友人とドライブに出かける。今日は彼の犬も一緒。

郊外の町を散歩したり、カフェでのんびりする。

試験もほぼ終わったので心の底からリラックスする。

 

6月21日samedi

improvisation(即興)の特別授業。

一人が即興演奏し、また一人、また一人と続けて即興していく。偶然にして生まれ、一瞬にして消え去り、同じものを再現することは2度とできないところが即興の醍醐味といったところだろうか。

私は途中から先生に目をつぶって弾いてみたらといわれ、そうしてみると鍵盤を見ない分、それまでよりずっと自由に即興でき(これは私自身発見だった)、先生がextreordinaire(素晴らしい)と言ってくださる。

 

6月19日jeudi

ピアノの試験。

まず最初にモーツァルトのピアノ・コンチェルト27番1楽章(カデンツァは私が作曲したもの)を弾き(オーケストラ・パートは私の教授が担当)、続いてWebernのVariation op.27、ショパンのバラード2番、J.Jongenの演奏会用エチュードop.65、最後にラヴェルのソナチネを弾く。

今回は多少疲れていて、激しいコーダの部分で腕の筋肉が硬直する瞬間もあったのだが20点中18,9点avec la plus grande distinctionという評定をいただく。

試験が終わってすぐにエリザベス王妃国際コンクール1位、2位入賞者によるガラ・コンサートを聴くため、知り合いのマダムの車でブリュッセル、パレ・デ・ボザールに向かう。

会場は満員。マダムのおかげでプルミエ・バルコン席で聴くことができる。

まず中国のWen-Yu SHENがブラームスのピアノ・コンチェルト2番を弾いた。

まだ16歳で見たところあどけない少年といったかんじなのだが、ピアノを弾き始めるとそんなことはわすれさせられるほど落ち着いた演奏。アンコールのリムスキー・コルサコフ、ラフマニノフ編曲のThe Bumble-Beeも秀逸。

休憩をはさんで1位のSeverin von Eckardsteinがプロコフィエフのピアノ・コンチェルト2番を弾いた。最初の音から惹きつけられる。この人が弾くと同じピアノとは思えない音がするのは何故だろう。多彩な音色、場面展開の巧妙さ、圧倒的なテクニックで4楽章あるこのコンチェルトの長さを微塵も感じさせず、瞬く間に終わってしまったいう印象。会場からはブラボーの声と割れんばかりの拍手が送られていた。

余韻に浸りながら再びマダムの車でリエージュに帰る。

このような素晴らしい演奏をじかに聴くことができてまさに至福のひとときだった。

 

 

6月17日mardi

夜 エリザベス王妃国際コンクールの4,5,6位入賞者によるコンサートがSalle philharmonique de Liegeである。

まず6位だった中国のJin JUがチャイコフスキーのピアノコンチェルトを、続いて松本和将さん(先日リハーサルの後少しお話したのだが、大変素朴な人柄という印象)が

ラフマニノフの2番を、そしてイタリアのロベルト・ジョルダーノがリストの1番を弾いた。

三者三様、全く違ったスタイル。私はロベルト・ジョルダーノの音、タッチ、フレージングに惹かれる。

会場からは3人に惜しみない拍手が送られていた。

 

 

6月16日Lundi

夕方 先日の和声moyenの試験の審査を終えたばかりの和声の先生にコンセルヴァトワールの出口の前でばったり会い、すべてのクラスの生徒の中で私が一番だったとのことで“Je  suis contente!”(私は嬉しい)と頬にキスされ抱きしめられる。私も嬉しい!

 

 

6月15日dimanche

日曜日だがピアノの試験が近いのでコンセルヴァトワールで特別にレッスンがある。私の教授の門下生が4人ほど。今日のレッスンは試験の行われる部屋salle27で行われる。

 

 

6月13日vendredi

和声moyen鍵盤の試験。

いくつかのカデンスを弾いた後、出された課題に伴奏をつけ、移調する。トレ・ビアンといわれる。

 

 

6月11日mercredi

伴奏法の試験。モーツァルトのヴァイオリンソナタト長調1楽章とプーランクのフルートソナタ1楽章、プッチーニのオペラ“ラ・ボエーム”よりミミのアリア、バッハのマタイ受難曲よりアリアを弾く。

20点満点の15でavec distinctionの評定。

まだこの新しい評定のシステム(大学と同じ評価方式)に慣れていないのだが12点以上が合格、14点以上はdistinctionつきとのこと。

 

6月9日Lundi

Pentecote(ペンテコステ)の休日。

明後日の伴奏法の試験に備えて家で練習。

 

6月7日samedi

夜 TVでエリザベス王妃国際コンクール最終日の模様を見る。

中国のWen-Yu SHENがシューベルトのソナタイ短調D784、アンポゼの“Dreams”、ラフマニノフのコンチェルト3番を弾き、つづいてドイツのSeverin von ECKARDSTEINがベートーヴェンのソナタ27番、アンポゼ、プロコフィエフのコンチェルト3番を弾いた。

この人が弾き終わったとき誰もが彼の優勝を確信したと思う。それほど素晴らしかった。

深夜12時をまわってAM1時ごろ受賞者の発表がある。会場は観客、おびただしい数のマスコミ陣・・TVを通してその熱気が伝わってくる。

1位はSeverin von ECKARDSTEIN、2位はWen-Yu SHEN、3位は韓国のDon-Hyek LIM、4位イタリアのRoberto GIORDANO、5位日本のKazumasa MATUMOTO、 6位中国のJin JUだった。

受賞者たちは審査員一人一人と握手し、

早速マスコミのインタビューに答えている。これから演奏会で世界をとびまわることになるだろう。

近日中ブリュッセルで行われる受賞者によるコンサートで生の演奏が聴けるのが楽しみだ。 

 

 

6月5日jeudi

夜コンサート。私はRzewskiの曲を1曲弾いたが、古いグロトリアンは音、タッチともにsec(乾いていて)少々弾きにくかった。

自分ではまあまあというかんじだったが後でいろいろな人にブラボーと言われる。

今日のコンサートの模様はラジオで後日放送されるらしい。 

 

6月4日mercredi

快晴。夏のような陽気。

午前中友人と近くの町までドライブする。

マルシェが開かれていて多くの人。色とりどりの花や野菜、果物、チーズに肉、何でもある。

しばらくマルシェをひやかし、カフェでひと休みし、町を散歩して帰る。

夜 友人宅でエリザベート王妃国際コンクールのTVを見る。

 

 

6月3日mardi

午前中harmonie pratique(鍵盤和声)の試験。

授業でやったものの中から2題、初見が1題。

そのあと和声(ecrit)の先日のソプラノ課題の試験の下書きを持って先生のところへ。

先生は弾かれた後“ビアン”と言ってくださる。

夜 コンセルヴァトワールで友人のコンサートを聴く。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ(スプリング)とブラームスのヴァイオリン・ソナタ1番。

どちらのソナタもとても好きなのだが、二人とも息が合っていて好演だった。

 

6月2日Lundi

友人のマダムの知り合いのcomte(伯爵)がエリザベート王妃国際コンクール ファイナルを聴きに行く予定にしていらしたが急にシンガポールに用事で行かれることになり、招待券を下さるというので夜ブリュッセルのパレ・デ・ボザールに出かける。

今日は本選の初日である。PM8時前にホールに着くとすでに沢山の人やマスコミの人たちで華やいだ雰囲気。(後日TVに私も写っていたらしい。コンセルヴァトワールの友人が言っていた)本格的な夜会服に身を包んだマダムや紳士らが多く見られる。

今日(月曜)から土曜まで一晩に二人ずつフィナリストが弾くのだが、今宵は韓国と日本のフィナりストがそれぞれ古典のソナタとアンポゼの曲“Dreams”(Ian MUNRO作曲)、そして各自選んだコンチェルトをベルギー・ナショナル・オーケストラと弾いた。

ショパン、チャイコフスキーコンクールと並ぶ国際コンクールだけあって会場の熱気もものすごい。演奏が終わるごとに皆惜しみなく拍手を送る。ときにはブラボーの声も。そして休憩のあいだは今聴いたばかりの演奏について興奮気味に話す人たち・・。

PM8時過ぎから始まって終了したのはPM11時半過ぎ。

 

 

6月1日dimanche

今日も夏のような暑さ。気温も30度余あるらしい。暑いといっても日本のように湿気はないので比較的過ごしやすいのだが急激に暑くなったので頭がくらくらする。

午前中ピアノをさらって午後洗濯しに行く。

Lavoirの中は乾燥機もあるためサウナのような暑さ。

 

5月31日samedi

朝9時から午後3時まで和声moyenソプラノ課題の試験。

目覚まし時計の調子が最近悪いので昨日一応モーニングコールを頼んでいたのだが寝過ごさないように緊張して眠ったせいか7時前には目が覚める。

コンセルヴァトワールに8時45分頃行き、試験の課題を受け取って割り当てられた部屋へ。

よくアナリーゼ(分析)してからハーモニーをつけてゆく。(バス、テノール、アルト)6時間というととても長いように思うが、分析して、ハーモニーをつけて、練って、禁則を犯してないか一音一音確認して、清書していると意外とすぐに経ってしまうものだ。

今日はこの前のバス課題のとき以上に確認に力を入れる。

夜 友人が迎えに来てくれてショー・ド・フォンテーヌにあるそのまた友人の家へ。今日はバーベキュー・パーティーとのことで各々肉や野菜を持ち寄り、野外でブロシェット(串刺しにした肉や野菜)やソーセージ、じゃがいもなどを焼いて皆で食べる。

今日はお昼ほとんど何も食べてなかったので(コンセルヴァトワールにサンドイッチ等持っていくのを忘れたため)大変お腹が空いていたので

食欲旺盛で、大変美味しくいだだく。

野外で沢山の人と食べると何でも普段以上に美味しく感じられるのはなぜだろう。

 

5月30日vendredi

朝 母から宅急便が届く。試験中の支援物資というかんじの日本の食料品と手紙、そして新聞の切り抜きが入っている。

ピアニスト井上直幸さんが去る4月に亡くなられたことを知る。

79年からNHKピアノのおけいこの教師をつとめられ、私が幼少の頃私が住んでいた町にも公開レッスンでいらしたことがある。また大学時代神戸にいた頃一度リサイタルを聴きに行ったことがある。類まれなるうつくしい音、イノセントな演奏はきっと彼の人柄そのものだったのではないだろうか。

午後音楽史上級とauditions commenteesの試験。

音楽史の方はまず自分が選んだ主題(バッハのトランスクリプション作品)について発表し、いくつか質問があり、続いて授業でやったことの中から質問がある。(ベルギーの作曲家、作品について)

auditions commenteesの方は20世紀の作曲家を1人取り上げ、いくつかのCDのバージョンを比較、コメントするというもの。

私は武満徹のRain tree sketch(雨の樹素描)Tを選んでいたので用意していった5枚のCDについてそれぞれコメントを述べる。

ドビュッシーやオリヴィエ・メシアン等フランスの作曲家の影響をつよく受けたといわれている武満作品はヨーロッパでも広く知られており、先生方も興味を持たれたようだ。“Tres belle musique!”(大変美しい音楽ですね)といわれ、色々熱心に質問される。

試験が終わって夕方少しだけピアノに向かうことができる。ここのところ学科の試験やレペティション等に追われ、なかなか自分のピアノの練習の時間が取れない。限られた時間の中で最大限に集中して練習するしかないのだが・・

それにしても今日も暑い一日だった。昼間の気温は30度くらいあったとか。この前まで薄手のコートが手放せなかったのが嘘のよう。

 

5月29日jeudi

Ascension(キリスト昇天祭)のため休日。

明日の音楽史とauditions commenteesの口答試験のための準備をするが、頭痛がひどくなかなか思うように進まない。急に気温が上がって体がついていってないのと疲れからきているのだと思うのだが。

お昼を食べたあと吐き気までするのでしばらくベッドに横になる。ピアノも今日は触らずじまい。

夜 以前母が送ってくれた“あさげ”を飲む。普段は日本食を食べなくても平気な方なのだが体調が悪いときはこういうものを身体が要求するようだ。

 

 

5月28日mercredi

一昨日からよい天気が続いている。気温もずいぶん上がって汗ばむほどの陽気。

沢山の人が公園のベンチや芝生の上で日光浴している。

朝から音楽史の口頭試験に備えて自分の選んだsujetに関する本を探しに行ったりCDを借りに行ったり、コピーしたり、と忙しい。

午後はロランスとアンヌと室内楽の合わせ。

夕方からやっと自分の練習をする。

今週金曜にある音楽史、auditions commenteesの口頭試験に次いで土曜日は和声ソプラノ課題の試験、来週の火曜日は鍵盤和声の試験、木曜日の夜はコンサート、その次の週は伴奏法、その次の週はピアノの試験、即興の集中授業(4日間)、そしてその翌週とまたその翌週は他の生徒の室内楽の試験のための共演・・・・と6月の終わりまで目が回りそうな忙しさ、かなりのハードスケジュール。(この状態が5月上旬から続いている。こちらの試験期間は長い)しかしそれが終われば待ちに待ったバカンスなのでもう少しの辛抱といったところ。

夏のバカンスは昨年に引きつづき南仏(ニース)に行く予定にしている。

 

5月25日dimanche

午後3時から夜9時まで和声moyenバス課題の試験。課題を受け取って、各々割り当てられた部屋で6時間課題に取り組む。もちろん早く出来て自信のある人は早く帰ってもよい。

同じ課題に取り組んでいる人がピアノで弾いているのが隣や上の部屋から聴こえてきたりするので、多少気が散るが自分のに集中する。

6時間と長いので飲み物やサンドイッチ、クッキーなどを持っていってお腹が空いたら食べたり、休憩しながら取り組む。

最後の30分くらいで万年筆で清書して受付に提出して帰る。

疲れた・・・・こんなに長いあいだ頭を使って集中することって日本にいた頃あまりなかった気がする。大学時代の試験だって1時間とか長くて1時間半くらいだったし・・。

帰宅後和声の先生にtelすることになっていたのでtelする。先生に出来た?と訊かれ、ウイ(はい)と答える。(ちょっと自信ないところもあったけど)

 

5月24日samedi

午後ブリュッセル王立コンセルヴァトワールにエリザベス王妃国際コンクール二次審査を聴きに行く。今日は二次審査の最終日ということもあり2時過ぎに着くとすでに多くの人。(二次審査のチケットはは開演45分前から売り出される) 

夜の部のチケットはもう売り切れで、昼の部のチケットを買う。(昼の部のも私の番が来たときあと3枚しか残ってなかった)

ステージ上のオーケストラの後部席だったので臨場感たっぷり。

貴賓席にファビオラ王妃がお出ましになると皆一同に起立して拍手でお迎えする。王妃さまは手に薔薇のブーケをお持ちになり、にこやかに微笑まれる。

審査員席には18名の審査員がずらっと並んでいる。日本人ピアニスト園田高弘氏の姿も見られる。

今日のトップバッターは中国の若干16歳の少年でモーツァルトのピアノコンチェルト20番を、続いては韓国の25歳の青年がやはりモーツァルトのコンチェルト27番を弾いた。

休憩をはさんで、中国人のJin JUという人がアンポゼの曲 Jeroen D'HOEのToccata-Scherzo、続いてプロコフィエフのソナタn.8、ベートーヴェンのソナタn.2

“Appassionata”

最後にショパンのPolonaise-fantasieを弾く。

大変集中力のある演奏。

 

次に日本人のマツモトカズマサ君がべートーヴェンの23番ソナタ1楽章、続いてアンポゼ、スクリャービンの5番ソナタ、セザール・フランクのプレリュード・コラールとフーガを弾いた。心の中で声援を送りながら聴く。

深夜すぎに12名のファイナル出場者が発表される。ロシア人やドイツ人、韓国人、中国人に混じり、日本人の二人マツモトカズマサ君とオカモトマコさんが入っていた。

12名は来週から一週間ワーテルローにあるChapelle Reine Elizabethでそれぞれのプログラムの曲の他 新しいアンポゼのコンチェルトに取り組み、6月2日からブリュッセルのPalais des beaux artsで行われるfinalで演奏することになる。

 

 

5月23日venredi

夜OPLのコンサートを聴きに行く。今日はフランス人のピアニストFrank BraleyをソリストにバッハのピアノコンチェルトBWV1052が演奏される。彼は1991年のエリザベス王妃国際コンクールの優勝者である。今日は幸運にも3階席のバルコンで聴くことができたので手の動きを真近に見ることができる。身体全体から音楽が溢れ出ていて最初から引き込まれてしまった。

鳴り止まぬ拍手に応えてアンコールにやはりバッハのアリアをオーケストラと。なんという美しいバッハ・・至福のひと時。

そして今日も友人宅で深夜までエリザベス王妃国際コンクール二次審査の模様をTVで見る。

猫は黒猫で後ろの一本足だけ白いソックスをはいているみたいに白いのでショセットという名前。今日は車の近くまで出迎えに来てくれる。(気が向いたときだけらしい)

友人はピアノを子守唄代わりに途中から眠ってしまう。

 

 

5月22日jeudi

5月も半ばを過ぎたというのに相変わらず肌寒い日が続いている。今日も曇りのち雨。薄いカーディガンやトレンチコートが手放せない。

夕方formation aux langages contemporainesの試験。

Henry Cowellの“Fabric”とFrederic Rzewskiの“A LIFE ”--hommage a John Cageを弾く。

“A LIFE”の方はかなり集中して弾いたせいか後でブラボーと言ってもらえてうれしい。

 

夜友人が迎えにきてくれて、彼の家でエリザベス王妃国際コンクールをTVで見る。

ウクライナの若干18才の少年が弾いたドビュッシーのベルガマスク組曲が印象的。

非常にエレガントで18才とは思えないほど成熟した演奏。韓国の女の人が弾いたプロコフィエフの6番ソナタも凄かった・・。

友人の猫を膝に乗せてTVに見入る。こんな調子でこのところ夜更かしの毎日が続いている。

(夜10時30分とか11時に始まって一時間半あるので)

 

 

5月21日mardi

午前中マイテとベッリー二の歌曲の合わせ。

先日から喉の調子がよくないとのことでちょっと心配。

午後ロランスとブラームスのソナタ、引き続きロランス、アンヌとショスタコヴィッチのトリオ2番の合わせ。

夕方はsalle27でCOWELLとRZEWSKIのレペティション、とレペティション続きの一日。

夜、ラジオで一昨日、昨日に引き続きエリザベス王妃国際コンクールの模様を聴く。

ロシア人のSergey Sobolevという人がモーツァルトのコンチェルト27番を弾いていた。

2楽章から聴いたのだが素晴らしかった。いまちょうど私も弾いているコンチェルトなので聴く耳にも力が入る。27番はモーツァルトが死ぬ直前に書いた最後のコンチェルトなのだが、20番や23番に比べて弾く人が少ないようだ。

それから韓国の人が24番のコンチェルトハ短調を弾いた。こちらもすばらしいモーツァルトだった。                   

演奏が終わるごとにコメントがあるのだが、二人ともよいコメントをもらっていた。

 

 

5月20日mardi

夜 マダムCとTVでエリザベス王妃国際コンクール二次審査の模様を見る。(彼女とはコンクール終了後のコンサートに一緒に行く予定。

今日もロシア人に加え、日本人や韓国人など東洋人の活躍が目立つ。

モーツァルトのコンチェルト20番、21番、ラヴェルの夜のガスパールよりスカルボ、ショパンのプレリュードなど・・

それにしても皆 何というテクニックだろう。

演奏が終わるごとに会場のあちらこちらからブラボーの声があがる。

 

5月19日Lundi

今日からブリュッセル王立コンセルヴァトワールのホールでエリザベス王妃国際コンクールdemi final(二次審査)が始まる。その様子はラジオでディレクトで放送される。また夜テレビでもダイジェスト版で見ることができる。

私はTVを持ってないのでラジオで聴く。日本人の名前も数名聞こえてくる。

今日はロシアと日本と韓国の予選通過者たちがそれぞれモーツァルトのコンチェルトとソロの曲を数曲弾いていた。韓国の若干18歳の少年が弾いたシューベルトのアンプロンプチュとプロコフィエフの7番ソナタが印象的。

 

 

5月17日samedi

午後友人のところへ仔猫を見に行く。まだ生まれて一ヵ月半くらいの赤ちゃん猫が4匹、そのかわいさといったら・・・

白に黒ぶちのとグレーのとどの子もかわいいのだが、とくに末っ子の白に黒ぶちの子がかわいくすっかり心奪われてしまった。

抱っこすると

綿毛のように軽い。

芝生のある庭で木の枝などであやしたりしてしばらく一緒にあそぶ。

猫を飼いたい気持ちはやまやまなのだが、こういう風に芝生の上で日向ぼっこしたりのびのびと遊んでいるのを見ると、せまいアパートの部屋に閉じ込めるのはかわいそうという気がしてしまう。

 

 

5月16日vendredi

Communaute francaise de Belgique(ベルギー フランス語圏共同体) 国際関係担当の人たち、世界各国から勉強に来ている政府給費生の人たちと親交を深めるべくエクスカーションに出かける。

ナミュールで皆と待ち合わせてバスでシャルルロワ近郊のanciens charbonnage(炭鉱)を訪れる。くねくね曲がる道が続いたせいか、バス酔いする。(昔から観光バスというのが苦手だ。あの独特の匂いを嗅いだ途端気分が悪くなってしまう)

ガイドの説明を聞き、スライドを見る。ここでかつて悲惨な事故があったとのこと。建物も当時のまま残っている。

当時坑夫たちが住んでいた住居もバラックのような住居ともいえないような代物で少なからずショックを受ける。

この後さらにバスで移動し、モンスのグラン・プラス(ちょうど花市が開かれていた)にあるサン・ジェルマンというレストランにて昼食。

アントレにシェーブル(山羊)のあたたかいチーズ入りサラダ、メインはサーモンのホワイトクリームソース ポム・アングレーズ添え、デセールにdame blanche(チョコレート・パフェ)、カフェ、とお昼から大変豪勢なものだった。

昼食のあとは再びバスでMusee des Arts contemporains(現代美術館)へ向かう。

モンスの町には初めて来たのだが、17世紀末に一時フランスの支配を受け、フランス国境近くに位置するということもあるのか、どことなくフランス風の雰囲気を持つ落ち着いた町という印象。“エノー州の珠宝”とたたえられるこの町はかつてゴッホが愛した町としても知られている。石畳の路地を歩いていると中世の町に迷い込んだような気分になるのは私だけではないだろう。

さて現代美術館に着くと、ここも古い炭鉱だったという建物。建築家がわざと古い部分を残して現代的な部分と効果的に融合している。

 Le beau corps de la memoireといexpositionが催されていた。絵、写真、うつくしいオブジェの数々──特に印象的だったのは敷きつめられた月桂樹の葉の上に巨大な緑色の爪のオブジェ、それから蝋をつかって描かれた花の絵など・・・。地下の部屋の奥まった部分にはロダンの作品Assemblage de la tete de Saint Jean-Baptisteentouree de trois mainsのminuscule(小型版)が。

美術館を後にしてナミュールまでバスで戻り、ナミュールから電車でリエージュに帰る。

 

 

 

5月14日mercredi

5月というのに ここのところ肌寒い日が続いている。今日は雨で気温は8度くらい。セーターもコートもいいかげん飽き飽きしているのだが・・・

午後室内楽(ショスタコヴィッチのトリオ2番)の初合わせ。

 

5月13日mardi

夕方ピアノのレッスンで、Paquesの休暇中に作ったモーツァルトのコンチェルトのCadenceを弾く。先生はちょっと強引なところもあるけどなかなかよいね、と言ってくださる。

オケ・パートはもう一台のピアノで先生が担当。

 

5月10日samedi

今日は心ここのあらずというかんじでピアノの練習がはかどらなかった。

こういう日は練習していても気が入ってないので早めに切り上げる。 

 

夕方 知り合いのマダムに誘われてブリッジのコンペティションを見に行く。今日は最終日とのことで沢山の人だった。結果発表のときはブラボーの嵐。

その後彼女の家に招かれ、一緒に食事する。

シャンパンとスモークサーモンのサラダ。

エミール・ギレリスの弾くメトネルを聴きながら・・。

彼女の二人の子どもたちとも話す。長男のリオネルは水泳が得意で明日大会なのだとか。

長女のヴァージニーとは映画の話などを。

 

 

5月9日vendredi

夜 久しぶりにOPLのコンサートに出かける。

今日はソリストにフランスのピアニストEric LESAGEを迎えてモーツァルトのピアノコンチェルト23番を聴けるので楽しみにして出かけた。

このコンチェルトはほぼ3年前、私がベルギーに来る直前に日本で地元のオケと弾いた思い出深いコンチェルトなのだ。

あの有名なイントロが流れ始めると、当時のことが思い出され、感慨深く聴く。

非常に美しいモーツァルトだった。

このコンチェルトの2楽章弾いているとこのまま死んでしまいたくなると言ったピアニストがいるけど、同感。あまりにうつくしいものを見たり聴いたりしたとき人間ってそういう気持ちになるのではないだろうか。

 

5月8日jeudi

今日からブリュッセルでConcours Reine Elisabeth エリザベス王妃国際コンクールpremiere eliminatoire(一次予選)が始まる。

参加者は109名にのぼるとか。

16日まで一次予選が続き、24名にしぼられ、

19日から24日のdemi-final(二次審査)でさらに12人にしぼられ、6月2日から7日のfinal(最終審査)で受賞者が決まる。

demi finalとfinalの様子はテレビで放送される。ともかくこの時期の国民の最大の関心事のひとつであることに違いない。

 

知り合いが コンクール終了後に行われる受賞者によるconcert clotureのチケットを取ってくれたので一緒に聴きに行く予定にしている。 

 

4月26日samedi

Paques(復活祭)の休暇を利用してオランダのキューケンホフにチューリップを見に行く。ここはチューリップの名所で以前から一度訪れてみたいと思っていた。

あいにくの天気だったのだが、広大な庭園内(その総面積は32ヘクタールにも及ぶとか)700本以上のチューリップやスイセン、ヒヤシンス、ユリやガーべラ、ランまでが色とりどりに咲き乱れ、壮観、花好きにとってはまさにパラダイスのようなところだった。

FUR ELISEというサーモンピンクのチューリップや BALLADEという薄紫と白のツートンのもの、白とローズ色のElegant Ladyなど名前も素敵。

ここの土地のオーナーはかつてのポーランド公伯爵夫人ヤコバ・ファン・バイレン、公園の設計はアムステルダム中央公園フォンデルパークを設計したゾッハーによるものだとか。

またいつか天気のよい日に訪れてみたい。

 

4月21日Lundi

ここ2、3日肌寒い日が続いたが、今日は再びぽかぽか陽気。(こんなふうに日によってかなり気温が異なるので、外出先で服装を間違ったと後悔するケースが多い。薄着をして外出したらまだ寒いとか、寒くてもいいように厚着をして外出したらとても暑いとか)

アパートの前の広場(Place de Bronkcart)の桜は満開を過ぎて散りつつある。風が吹くと濃紅色と白の桜の花びらが舞い、さまざまな木々の新緑も目にまぶしく、4つあるベンチはいつもたいてい日光浴をする人や読書する人などで埋まっている。犬を散歩させに来る人も多い。

芝生にはタンポポ、小鳥はさえずり・・と、ここは大きな通りから一筋隔てた所にあるちょっとしたオアシスという感じなのだ。

秋の紅葉、冬の雪に覆われた様子etc・・四季折々の美しさがあるのだが、今の季節はとりわけ美しい。

そんなわけで私も練習に疲れたら時々ここのベンチで花など愛でながらボーっとしている。住んでいるところの目の前に、こういう自然があるというのは恵まれた環境といえるだろう。

 

4月16日mercredi

とてもよい天気。気温は26度近くまで上がって夏のよう。

友達のVivianeとPM4時にカテドラル前の広場で待ち合わせしていたので、早めに練習を切り上げて行く。Rue St.Gilleにある美味しいアイスクリーム屋でアイスクリームを買って、二人で歩きながら食べる。

車で彼女の家へ。

美味しいシーフード・リゾットを作ってくれて、白ワインとともに庭で食べる。Vivianeの彼のVincentも一緒に。

 

彼女は大の日本びいきで、日本語も勉強中。この前パリで行われた日本語検定の3級に合格したばかり。

というわけで本棚には沢山日本の本とか漫画などが。ふと見るとフランス語版『Candy Candy』があり、懐かしさも手伝って思わず全巻借りてしまった。(巻末を見ると1975年講談社より発行、フランス語版は1993年の発行とある)

こちらでは日本のアニメはとても人気があり、キャンディー・キャンディー(カンディー・カンディーと彼女は発音する)は彼女が7歳のころテレビで毎週見ていたのだとか。“Moi, aussi!!”(私も!)と二人で異常に盛り上がる。主題歌も歌ってくれたが、同じメロディーでフランス語というのはなんか妙な感じ・・。

夜Maison de Peketへ。今日はVivianeの27歳の誕生日ということで友人らが集まる。

まずpeket framboiseとpeket melonなど飲んで、peket flambeという40度くらいある強いpeketをすすめられて飲んだら、たちまち酔いが回る。グラスの表面に火のあるうちに一気にストローで飲み干すのが流儀なのだが、強すぎて私には無理なので、ストローを抜いて(いつまでもさしていると溶ける)ちびちびと飲む。

何はともあれとても楽しい夜だった。

 

 

4月15日mardi

今日もまるで初夏のような陽気。先日まで冬のコートにマフラーという格好をしていたのがいきなりTシャツとなる。

こちらでは日本のようなうららかな春というのがなくて冬からいきなり初夏になるというかんじ。といっても、また突然寒くなったりするのだが。

今日はあまりに天気がよいので、少し散歩がてら町を歩いてから、コンセルヴァトワールでやはり2時間弱ピアノをさらい、その後近くの公園のベンチで読書などする。ふと見ると噴水に虹が。虹を見たのなんて何年ぶりだろう。

 

 

4月14日Lundi

すばらしい陽気。数日前雪が降ったとはとても思えないほど・・気温は20度くらいまで上がっているらしい。

今週から2週間、Paques(復活祭)の休暇でコンセルヴァトワールはお休みなのだが、今週いっぱいはPM5時まで開いているので、2時間くらいピアノをさらいに行く。

夜 知人宅で、お勧めのCDがあるというので一緒に聴く。

 

 

4月13日dimanche

久々のよい天気。やっと春らしくなって嬉しい。

友人とブリュッセルへ。

イロ・サクレのシェ・レオンでムール貝とフリット、ビールの昼食をとり、Musee Royal des Beaux-Arts(王立美術館)へ行く。Art ancien(古典美術)部門とArt moderne(近代美術)部門から成る美術館。

Art ancienの方はフランス革命の折り、フランス革命軍に占領された時にパリの中央美術館(現在のルーヴル美術館)の分館として1799年に設立されたとか。建物は古典様式の宮殿で、フランドル派を中心とする14世紀から18世紀までの絵画の宝庫となっている。ブリューゲルやルーベンスの作品はもちろん、私は入り口から続く長いホールにあるConstant MONTALDのLa Fontaine de l'inspirationという絵が印象的だった。繊細なタッチに加え、美しい色合い、まるで東山魁夷の絵のような静けさがある。

Art moderneの建物の方は1984年より20世紀のベルギー美術を集めて近代美術館として開館していたが、1997年より古典部門と合体したもの。ベルギーの画家アンソールやクノッブフ、そしてベルギー・シュールレアリスムを語る上ではずせない二人の画家、ポール・デルヴォーとルネ・マグリットらの作品がある。その他キリコやダリ、ミロなどの作品も展示されている。

最後の方は時間が足りなくなって(何せ地下8階まであるのだ)急ぎ足で見る。

美術館を出て、ノートルダム・デュ・サブロン教会のステンドグラスを見て、プチ・サブロン広場の噴水の前のベンチで休憩する。花壇にはパンジーが沢山植えられており、春らしい。

それからポエラール広場にある展望台からブリュッセルの町を眺め、広場の一角にあるPalais de Justiceへ。1866年から1883年にかけてつくられたグレコロマン風の建物で19世紀最大の建物といわれている。

夜、モネ劇場の近くの日本料理レストランSAMURAIで食事。

 

 

4月11日vendredi

リエージュからバスで50分くらいのStavelotという町のEgliseSaint-Sebastien(サン・セバスティアン教会)にバッハのヨハネ受難曲を聴きに行く。(授業の一環)

古楽器や曲の説明を聞いたあと、リハーサルを見学し、町で友人らと食事して、PM8時からコンサートが始まる。

天井の高い教会は音が非常によく響き、ソプラノがとりわけ美しく、聴き入る。

約2時間のコンサートのあと、バスでリエージュに着いたのは深夜の12時ごろ。

 

 

4月10日jeudi

寒いと思ったら、雪。4月なのに・・あたたかい日が続いた3月は幻だったかのよう。あいかわらず冬のコートを着込んで、マフラー、手袋も手放せない。

知人宅でVideoを見る。

 

4月9日mercredi

夜 Churchillで映画、“Stupeur et Tremblement”(仰天と身震い)を見る。

元在京ベルギー大使の娘として日本で生まれたベルギーの若い作家Amelie Nothombが実際に日本の企業で働いた経験をもとに書いた半自伝的小説が原作。(日本でも翻訳出版されたとか、邦題は「畏れ慄いて」)

これをフランスのアラン・コルノー監督が原作に忠実に映画化した。日本の会社組織のなかで葛藤するアメリーと、日本人上司たちの人間模様が風刺を交えて描かれている。(かなり誇張している部分もあったが)アメリー役を演じるのはフランスの個性派女優シルビー・テスチュ。

台詞のほとんどが日本語であるため、撮影前の数ヶ月間は日本語の特訓を受けたという。

撮影はパリ郊外のビルを借り切って行われたとか。 ベルギー及びフランス各誌の映画評は概ね好意的だが、なかには、日本文化が滑稽に描かれており欧米人に誤った印象を与えかねないといった論評もいくつか見られる。

フランス映画ではあるが、音声は日本語でフランス語とフラマン語の字幕が付く。音楽はチェンバロによるバッハのゴールドベルク変奏曲。

 

4月8日mardi

19時から、Salle philharmoniqueでRemise des prix(授賞式)がある。

2001-2002年度の成績優秀者に様々な賞とともに奨学金が与えられる。

私は昨年ピアノのプルミエ・プリの試験で首席だったのでPrix Francoise Henrijeanを

j授与される。奨学金は500ユーロ。

会場には受賞者の家族や友人、コンセルヴァトワールの教授らの姿が。

私の友達も沢山祝福に駆けつけてくれ、嬉しかった。

授賞式の後はコンセルヴァトワールの学生オーケストラによるコンサート。今年はオール・ベートーヴェン・プログラムで、まずDouze Contredanses Wo 014、続いてNoe INUIをソリストに(彼はパリのコンセルヴァトワールでヴァイオリンを学んでいる。まだ若干17歳)Concerto en re majeur op.61、休憩をはさんで有名なSymphonie n.5が演奏された。

普段 教室やカンティーヌで喋っている友達らがステージの上で真摯に演奏している姿に感動。

コンサートが終わってから、foyerで校長先生や教授、学生たちとその家族、友達ら皆でワインなど飲みながら夜中の12時すぎまでなごやかな時を過ごす。多くの人にFelicitations!(おめでとう)と言われる。

その後学生だけで場所を変え、朝の5時まで踊りあかす。

 

4月7日lundi

風が冷たい日。

伴奏法のレッスンでサンドリーヌとプーランクのフルートソナタを弾く。前回よりはずいぶんよくなったと思うのだが、先生に悪くないけどもう少しimaginationがあるといいねと言われる。

PM6時からplace du XX Aout でLes ecoutes des oeuvres du repertoire electroniqueの授業。Henri Pousseurの40分にわたる“8つのエテュード”(電子音が40分間続く)の途中から、よく効いた暖房と風邪薬も手伝ってか猛烈な睡魔におそわれる。

今日でこの授業は終わりとのことで、友人らとキャレーのTAM TAMという店に飲みに行く。私は今日はジュースにしておく。トロピカルムードいっぱいの店でスイカやスターフルーツがグラスに添えられていてうれしい。

 

4月6日dimanche

相変わらず風邪気味。薬を飲んでいるのだがいっこうによくならない。

午後友人のピエールが日本の友達に日本語でEメールを送りたいというので、Bv.Sauvenierにあるカフェ、L'Elyseeで彼の書いたフランス語の文章を日本語に訳す手伝いをする。直訳するとかなり大袈裟な表現になりそうなところは意訳する。彼は日本語を勉強しているので、言い回しとか助詞などについて質問してくるのだが、微妙なニュアンスを説明するのが意外と難しい。どの言語もそうだと思うが、表現の仕方は一通りではないわけだから。

カフェを飲みながら、おしゃべりしながらときどき筆を動かすといった感じだったので3時間くらいあっという間に経つ。

夜 別の友人と食事。アルザスの軽めの赤ワインPino Noirとvolaille入りサラダをいただく。

彼はワインに詳しく、色々説明してくれる。グラスを回す前と後とで匂いが変わるというので嗅いでみたが、風邪で鼻がつまり気味のためよくその差が分からないのであった。

 

4月5日samedi

朝方 のどが痛くて目が覚める。やはり風邪をひいたらしい。口内炎までできている。

くしゃみ、鼻水、咳と典型的な風邪の症状。私はどうも春先に体調を崩しやすいようだ。昨年も5月のソルフェージュのテオリー(理論)の試験の日に39度以上熱が出て、朦朧とした頭で3時間の試験を受けた記憶がある。とりあえず手元にある薬を飲む。

午後ジャン・フランソワが迎えに来てくれて友人らと八ッセルトの日本庭園に花見に行く。

天気は晴れのちうす曇といったところ。太陽がでているときはよいが日がかげるとまだまだ肌寒い。

日本人の近藤氏が設計したという日本庭園は本格的なもので、松や桜をはじめとする様々な木々、橋のかかる池(池には鯉が)、そして茶室までしつらえてある。

しばらく英語のガイドを聞いた後、桜の下で皆で少し遅めの昼食をとる。私はおにぎりをつくって持っていっていたので、ベルギー人の人たちにおすそ分けしたら喜んでいた。皆で野外で食べる食事というのは本当に美味しい。 

しばらく花見を楽しんだ後、夕方6時くらいに八ッセルトを後にする。

(ねえ、八ッセトルて何?漢字の入った地名がベルギーになんであるの?)

内田先生

Hasselt(ハッセルト)はブリュッセルから電車で約一時間のところにある、ドイツとオランダの国境と接する都市で(リエージュからは車で約20から30分)実は伊丹市と姉妹都市という関係で、伊丹市の援助により、町の北にあるカペルモーレン公園の中に祝賀館、茶室、庭園、滝などがつくられたとのことです。ヨーロッパ最大を誇る庭園内には250本の桜が植えられているとか。友人がデジカメで撮った写真を送ってくれたので、ご覧くださいね。では)

4月4日vendredi

季節の変わり目のせいか、体調がすぐれないので、(たぶん風邪だと思うのだが)もう少し様子を見てよくならないようだったら主治医の所に行こうと思う。

私の主治医(ベルギー人)はとてもやさしい。彼の顔を見るとなんとなく安心して元気になったような気がする。外国に来て、初めて医者にかかるときは不安なものだが、彼のようないい先生に出会えて幸運だと思う。

 

 

4月2日mercredi

4月に入ったというのに肌寒い。

しまいかけたマフラーや冬のコートをふたたび取り出して着る。日によって気温がかなり違う。

午後ソフィアとモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを合わせる。

夜、去る2月のPiano Roiのコンサートのとき知り合ったマダムとカテドラル近くの美味しいと評判の中華レストランle shanghaiにて食事。 

アントレに蒸籠に入ったシューマイや北京風ラヴィオリを、メインに鴨肉のクレープ包みをいただく。ロゼワインとともに・・美味。個人的にロゼワインと中華って合うと思う。某作家のエッセイでも読んだことあるけど・・

娘さんが私のために作ってくれたというビーズのネックレスをいただく。(思わぬプレゼントに感激)ワイヤーに美しい色々なかたちのブルーのビーズが通されており、とても素敵。演奏会で黒いドレスを着るときに合いそう。今度早速使わせていただこう。

 

 

4月1日Lundi

18時からコンセルヴァトワールのsalle27でSoiree Slaveと題して歌科のクラスのコンサートがある。

ピアノの上には美しい布がかけられ、キャンドルの灯りが幻想的なムードをかもしだしていた。いつものsalle27とは思えないほど・・

ドヴォルザークやチャイコフスキー、ラフマニノフなどのうつくしい歌曲を堪能する。

曲の説明もあって、イメージをふくらませながら聴くことができた。

コンサート終了後、ワインや軽い食事がふるまわれる。ワインの酔いも手伝ってか、再び歌いだす人、はたまた踊りだす人etc・・なんというか歌科の人って明るい人が多い気がする。

 

3月30日dimanche

3月最後の日曜日の今日からl'heure d'ete(夏時間)となる。したがって日本との時差は冬のあいだ8時間だったのが、7時間となる。

15時からCyrille TROUSSOV(ヴァイオリン)と Alexandra TROUSSOVA(ピアノ)のコンサートへ。

ベートーヴェンのヴァイオリンとピアノのためのソナタop.12 n.3, プロコフィエフのヴァイオリンとピアノのためのソナタop.94bとサン・サーンスの序奏とロンドカプリチオーソop.28というプログラムだった。

姉弟だけあって非常に息が合っていて素晴らしかった。

アンコールはラヴェルのツィガーヌ。

 

 

3月28日vendredi

夜リエージュ・フィル・ホールでベルギーの作曲家JOSEPH JONGENの没後50周年記念のコンサートがあり、私も2曲ほど弾く。(アンプロンプチュop.87とコンサート用エテュードop.65-1)

このホールで弾くのは、こちらに来て初めてのこと。

 

3月25日mardi

夕方、ロランスとブラームスのヴァイオリンソナタ3番の初合わせ。3曲あるヴァイオリンソナタの中でも、もっともヴィルトゥオーゾ的な曲なだけにひじょうに弾きがいがある。

 

3月23日dimanche

ミュゼ・アンサンブールでイリナのピアノリサイタルがあるので出かける。

プログラムはハイドンのソナタNo.33(H XVI20)、ベートーヴェンのソナタ“Les Adieux”、ラフマニノフのエテュードop.39-3、JONGENのCampeador、シューマンのファンタジー・シュトゥックop.12だった。アンコールはElegie。メランコリックなうつくしい曲。あとで聞いたら、ウクライナの作曲家の作品とのこと。

シューマンのファンタジー・シュトゥック、久しぶりに聴いたが、シューマン独特のうつくしいメロディーが、18世紀の貴族の館のたたずまいをそのまま残すここ、ミュゼ・アンサンブールの雰囲気とあいまって、とても素敵だった。

リサイタル終了後、コンセルヴァトワールの友人らを交えて、Maison de Peket(リエージュ名物のお酒の店)で乾杯する。

 

3月22日samedi

午後OPLのコンサートへ。

1曲目はラヴェルの左手のためのピアノコンチェルト。ソリストはFrancois Frederic GUY。

このコンチェルトを聴く度に思うことだが、左手だけで弾いているのが信じ難い。

 

3月20日jeudi

夜Vassil GUENOVのピアノ・リサイタルを聴きに行く。バッハのパルティータ1番、べートーヴェンのソナタN.21“ワルトシュタイン”、リストのメフィストワルツ、ムソルグスキーの“展覧会の絵”というプログラム。アンコールはラフマニノフのMoments musicaux op.16-4

今日のリサイタルはCentre Hospitariere Universitaire de Liege主催とあって、医療関係者が多い。Foyerに私の主治医の姿も。

リサイタル終了後、Lucia宅でのソワレへ。

彼女はスペインのマジョルカ島(ショパンとジョルジュサンドが一時滞在していたことで有名)

出身で、声楽を勉強している。長い黒髪がエキゾティックな美しい女の子で、先日24歳になったばかり。私が行ったときには、もう皆料理を食べ終わって談笑していた。彼女の手作りのチョコレートケーキをいただく。

彼女の部屋には家族や友達の写真が沢山飾られており、イーゼルには油絵が。(お父さんが画家とのこと)

もう少し話したいところだったが、明朝9時から授業があるので早めにおいとまする。

 

3月15日samedi

アパートの前の桜は八分咲き。このごろずいぶんよい天気が続いたとはいえ、まだまだ風は冷たいし、マフラー、コートも手放せないのにちょっと変な気分。こちらの桜は日本の桜のような淡紅色のものと、もっと濃い紅色のものと2種類あるようだ。ちなみに今咲いているのは淡紅色の方で、濃い紅色の方はもう少しあとに咲く。

Supermarcheに行く途中、道を歩きながら、ふと窓ごしに猫と目が合う。白黒のぶちでエメラルドグリーンの瞳。ミャーと手で挨拶したら、みゃーと向こうも手をあげてくる。可愛い・・

猫を飼いたくて仕方ないのだが、日本に帰ったり、旅行等でうちを空けることが多いので今のところ断念している。

買い物の後、久しぶりに町をぶらぶらする。

Universite近くの本屋に立ち寄る。ここはシックな雰囲気で私の気に入りの本屋だ。

美しい装丁の本や写真集など眺めてまわるだけでも

楽しい。

日本の小説の翻訳本もけっこうある。川端康成、谷崎潤一郎、夏目漱石、大江健三郎、三島由紀夫、村上龍、村上春樹、小川洋子、吉本ばななetc...

小川洋子のちょっと乾いた文体ってこちらの人に受け入れられやすい気がする。

その他 俳句やZEN(禅)の本などもある。

Fujimori Asuka著「Nekotopia」が新刊コーナーに並んでいた。25才の若い作家。

 

3月14日vendredi

12時から和声。前回くらいから、過去の試験問題をやっている。

Carnavalのヴァカンス中の宿題だった92-93年のバス、ソプラノ課題をみていただく。

わりあいよくできており、今度はornementation(装飾)を入れてみましょうといわれる。

午後 伴奏法の授業でサンドリーヌとプーランクのフルート・ソナタの初合わせ。

2楽章の途中まで。2楽章はこの上なくメランコリック。

 

3月13日jeudi

しばらくうつ病で入院していた隣の部屋の住人が帰ってくる。彼女は昨年の秋からここに住み始めて、12月、私が日本に帰っているあいだに入院したらしく、私が1月の下旬に日本から帰ってきたときにはいなかった。

表情は随分以前より明るくなったように感じられるが、まだ薬を服用しているとのこと。

ここヨーロッパではdepression(うつ病)は非常にポピュラーな病気で、自殺してしまう人も多い。毎日灰色の雲が立ちこめる冬も原因のひとつかも・・フランスの友人にきくところによると、冬のあいだ精神安定剤や睡眠薬の消費量が一気に増すのだそうだ。

たかが天気、されど天気で、人間に少なからず影響を与えるものだと思う。

夜、ブリュッセルの王立モネ劇場でPierre Bartholomeeのオペラ“OEDIPE SUR LA ROUTE”(世界初演)をコンセルヴァトワールの先生や友達と鑑賞。(授業の一環)

オペラを観る前に、劇場の中を案内され、オケ・ピットや衣裳部屋、楽屋などを見学する。作曲家自身による作品の紹介、説明もある。

オペラはギリシア悲劇オイディプスを題材としたもので、音楽は非常に前衛的で難解だった。

一同バスでリエージュに帰り着いたのは深夜の1時近く。

 

3月8日samedi

フォルテピアノのレッスンを受けにブリュッセルへ。今日はハイドンのリートの伴奏。

最近、演奏会や生徒さんの発表会があったとのことで、部屋の中は花でいっぱい。ナルシスやチューリップ、バラ、胡蝶蘭など・・

私も日本にいた頃、演奏会の後は部屋中いただいた花束であふれ、花瓶が足りなくなるほどだった。

レッスンのあとお茶をいただきながら、しばしお話して、一緒にレッスンを受けた歌科の女の子と一緒に電車でリエージュに帰る。

 

3月6日jeudi

外出するとき、ふと見るとアパートの前の広場にある桜の蕾が開きかけている。連日の陽気のおかげで例年より少し早い気がする。

 

Coeur St.LambertでのConcert midi(昼のコンサート)へ。

Chantal BOHETSによるオール・ラフマニノフプログラム。

Barcarolle n。3 des sept morceaux de salon op.10, Variations sur un theme de Chopin op22,(初めて聴いたが、ショパンの有名なプレリュード20番ハ短調がテーマに使われている。30分に及ぶ大曲),

Polichinelle n。4 des cinq morceaux de fantasie op 3

休みなしでほぼ一時間。アンコールは

Domitrievのimpromptu27 no.1

 

彼女はここのコンセルヴァトワールのピアノ教授でもいらっしゃる。コンサート終了後、

舞台袖にご挨拶にうかがったら、あらーっと驚かれていた。この前の私の演奏を褒めてくださる。毎年1回ここで、オール・ラフマニノフ・プログラムのコンサートをなさっているとのこと。

Universiteの向かいのコピー屋で、たまっていた楽譜のコピーを90枚くらいする。ここは1枚0,03ユーロと安い。

つづいて、Mediathequeへ借りていたCDを返しに行く。今日もいくつかのCDを試聴してから、数枚借りる。

3月5日mercredi

Nちゃんと、「ネロとパトラッシュ」の舞台となったとされているアントワープ市南西の町、ホーボーケンへ。テレビアニメ「フランダースの犬」が小さい頃大好きだった私は、ここを是非一度訪れたいとかねてより思っていた。

観光案内所前に、ネロとパトラッシュ像がある。想像していたよりもはるかに小さい。

私のように「フランダースの犬」に感銘を受けて日本からここを訪れる人が後を絶たないらしく、観光案内所には.日本語で書かれたパンフレットや、本などが置かれている。

アントワープの大聖堂(ノートルダム大寺院)にはネロがクリスマスの夜、最後に対面できたルーベンスの絵「キリスト降架」がある。また出口前の小さなステンドグラスにはネロとパトラッシュが描かれており、「パトラッシュはネロのたった一人の友達でした」と日本語で書かれている。これはアントワープ観光局勤務で大変な親日家でいらっしゃるヤン・コルテール氏によって書かれたものだという。

ネロが葬られたという教会に立ち寄り、しばしの時間を過ごし、トラムでアントワープの町にもどり、昼食をとったあと、Rubenshuis(ルーベンスの家)へ。

ここは外交官としても活躍したルーベンスが1610年から5年間かけて築きあげたアトリエ兼自宅。サロンには貴重な自画像、2階の寝室には2度目の妻、エレンの肖像画もある。またイタリア・ルネサンス様式の庭園は、フランスの女王に依頼されて描いた有名な大作「マリー・ド・メディシスの生涯」(ルーヴル美術館所蔵)の背景になったとされている。

メイル通りをウィンドウショッピングしたあと、夕方Nちゃんと別れて、リエージュに帰る。

 

3月4日mardi

午後アントワープの友人のご夫妻のところへあそびに行く。1年余前、別の友人の誕生日パーティーで知り合い、それ以来よいお付き合いをしている。ご夫婦ともヴァイオリニスト。

美味しいtarte aux pommes(りんごのタルト)と紅茶をいただきながら、おしゃべり。ご主人は歌がお得意で、いきなりシャンソン“Comme d'habitude”(有名な“My Way”もともとフランスのシャンソンだったということを今日まで知らなかった)などを弾き語りで歌ってくださる。

私も途中から伴奏したり・・

夜はご夫妻と子どもたちとイタリアンレストランで食事。楽しいひとときを過ごす。

そのあと、別の友達、Nちゃんのところへ。

 

 

3月3日Lundi

試験が終わって、2日ばかりピアノを弾かなかったら、もう弾きたくなって、今日は自分の好きな曲ばかり、自由に気の向くままに弾く。

試験やコンサートのための練習ではなく、心の赴くままに弾くのは楽しい。

ショパンのプレリュード、ノクターン、リストのコンソレーション、ラヴェルの小品etc..何時間でも弾いていたくなるほど。

 

夜ヴァイオリニストの友人からtel。

ショスタコヴィッチのソナタをやらない?との誘い。彼女とはブラームスのソナタ3番も一緒に弾く予定。

        

 

3月2日dimanche

ベルギーで最も有名なCarnavalのひとつ、BincheのCarnavalへ友人らと行く。

ここのところずっと天気がよかったのだが、今日はあいにくの曇り空で雨が降ったりやんだり・・Ca,c'est Belgique!(これこそがベルギーだ)とこちらの人たちは言っていた。

 

まず、masque(仮面)の博物館を見学し、お昼を食べて、踊った後パレードを見る。

仮面をつけ、色とりどりの衣装をまとった人たちが、太鼓の音とともに、練り歩く。小さな子どもたちもいて可愛らしい。

 夕方雨がはげしくなってきたので、5時ごろにはBincheをあとにする。

 

3月1日samedi

演奏した日の夜はたいてい神経が昂ぶっていて眠られないのだが、昨晩もなかなか眠れず、明け方ごろからうとうとする。

目が覚めてもしばらくベッドでまどろんで(至福のひととき)、おそい朝食をとってから、部屋の掃除にとりかかる。試験中というのはどうしてこうも部屋が散らかるのだろう・・・

積み上げられた楽譜、CDの山、読みかけの本、手紙の束・・毎回あるべき場所に戻せばいいのに、練習を最優先にするので、どんどんすごいことになる。(しかし、ちょっと整理しようとして、昔の手紙や日記など読みふけってしまうということがよくある)

というわけで掃除のしがいがあった。午後にはすっかりきれいになってせいせいする。

夕方スーペル・マルシェに買い物に行く。(試験期間中は時間のかかる料理などしないので、買い物へもほとんど行ってなかった)何をつくろうかあれこれ考えながらゆったりと買い物するのは楽しい。

Grand nettoyage de printempsと題してありとあらゆる掃除用品の特売をやっている。春は大掃除の季節なのだ。日本では大掃除というと年末をイメージするが、こちらでは、長い冬が終わって、春をむかえるにあたって、掃除に精を出す。

花コーナーには黄色のナルシスやラヴェンダー色のヒヤシンスの鉢が並んで春の訪れを感じさせる。

Carnaval(謝肉祭)の休暇に入るので、皆沢山の食料をカートに詰め込み(その量たるや、ものすごい)レジは長蛇の列。こちらでは買い物は夫婦で車で来て、まとめ買いしていく人が多い。

私は独り身だし、車もないので、間違っても1リットルのミネラル・ウオーター6本まとめ買いなどできない。それでも何日分かの食料をまとめて買うので、かなりの重さになる。

私の住んでいるアパートにはエレヴェーターがなく、4階までたどり着いたときには息も絶え絶えとなる。以前買い物と洗濯を

一度にしたときなどはあまりの重さに死ぬ思いだったので、以来一度に両方というのはやめた。

しかし、この買い物とLavoir(コインランドリー)通いのおかげでかなりたくましくなった気がする。握力などかなりついたかも・・ピアノを弾くためには鍛えられてよいかもしれない。

 

2月28日vendredi

午後ピアノの試験。

まず、バッハのトッカータBWV914 ホ短調、を弾き(私はたいていバッハを最初に弾く)、続いてショパンのエチュードop10-4、それからモーツアルトのソナタKV300k(332)、最後にサン・サーンスのAllegro Appassionatoを弾いた。

今日は少し緊張していたが、思わぬ良い点(97点)をいただき、嬉しい。

 

試験の後、先生方と近くのブラッセリーで乾杯する。   

夜は友人らとご飯を食べに行く。もうすぐムール貝のシーズンも終わってしまうので、久しぶりにムール貝の白ワイン蒸しとフリットウという典型的ベルギー料理を食す。

それにしても演奏を終えた後の一杯、食事というのはなぜこうも美味しいのだろう。一種独特の緊張状態から開放されるからだろうか。

 

2月27日jeudi

今日もよい天気。コンセルヴァトワールへ行く途中、Jardin botanique(植物園)のある公園に寄る。 ジョギングする人、犬を散歩させる人、ベンチで読書する人々・・・

天気のよい日は皆、太陽を存分に享受する。

園内にある小さなアート・ショップでリエージュ生まれの画家ルドウーテの花の画集を見つける。有名な薔薇の絵の他にもカンパニュラやアイリス、アネモネなど、どれもシックな色合いがうつくしい。

コンセルヴァトワールのカンティーヌで昼食をとる。今日からピアノの試験がはじまっているので、友人たちが、「ピアノの試験はどうだった?」と訊いてくる。「まだ。明日なの」と答えたら、「Bonne chance!(幸運を祈る)」と言ってくれる。

 

 

2月26日mercredi

午前中lavoirで洗濯。ここの犬はいつも私の膝に乗りたがる。

午後からコンセルヴァトワールへ。休憩しながら夜8時まで練習。

 

 

2月25日mardi

春のような陽気。ピクニックに行きたくなるくらいの・・・しかし今日もコンセルヴァトワールで練習。

夜、salle 27(試験が行われる部屋)が空いていたのでそこで練習。

 

 

2月24日Lundi

午後WebernのClavier Trio OP22の初合わせ。拍子がしょっちゅう変わるので難しい。

 

2月23日dimanche

今日は夕方で練習をきりあげて夜ブリュッセルの友人と会う。

 

2月22日samedi

ここのところしばらくよい天気の日が続いている。今日もすばらしい陽気。ベルギーの冬は灰色の空が長いあいだ続く。だから天気のいい日はもうそれだけで嬉しい。

本当はどこかに行きたいところだが、ピアノの試験が近いので昼間は練習することにする。試験が終わったら3月のはじめにCarnavalの休暇が1週間あるので、そのときはどこかに行くつもり。

夜、スペイン人の知り合いのエンリケ宅でのソワレへ。招待客は7名。

トマトのマリネやチーズ、calmar(ヤリイカ)などいただきながらアペリティフを飲んだ後、大きな鍋に入ったパエリヤが登場し、皆歓声を上げる。

ムール貝や海老がふんだんにのっていて大変豪華。とても美味しかった。沢山よそってくれてお腹がはちきれそうになるまでいただく。なにしろすごい量で、皆に鍋が空になるまで帰さないよ、とエンリケがいたずらっぽく言う。

彼はサラマンカの出身で、サラマンカの美しい教会や、風景の写真を見せてくれる。

3月に一緒に皆で行こうという話になる。

12時過ぎまで楽しい時間を過ごす。 

 

2月21日vendredi

夜OPLのコンサート。今日はClaire-Marie LE GUAYがリストのピアノコンチェルト2番を弾くので楽しみにして出かけた。

相変わらず胸のすくようなあざやかなテクニック、色彩感あふれる音、ディミニュエンドの美しさ・・

アンコールはラヴェルの「鏡」から“悲しい鳥”。

静かな余韻が残る。

 

2月20日jeudi

午後rencontre avec Marie-Claire LE GUAYと題して彼女と話す時間がコンセルヴァトワールの生徒に与えられていたので、salle philharmoniqueへ行く。

コンクールに参加したときの話や今まで共演したオーケストラとのリハーサル等の面白いエピソードや色々興味深い話を聞く。日本にもリサイタルのためいらしたことがあるそう。

 

2月18日mardi

夜室内楽のクラスのAuditionがある。

私はモーツアルトのピアノ・クインテットを弾く。弾き終わった後、先生やオーディエンスからコメントがあるのだが、皆から褒められ、嬉しい。

 

2月17日Lundi

伴奏法のレッスンで、モーツアルトのオペラ「魔笛」の1幕を一気に初見で弾く。(70ページ余)

夜Place du XX aoutにある古い建物内の教室でLes ecoutes commentees d'oeuvres du repertoireの授業。“D'apres le livre des morts tibetaino” 、“ Divinite paisible” etc・・

効果音のようなものがずっと続き、どれを聴いても同じに聴こえる。前衛的すぎてよく分からない。

 

2月16日(日曜日)

いよいよ最終日。この日はClaire-Marie LE GUAY をソリストにむかえて、リストのピアノ・コンチェルト1番。そしてピアノ・ソロでDeux Legendesだった。(こんなにうつくしい“Legend de saint Francois d'Assise prechant aux oiseaux”を聴いたのは初めてだ)

まだ25才というフランスの若いピアニストだが、前評判どおり、テクニックがすばらしく、リストならではの華麗な技巧もかろやかにこなし、詩情も豊かで、音も美しく(特に高音の美しさは特筆すべき)素晴らしかった。

foyerにリエージュ・フィルと昨年7月に録音したCDがあったので購入する。間近で見る彼女は長い髪の素敵なマドモワゼルだった。

その後、ピアニストがかわって、室内楽、コンチェルト(モーツアルト15番)と続き、最後はリエージュ・フィルによるストラヴィンスキーのぺトルーシュカで幕を閉じる。

しかし、こんなに毎日コンサートに通ったのは初めてだ。

毎日来ているうちに顔なじみもでき、premier balcon席で隣だったマダムとはすっかり仲良くなった。私がコンセルヴァトワールの学生でピアノを弾いていると知ると、どこかで弾くときはかならず知らせて頂戴といわれ、必ずお知らせしますと約束してお別れする。

 

2月15日(土曜日)

ウィークエンドということで、朝からconference(講演)やconcert aperitifなどが開かれている。

私は午後3時からのコンサートに行く。

まず、Brigitte ENGERERをソリストに迎えてチャイコフスキーのピアノコンチェルト(オケはリエージュ・フィル)を聴く。聴く者を圧倒するようなスケールの大きい演奏。プロフィールを読むと、16歳でマルグリット・ロン・コンクールに入賞、つづいてチャイコフスキーやエリザベス王妃国際コンクールでも入賞歴を持ち、カラヤンに招かれ、ベルリン・フィルと共演し、フランス政府からのレジヨン・ドヌール受勲者とある。

演奏終了後、foyerで握手してもらう。

つづいて、4時からIsabelle et Florence LAFITTEによるデュオ・コンサートがあり、5時半からBenedetto LUPOをソリストにラヴェルの左手のためのコンチェルト。本来はサンサーンスの5番の予定だったが、彼が右手の手首を痛めたため、変更となったとのこと。目をつぶって聴いていると、両手で弾いているとしか思えない・・・素晴らしかった。

アンコールは、ラヴェルの“亡き王女のためのパヴァーヌ”

静寂よりも静寂を感じさせるとでもいえばよいのか、上質のベルベットのようにうつくしい演奏だった。

さらに6時半からGuy PENSONとSylvia BERNIERによるサロン的小品の連弾、8時からDaniel BLUMENTHALのピアノ、Quatuor Gongによるカルテットでドヴォルザークのピアノ5重奏曲op.81、LAFITTEDuoをソリストにプーランクの2台のピアノのためのコンチェルト。

コンサートとコンサートの合間には、人々はFoyerに集まり、演奏を終えたピアニストにサインしてもらったり、飲み物を片手に今聴いたばかりのコンサートについて感想を述べ合ったりと、そこはちょっとした社交の場と化す。

今回のような催しは初の試みということもあり、テレビ局は来ているし、パティスリーは特別にこのフェスティヴァルのためにピアノの鍵盤をかたどったお菓子をつくったり・・と町をあげてのお祭り気分といった感じだ。

 

2月14日(金曜日)

今日はSt.Valentineということで、この日のコンサートはプログラムも明らかにされていないsurprise concertだった。

Isabelle et Florence LAFITTEによるデュオで幕を開け、続いてDaniel BLUMENTHALによるジョップリンのラグタイム、Benedetto LUPOによるシューマンの叙情小曲集より“soir(夜に)”─夢のようにうつくしかった、そしてアルベニスの“Danse espagnole”これもまた遠い夏の日を懐かしむかのような素敵な演奏だった。

その後もClaire-Marie LE GUAYとBrigitte ENGERERによるRavelの“Ma mere roi”etc.・・・まさにピアノの饗宴といった感の夕べだった。

さらにコンサートが終わって、出口でチョコレートの嬉しいプレゼントもある。

その後、最近知り合った人と食事に行く。(最近やたらとお誘いが多い)

 

2月13日(木曜日)

この日はDana PROTOPOPESCUのよるオール・メンデルスゾーン プログラム。

Fantasie sur 《The Last Rose of Summer》op.15やAndante cantabile e Presto agitato en si Majeur ,Romances sans paroles(無言歌),Rondo capricciosoといったサロン的なプログラムだった。

曲のイメージに合わせたのか、ローズ色のドレスが素敵だった。

この日はさらに友人がForumというところでガーシュインのラプソディーインブルーをソリストとして弾くので友達と連れ立って聴きに行く。その後友人らと食事。私はあまり食欲がなかったので、SaladeLiegoise(リエージュ風サラダ)を頼むが、半分くらいしか食べられず。

 

2月12日(水曜日)

この日は16才のときエリザベス王妃国際コンクールで3位入賞暦を持つピアニスト、Jean-Claude VANDEN-EYNDENのリサイタルだった。 

1曲目はベートーヴェンのソナタn.18 op.31 n.3。安定感があって、説得力があり、素晴らしかった。つづいて、Franckの“Prelude,

choral et fugue”─ゆっくりめのテンポで、深みのある演奏。

ここで休憩が入り、2部はRavelの“Sonatine”、最後は“Gaspard de la nuit” オンディーヌが美しかった。 

 

2月11日(火曜日)

PM6時からsalle philharmonique de Liegeであるコンサートに行く。

エントランスには花壇が設けられ、ロビーにはいたるところに胡蝶蘭などの花、さらに普段はミュゼ・クルティウスに置かれているピアノPLEYEL(1901年製)が。クロークの人や案内嬢たちも中世風衣装に身を包み、華やいだ雰囲気。

この日はDiane ANDERSENによるリサイタルだった。

プログラムはベルギーの作曲家VREULS の“En Ardenne”やJONGENのPetite Suite pour piano op.75 など。

リサイタルの模様はダイレクトで、“Musique 3”(クラシック専門のラジオ番組)で放送される。ピアニストの紹介と曲の説明のあとピアニストがステージに現われ、弾く。

コンサートの後友人と食事。

 

 

2月10日(月曜日)

はブリュッセルである他のコンサートの招待券をいただいていたので、そちらの方に行く。メンデルスゾーンのピアノとヴァイオリンのためのコンチェルトを聴くのは初めてだったが、いかにもメンデルスゾーンらしいうつくしい旋律が随所にちりばめられ、ヴィルトゥオーゾ的パッセージもふんだんにあり、ソリストどうしが

腕の冴えを見せ合うというかんじで、引き込まれてしまった。

 

今週は“Festival Le Piano Roi”と題して月曜から今日(日曜)まで毎日salle philharmonique de Liegeでピアノのコンサートがあり、連日通い詰めた。

今年は5月から6月にかけてブリュッセルでエリザベス王妃国際コンクール(チャイコフスキーやショパンコンクールと並ぶ世界的コンクールのひとつ)ピアノ部門が開かれるということもあり、ピアノに関する催しが各地で行われ、ピアノ熱が高まっている。

 

2月9日Dimanche

今日はどこにも行かずに、部屋でピアノをさらったり、読書をして過ごす。

前にも書いたが、私はこういう休日の過ごし方が元来好きなのだ。外出するのも嫌いではないが、ときどきこんなふうに、

今日は家にずっといる!と決め込んで終日過ごす。

私は現在troisieme etage(日本でいう4階)に住んでおり、3階には医学生のジル、その隣には看護学生のアンヌが住んでいる。

アンヌの方は研修その他でほとんどいないのだが、ジルの方はけっこう部屋にいることも多い。私はコンセルヴァトワールの閉まる週末はたいてい自分の部屋のピアノで練習するので、「ピアノの音が気にならない?」と彼に聞いたことがあるが、「コンセルヴァトワールでプルミエ・プリ(1等賞)の人のピアノなら歓迎だよ。」と言ってくれている。

とはいえ、いつもショパンのノクターンのような静かできれいな曲ばかりさらうわけではないので、やはり気をつかう。あまりフォルテッシモで弾かないようにするとか、当然ながら夜9時以降は絶対弾かないとか・・・

ちなみに彼のお気に入りは、私が練習の合間に気まぐれに弾いたことのあるリストの“愛の夢”である。これはよっぽど気に入ったらしく、ドアのところまでやってきて、「その曲は何という曲?」と尋ねてきたほどだ。

彼もクラシックではないが音楽は好きなようで、ときどきものすごい大音量で聴いている。(ギターもときどき弾いている様子) 

毎朝彼の目覚めの音楽らしい変な音楽(何というジャンルなのかわからない)で、私も目が覚める。

練習に疲れると、読書する。季節がよくなると、近くの公園に散歩に行ったりもする。お気に入りは、以前住んでいたところの近く、outre Meuse(ムーズ川向こう側)のボヴァリー公園である。この公園にはうつくしいバラ園があり、初夏になれば、ボート漕ぎをする人や川ぞいを散歩するカップル、芝生であそぶ子供たち、家族連れなどでいっぱいになる。

また公園内にはmusee d'art moderne(現代美術館)もあり、日曜日にはときどきコンサートが行われる。

こちらに住む日本人の人からもらった文庫本は2度3度と読み、いい加減飽きてしまった。(誰か本送ってくれないかしら・・・フランス語の本を読めばよさそうなものだけど)

私は本と音楽、猫(あるいは犬)がいれば幸せという人間なのである。

「ベルギーの小さな旅」(文・玉井美子、写真・篠 利幸 東京書籍)という本を久しぶりに読み返す。 

この本は私がベルギーに行くことを決めたとき、一番最初に買った本である。 

文章も写真も美しく、いつ開いても豊かな気持ちにさせてくれる。あらためて、ベルギーの魅力を再発見させてくれる本である。

私の日記を読んで、ベルギーってどんなところかしらと興味を持たれた方は是非この本を読んでみて下さいね。

 

2月8日samedi

近所のパン屋にパンを買いに行ったら店の前でコンセルヴァトワールの先生に偶然会う。

近所のパン屋に出かけるだけだから、とほとんど寝起きの顔のままで出かけていたのでなんというか非常にはずかしい。相当あせっていたのか、「あの、ここで何をしていらっしゃるんですか?」と変な質問をしてしまう。(パンを買うに決まっているのに!)

先生「何か食べ物を買いにきたんだよ」(苦笑しながら)

さらにアパートの目の前の広場で、横断歩道を渡ろうとしたところ、クラクションの音。誰かしらと思って車に近づくと、またもやコンセルヴァトワールの別の先生が、「ボンジュール!」と窓越しにニコニコしておられるではないか。私もボンジュールと言って、さっきパン屋の前で他の先生に会ったことを言ったら、先生「ウーム、ヴォアラー リエージュ エ プティ!(うーん、そうだね、リエージュは小さいということだね!)」

今度から誰に会ってもいいように、近所であってもちゃんとした格好で外出しようと心に決める。

 

2月7日vendredi

Introduction a la sociologie generaleの授業でRoselyne BOUILLIN-DARTEVELLE著“Les concerts et leurs publics”Ivo SUPICIC著“Les fonctionssociales de la musique”などを読む。 

夜ブリュッセルの日本大使館広報文化センターでピアノリサイタルがあるので出かける。かねてから聴きたいと思っていたブリュッセル在住の日本人ご夫妻によるデュオ・リサイタルだった。

ショパンのスケルツォ、24のプレリュード、スクリャービンのソナタ9番(黒ミサ)、リストの“波の上を歩む聖フランチェスコ”、ショパンのソナタ3番というプログラムだった。

お二方とも、ブリリアントなテクニックはいうまでもなく、音楽的に非常に深みのある演奏で素晴らしかった。アンコールは連弾でラヴェルの“妖精の住む園”とブラームスのハンガリアン舞曲5番で大いに会場を沸かせていた。

同じ日本人がヨーロッパでこんなふうに活躍しているのを見ると、とても嬉しい。

会場で偶然、先日BJAの食事会で知り合った人に会い、コンサートが終わってから、食事をご一緒する。

彼はInstitut National de statistiqueに勤めているのだそう。おじいさまもお父さまも外交官でいらしたが、彼は3年ごとに住むところが変わる生活は自分には合わないと思って経済を選んだのだとか。

仕事で東京の駐日ベルギー大使館 大使公邸に1週間滞在したとき、中庭のプールで朝4時に泳いだ話や、(私も政府給費の試験のとき中に入ったことがあるが、エントランスにはグランドピアノ、美しいサロンからは芝生のひろがる中庭が見渡せ、とても素敵だった。そのとき面接官の1人でいらした大使は現在プラハにいらっしゃるとか)学生時代日本に1年半住んでいたときの話など色々興味深い話を聞く。

食事の後、ロワイヤル広場を通って、中央駅まで一緒に歩く。この広場周辺は“芸術の丘”と呼ばれており、王立美術館やアルベール1世王立図書館、楽器博物館などがある。

15分くらい夜の散歩を楽しんで、駅でお別れする。

 

2月5日mercredi

水曜日は午前中授業がないので、Lavoirに洗濯に行く。赤ちゃんを連れた若いママがいて(どうみてもマドモワゼルにしか見えない)乾燥機にかけた洗濯物をたたむあいだ、洗濯物かごに無造作に赤ちゃんを入れている様子がなんともかわいかった。

洗濯しているあいだ暇なので、目の前のスーペルマルシェに買い物に行ったり、本を読んだりする。先日フランス語と日本語で書かれた本を読んでいたら、ルーマニア出身で翻訳の仕事をしているという男の人に話しかけられた。日本語も少し勉強したことがあるとのことだった。

アパートに戻ると内田先生から、毛皮のマフラーが届いている。(先日私が並木屋にわすれたもの)はるばる日本から・・と思うと感慨深い。先生ありがとう・・

 

2月1日samedi

友人宅でキッシュと赤ワインの軽い食事をとったあと、ソワレへ。

すすめられて飲んだMoritoというキューバのカクテルがけっこうきつく、そのあとビールをこれまたすすめられるままに飲んでいたら2杯飲んだところで目の前がまわりだし、急激に眠気が・・・友達が車で家に送ってくれた(らしい。さんざん月曜日にコンセルヴァトワールでからかわれた)

というわけで、皆、朝の4時5時まで飲み、喋り、踊るつわものぞろいのなか、私ひとり早々にダウンし、踊らずじまいであった。

 

1月31日vendredi

12時から和声。今日は課題がよくできていたので、Bien!と言ってもらえる。 

その後夕方まで練習して、6時にアパートに迎えに来てくれたVivianeの車でブリュッセルへ。今日はBJA(Belgium-Japan Association)の新年会があるのだ。

高速を1時間弱走って、ブリュッセルに着き中央駅近くのパーキングに車をとめ、ギャルリー・サンテュベールをぬけて、イロ・サクレ地区にあるRestaurant Aux Arcadesへ。

日本の企業ではたらいているベルギー人や、ベルギーに住んでいる日本人など3、40名はいただろうか。かつて東京に住んでいたことがあるという人や(日本語をとても流暢に話す)、フランス人のご主人の転勤でブリュッセルに来て、ふたりともここが気に入って住んでいるという人や、以前サベナ・ベルギー航空のフライトアテンダントをしていたという人や、お父様が外交官の人(6カ国語話せる)etc・・多彩な顔ぶれ。飛び交う会話もフランス語、英語、日本語と国際色豊か。あなたのフランス語はaccent Liegois(リエージュのアクセント)ね、と言われる。日本で言うと関西弁とでも

いった感じだろうか・・・

まず日本酒がふるまわれ、そのあとワインなど飲みながらそれぞれが選んだメニュウをいただく。

私は前菜にcroquette de crevettes(小海老のコロッケ)、メインにSaumon a la sauce fine champagne(鮭のシャンパンソース)、デザートにmousse au chocolat(チョコレートムース)をいただく。これで15ユーロとは安いと思う。

11時過ぎにレストランを後にし、グランプラスを通って、ブラッセリーへ向かう。外はマイナス2度という寒さ。

夜のグランプラスはライトアップされ、相変わらず美しい。かのジャン・コクトーが“豊穣なる劇場”と言い、ヴィクトル・ユーゴーが“世界でもっとも美しい広場”と言っただけのことはある。ナポレオン3世に追われ、ブリュッセルに亡命したヴィクトル・ユーゴーがこの広場の東側に建つ“鳩の家”に一時滞在していたんだよ、と6カ国語話せる彼がおしえてくれる。

天井の高いブラッセリーでかるく飲んだ後リエージュに帰る。

 

1月30日jeudi

今日も雪。

夜 メゾン・ド・ラ・ライシテでaudition(ピアノのクラスの発表会)がある。

私はショパンのエチュードとモーツアルトのソナタを弾く。ドイツのピアノだと思うのだが キイによってタッチにばらつきがあり、少々弾きにくかった。

 

1月28日mardi

夜 練習を終えて外に出ると雪。

凍てつく寒さ。

ちょうどヴァイオリニストの友達が迎えの車をまっていたので私もアパートまで乗せていただく。

 

1月27日Lundi

伴奏法のレッスンで、Carl Bohmの“Still wie die Nacht”を弾く。

先生が、今度はドイツ語の歌詞を歌いながら弾いてごらんと言われ(今日は歌科の人と一緒ではない)試みるが、一生懸命文字を追っているうちに手は留守になり、先生の発音をひたすら真似してナックト、とかイッヒとか発音するのだが、Non Non(ちがう)と言われ、おもいきり大げさに発音するとやっとOKがでる。

続いてプッチーニのジャン二・スキッキ(私のお父さま)。先生は今度もニコニコと「イタリア語で歌いながら弾いてごらん!」 ・・・・・・

 

 

1月24日vendredi

12時から和声。冬の休暇中の課題3題をみていただく。1題はまあまあよくできていたが、残りの2題は休暇中に忘れてしまっている部分もあったりして、先生にオーララー(あらまあ)といわれる。

先生(マダム)は笑うときイヒヒと笑われる。それが私はなんともいえず好きだ。

夜OPLのコンサートへ。シューベルトの交響曲“未完成”とブルックナーの交響曲7番というプログラムで聴き応えがあった。

 

1月23日jeudi

今年になってはじめてのピアノのレッスン。

ショパンのエチュードとモーツアルトのソナタKV300K(332)をみていただく。

日本にいたあいだほとんどピアノをさらえずじまいだったので、指の筋肉が落ちている。 本当は1日でも休むと、とりもどすのにその倍かかるといわれている。バレリーナなどと同じで、毎日のたゆまぬ練習が欠かせない。

 

1月22日mercredi

電話の調子がおかしいので(かからない--電話料金はちゃんと払っているはずなのに)Belgacomの人に来てもらう。

Belgacomのおじさんは地下に降りて、しばらくごそごそ何かをいじって、「ハイ、じゃあ、かけてみて」というので自分の部屋にもどってかけてみると、ちゃんとつながる。どうやら電話料金ではなく、線の問題だったようだ。

 

1月20日Lundi 

午後室内楽の合わせ。(モーツアルトのピアノ・カルテット)まだ時差ぼけ気味なので少々つらい。しかし、廊下などで久しぶりに友達に会えて嬉しい。日本はどうだった?飛行機に何時間くらい乗るの?などと訊かれる。

 

1月19日dimanche

朝10時50分に発つはずの飛行機が機体整備のため4時間近く遅れて、午後2時30分すぎにやっと離陸。アムステルダムで乗り換え、ブリュッセル空港に着いたのは夜の9時近くで、そこから電車に乗り、リエージュに着いたときにはもう11時すぎだった。私は機内で眠れない性質なので、アパートに帰るなり、ベッドになだれ込むようにして眠る。 

 

1月18日samedi 2003

夕方の新幹線に乗り、新神戸へ。駅まで両親が見送りに来てくれる。

西宮北口で内田先生と落ち合い、並木屋というお寿司屋さんに連れていっていただく。とても美味しく、お酒も入ってご機嫌。

ベルギーに戻ったら、しばらくこんなに美味しいお寿司は食べられまい。先生ご馳走さまでした。

 

12月25日に帰国して、のんびりと日本のお正月を満喫した。紅白を見ておせち料理を食べ、着物を着て初詣に行き・・と典型的スタイルで過ごす。

お正月があけてからも、温泉に行ったり、友達と会ったりしているうちにあっという間に4週間過ぎてしまった。

 

12月23日Lundi 

今年の冬休みは日本で過ごすことにしたので(明日 ブリュッセル空港からアムステルダム経由〜関空の飛行機に乗る予定)

お土産を買いに行く。日本のお正月は2年ぶりなので楽しみだ。

街は今日もクリスマスの買い物をする人たちであふれている。カテドラル前にはスケート場ができて大人も子どもも楽しそうに滑っている。

毎年私も滑ってみたいとの思いに駆られるのだが、生まれてこのかたスケートをやったことがないので、いきなりこういうところで滑るのは無謀とあきらめる。

 

12月21日samedi

夕方マーケットに買い物に行くと、クリスマスの買い物をする主婦、家族連れなどでいっぱいの人。クリスマス・イヴには皆ご馳走を食べるので買い物にも力が入っている様子。              

フォアグラに七面鳥、ブッシュ・ド・ノエル(薪の形をしたクリスマス・ケーキ)etc・・・と売り場も豪勢に活気づいている。日本の正月前のような風情だ。 

夜 ベルギー人、日本人のご夫妻にクリスマスのディナーに招かれていたので出かける。 

美しくクリスマスのしつらえの施された部屋に通され、 シャンパンで乾杯したあとオードヴルにムール貝のガーリック、エシャロット風味、メインにポークのポワヴロン添え、ちらし寿司、デザートにプチ・ガトーとどれもひじょうに美味しく、ご夫妻と集まった数名の招待客とともにとても楽しい時間を過ごす。

 

12月20日vendredi

10時半から和声。課題をみていただく。

毎週2題くらいずつ宿題が出されるのだが、最近はChallan6に入ってさらに複雑になってきたので、1題終えるのに2時間くらいかかる。

今日コンセルヴァトワールは午後までで閉まりVacances de Noel(クリスマス休暇)に入った。

先生にJoyeux Noel et bonne fetes de fin d'annee.と言って別れる。

夜リエージュ・フィルのConcert de Noelへ。会場は沢山の人。

今日はオーケストラのメンバーも男性は赤い蝶ネクタイ、女性は赤いコサージュでおめかししている。

突然Pere Noel(サンタクロース)が出てきて指揮台にのぼり、指揮をしようとして会場を沸かせる。

  プログラムはBizetのCarmen Suite, RavelのTzigane pour violon et Orchestre, Saint-SaensのHavanaise pour violon et orchestre,Introduction et rondo capriccioso pour violon et orchestre, さいごにTchaikovskiのCasse-Noisette(くるみわり人形)。幼い頃読んだ、くるみ割り人形の物語を思い出しながら聴く。

幼い頃読んだ、あるいは読んでもらった物語というのはどうしてこうも鮮明に心に残っているのだろう。

 

12月18日mercredi

夜、Rocourtに先月オープンしたばかりの日本食レストランKyotoにベルギー人の友人らと行く。

席に用意されたキモノを皆そろって羽織っているのがなんとなく可笑しい。

料理は主に鉄板焼きで、味はなかなかだったが料理人が焼くときのパフォーマンスがやや演出過多という気がしないでもない。

 

12月16日Lundi

夕方ブリュッセルにコンサートを聴きに行くためにIC(特急電車)に乗ると、10分くらい走ったところで止まる。こういうことはけっこうよくあるので、すぐ回復するだろうと思っていたが、待てど暮らせど動く気配はない。

エンジン関係のトラブルらしく、再び動くまでに結局45分くらいかかった。

私と同席だったご夫妻は旅行に出かけるところで、シャルル・ドゴールから飛行機に乗るというので、非常に焦っておられた。

ずいぶん一緒に心配したが、ぎりぎり間に合いそうとのこと。Bon voyageと言って別れる。

コンサート開始時間から20分くらい遅れて会場に着く。ショスタコヴィッチのシンフォニーn。14,Op.135が圧巻だった。

 

12月14日samedi

朝 カフェでクロワッサンとカフェオレという典型的なフランス式朝食をとったあと、朝の街を散策して、午後ロダン美術館へ。

ここはかねてから訪れたいと思っていた。

16の部屋どれも素晴らしかったがなかでもとくに惹かれたのは第6室のカミーユ・クローデルの作品が並ぶ部屋である。作品の前に立つと彼女の叫びが聞こえてくるかのようだ。

夜再びシャンゼリゼを歩く。

凱旋門に登ってみた。コンコルド広場までつづく通りは宝石箱をひっくりかえしたような美しさ。

 

12月13日vendredi

パリへ。知人に冬のモン・サンミッシェルに誘われて出かけたのだが、寒いのでパリにいることにする。シャンゼリゼはクリスマスのイルミネーションでまばゆいばかり。

皆このうつくしい光に引き寄せられるように

して飽きることなく歩いている。

 

12月12日jeudi

16時からレッスン。この前からWebernのVariation Op.27に取り組んでいるのだが非常に難しい。古典、ロマン、印象派などはいままで比較的よく弾いてきたが、20世紀ものはいままでほとんどやったことがない。

まるでデビュタントのようになってしまった私に先生は苦笑している。

つづいてモーツアルトのソナタヘ長調KV300K(332)。こちらはトレ・ヴィアンと言われる。やはりこういうスタイルの方が好きだ。

それからドビュッシーのImage(映像)第1集からReflets dans l'eau, Hommage a Rameau, Mouvement.

先生はバッハとモーツアルト、ドビュッシーをこよなく愛する人で、これらの曲をレッスンに持ってゆくと、とてもご機嫌が良い。

今日もうつくしい和声のところを弾いてくださりながら“Que c'est beau ,Debussy!”(ドビュッシー、なんて美しいんだ!)と感に堪えぬようにおっしゃる。

 

12月6日vendredi

St.Nicolasの日(ベルギーには2度クリスマスが訪れる。12月6日のサン・二コラと12月25日のクリスマスである。サン・二コラの方は子供たちにとってプレゼントがもらえる楽しみな日。25日のクリスマスは家族で過ごす大切な日)

朝方寒いと思って起きて窓の外を見てみると粉雪がちらついていた。

12時から和声。今日は主にpratique(鍵盤の上での実践)をする。

 

12月5日jeudi

夜 リエージュ・フィルのコンサートへ。

今宵のプログラムはモーツアルトのレクイエムというだけあって観客がいつもにも増して多かった。

モーツアルトのレクイエムを生で聴くのは初めてだったが、やはりCDとは迫力が違う。

コンサートが終わってから、コンセルヴァトワール主催のソワレへ。フロアーを貸しきって、飲んだり踊ったりするというもので、秋の新入生歓迎や、2月のヴァレンタインデーなど、定期的に催される。朝の4時くらいまで踊りあかす人たちも多いが、私はとてもそんな元気はなかったので、AM12時前には会場をあとにする。

 

12月4日mercredi

夜 友人のアパルトマンに食事に招かれていたので、バラの小さなブーケを買ってゆく。

Boulevard de la Sauvenierにある彼女のアパルトマンは中庭を囲むようにコの字型に建てられたフレンチ・スタイルの素敵なアパルトマンだった。スイス出身の彼女は以前パリにも住んでいたことがあるそうで、ベルギーに来てからずいぶん探してここを見つけたとか。

とりわけ夏は中庭に花が咲き乱れてうつくしいとのこと。

招待客は約10人余り。彼女は歌科の学生なので、当然歌科の人が多く、あとはその人たちの彼など・・

アペリティフのあとは、2種類のソースのパスタ、デザートに彼女お手製のティラミス、と気取らないメニュウながらとても美味しかった。気の置けない友人たちと過ごすこんな夜はいいものだと思う。

 

11月30日samedi

 夕方買い物に出かける途中、石畳の道を歩いていると、どこからともなくカリヨンの音がきこえてきて─ヨーロッパで生活していると実感するのはこういうときである─鐘の音に誘われるように教会に入ってみるとちょうどミサがはじまるところでパイプオルガンがしずかに演奏されていたので、しばらく聴き入る。心が落ち着く。

 どんな小さな町に行ってもかならず教会があり、人々はミサに集う。あらためてカトリックの国だと実感する。

 教会を出ると、街はすでにクリスマスに向けて美しくライトアップされ、色とりどりに飾り付けられたショウウインドウを眺めて歩くだけでも楽しい。

Place de la CathedraleやPlaceSt.Lambert Place du Marcheにクリスマス・マーケットがきており、vin chaud(あたたかい赤ワイン)を片手に見て歩く人たちでいっぱいである。

 ヨーロッパの冬は暗くて寒く、長いが、移動遊園地やクリスマス市などたのしみも多い。

 

11月29日vendredi

 夜OPL(リエージュ・フィル)のコンサートへ。今日のプログラムはシューマンのManfred, ouverture op115、ショスタコヴィッチのConcerto n。1 pour piano, trompette et orchestre a cordes op.35 etc...

ソリスト(ピアノ)はアムステルダム生まれのRonald BRAUTIGAMという人だった。

 正確なテクニックに加え、エスプリに富んでいてよかった。

 コンセルヴァトワールの生徒はコンサートの前日までに予約していれば、無料でOPLのコンサートを聴くことができる。席はたいてい6階の桟敷席のことが多いが今日はbalconだったので音が聴こえてきやすかった。

 

11月28日jeudi

 Formation aux langages contemporainsの授業でアメリカの作曲家

Henry Cowellの曲をとりあげているのだが今日は彼の“Fabric”という曲をみてもらう。

 最初の授業のとき皆で一緒にCDを聴いてそのあと自分の弾きたい曲を選んで、しばらく個人レッスンの形式で先生にみていただき、仕上がったらauditionで弾くことになる。

 なかには、弦を直接指ではじく曲や“The Snows of Fujiyama”という日本の富士山をイメージした曲もあって興味深い。

 

 

11月23日samedi

 フォルテピアノのレッスンを受けるためブリュッセルへ。今日は友人のCと駅で待ち合わせて一緒に行く。

 彼はハイドンのソナタ、ベートーヴェンのvariationを弾いて、私はモーツアルトのアダージョ H moll KV540をみてもらう。

 ペダルがモダンピアノと違い、鍵盤の下にある。従って足で踏むのではなく、腿で上に押すのだが、慣れないうちはこれが難しい。

 また非常に繊細なので少しでも触れると音がでてしまうし、指づかいも、レガートの

パッセージのなかでは親指をできるだけ使わないようにしたりと(大きい音になりやすいので)神経をつかうのだが、繊細さゆえの美しさとでもいおうか、その音にはなんともいえない気品がある。

 

11月22日vendredi

12時からHarmonie(和声)。今日は課題がよく出来ていて先生に褒められる。

 パリのコンセルヴァトワールのprofesseurのHenri Challanによるテキストを使っているのだが、もうすぐ4冊目が終わるところである。バス課題よりソプラノ課題の方が苦手という人が多いが、私はソプラノ課題の方が好きだ。

 

11月19日mardi

夜 友人のリサイタルへ行く。モーツアルトのソナタ、バッハのパルティータ、ショパンのファンタジー、ドビュッシーの版画というプログラムだった。アンコールはプーランクのプレリュード“エディットピアフを讃えて”

よいリサイタルだった。

 

11月13日mercredi

 2002年カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した、フランス ポーランド合作のLe Pianiste を見に行く。監督はRoman Polanskiである。

ナチスによる強制収容所監禁を免れた 若きポーランドユダヤのピアニストがユダヤ人街で奇跡的に生き延びるという話なのだが、全体的に虐殺のシーンが多く、胸が悪くなる。

最後の方で廃墟の中でとうとうドイツ人将校に見つかるのだが、彼の前でピアノを弾くシーンが印象的。やせ衰えた身体で寒さに手を震わせながら、渾身の力を込めて弾くショパンのバラード1番は壮絶だった。

 

11月12日mardi

午前10時から音楽史上級の授業。今日は14,15世紀のイタリアの多声音楽についての講義。Ciconia, Philippus da Caserta, Paolo da Firenzeなど・・

 先生が概要を話され、いくつかの曲がかけられる。窓越しに見える木々の黄葉した葉が風に吹かれて舞い散るのを眺めながら、それらの曲を聴いていると、中世にタイムスリップしたかのような気分にとらわれる。

 昼 コンセルヴァトワールの中にあるカンティーヌ(学生食堂)で友達らと昼食。

昨年まではrepasとよばれる食事(スウプ、メイン、デセール)が日替わりのメニューであったのだが、今年からなくなったので、もっぱらサンドウィッチか、クロック・ムッシューである。

 PM4時からピアノのレッスン。今日はモーツアルトのピアノ・コンチェルト27番をもっていく。

 

11月11日Lundi

 Armistice(休戦記念日)。

朝 パンをきらしていたので近くのパン屋に買いにいく。クロワッサン・シュクレ(砂糖の入った甘いクロワッサン)とpetit pain(小さなパン)を買う。ベルギーのパンはとてもおいしい。とくに私のお気に入りはピストレとよばれるちいさな丸いパンで、見た目はフランスパンのプティ・ブールのようだが、外はカリッとして中はやわらかく、素朴な味わいながらやみつきになるおいしさである。

 おいしいパンとカフェの朝食のあとは新しい曲(ブラームスのトリオ)の譜読みをする。

 

11月10日dimanche

 日本人の友人の30歳の誕生日会にゆく。

今日のメニュウはM氏による鴨なべと牡蠣なべである。クレソンや白菜、シイタケ、豆腐、ビーフンなども入れて、非常に美味だった。

 シャンパンとともにいただくなべはまた格別。なべの後はケーキでお祝いする。

 

11月7日jeudi

 夜 友人とリエージュ・フィルのコンサートへ。今日のプログラムはチャイコフスキーのヴァイオリン・コンチェルト、ラヴェルのintroductionet allegro pour harpe, ドビュッシーのDanse pour harpe,牧神の午後への前奏曲だった。ハープの音色が夢のようにうつくしかった。

 

11月2日samedi

 今日も自宅でゆっくりと過ごす。室内楽でやる曲などさらう。モーツアルトのKlavierquartetteやシューマンのファンタジーシュトックなど・・。ピアノの曲ではリストのパガニーニ・エチュード、ベートーヴェンの32の変奏曲、ラヴェルのソナチネなど。

 どこかに行くのもよいが、どこにも行かずこんなふうに気ままに過ごす休日もまた捨てがたい。

 

11月1日vendredi

 Toussaint(カトリック 諸聖人の祝日)でコンセルヴァトワールがお休みなので、久しぶりにどこにも行かず、家でゆっくりする。

 

10月30日mercredi

 滞在許可証の延長手続きのため(年に一度)コミューンへ。今の時期は更新のピークで9時くらいに行ったのでは人があふれていて締め切られる、或いは何時間も待つ羽目になるので、早めに家を出て8時10分頃着く。

 受付カウンターで番号の書かれたチケットをもらい、あとはテレビ画面に映し出される番号を見て自分の番号になったら、示された窓口のところへ行く。番号が映し出される度にピンポンとチャイムのような音がするので、その度に皆本などから顔を上げて画面を見る。長く待っていると度々顔を上げねばならず、疲れる。今日はがんばって早く来たおかげで、そんなに待つことなく順番がきて手続きもスムーズにいったのでよかったが・・。窓口の人によっては、色々余計に書類をもとめられる場合もある。そんなときは一度で済まず、2,3回足を運ばなくてはならなくなったりする。ともかく今回は早く終わってよかった。(昨年はたしか3回くらい行った気がする。)

 

10月26日samedi

やっと雨があがり、気持ちのよい朝。カフェでクロワッサンとテ・オレの朝食をとった後、公園や通りを散歩する。雨上がりの公園は黄色に染まったマロニエがうつくしく、画家ならずとも思わずスケッチしてみたくなるほど。

リヴォリ道りのアンジェリーナでショコラ・ショを飲んでひと休みしてから、北駅に向かい、午後3時前のタリスでリエージュにもどる。

タリスは1996年に開通したフランス、ベルギー、オランダ、ドイツの4ヶ国を結ぶ高速列車で、パリ北駅からリエージュまでは2時間半ほどである。

リエージュに夕方5時半過ぎに着いて、休むのもそこそこに、Lorceというリエージュから車で20分余のところであるピアノリサイタルへ。会場はEgliseSaint.Georgesという教会で、入り口にはキャンドルの灯、ピアノの置かれた祭壇には紅葉した木の葉が敷かれ、秋の夜の演奏会にふさわしく、ロマンティックなムードを醸しだしていた。

曲もベートーベンの悲愴、シューマンのファンタジー Op.111、ブラームスの三つの間奏曲Op.177、ショパンのバラード4番というプログラムで、秋の夜長にふさわしいいい演奏会だった。

 

10月25日vendredi

カフェで朝食をとった後、モンパルナスにある小さなミュゼ、Zadkine美術館にY氏と行く。中庭にはいくつかの彫刻、館内には彫刻の他にグアッシュなどの作品がある。

2階のbureauに通され、館長のマダムChabertと会う。この日はあいにくの雨だったが、そのおかげで、窓から見える中庭の紅葉した木々の葉がひときわ美しく、そう伝えると、そうですね、とてもpoetiqueですね、といわれる。

私は、中庭にひっそりとたたずむmelancolieという彫像に強く惹かれる。

ミュゼをあとにして、14区にお住まいのあるコレクターの瀟洒なアパルトマンを訪ねる。部屋に通されると、むせるほどのカサブランカの香り、部屋はいかにもパリの典型的なブルジョワのアパルトマンといった感で、天井が高く、クラシックな調度品に混じって、中国のオブジェなどがさりげなく置かれている。ルドンやマリー・ローランサン、ミロなどの絵が無造作に置いてあり、隣の部屋にはロダンの彫刻まであったのには驚く。

アパルトマンをあとにしてルーヴルの中にあるカフエテリアで軽く昼食をとった後、グラン・パレへ。移動するときは、Y氏の運転手がその度に来てくれるので、とても快適。いつもならメトロで移動するところだが・・

グラン・パレでは今マチスとピカソ展をやっており、着いてみると3時間待ちは必至であろうというほどの長蛇の列ができていた。

私はY氏と一緒だったので、別の入り口からすぐに入館することができたが。

マチスとピカソは互いに認め合い、作品を求めあってさえいたというが、この展覧会では二人の似たような作品が意識的に並べられており、描かれた年も近いことに気づかされる。絵画の時代の流れということもあるだろうが、お互いに多大に影響しあっていたということであろう。

「もし私が、私の描くように絵画を描かないとしたら、ピカソのように描きたい」とマチスは言っているし、ピカソのこんな言葉も残っている。

「誰も私以上にしっかりと、マチスの絵を見る人はいないだろう」

「二人のどちらかがこの世を去った時、残った1人は“誰にも決して言えないこと”を持つだろう」

グラン・パレでY氏とわかれて、私は5区のカルティエ・ラタンのマダムN宅を訪ねる。

彼女は二日前、旅行先のスイスから帰ってきたばかりというのもかかわらず、歓待して下さる。初めてお会いしたが、ご主人も温和でやさしい方だった。たのしくお話しているうちにすぐに3時間くらいたってしまう。

シャンゼリゼ界隈にもどり、中華レストランで食事。

 

10月24日jeudi

11時すぎのタリスでパリへ。シャンゼリゼ

近くに私の友人の知り合いで画廊のオーナーのY氏がいて、その人に会いに。今はニューヨーク在住の日本人作家のexpositionをやっていた。

夜はギャラリー・ラファイエット近くのtheatre MOGADORでOrchestre de Parisのコンサートへご一緒に。プログラムはハイドンのシンフォニーn.78, ベートーベンのヴァイオリン・コンチェルト ニ長調Op.61でソリストはVadim Repinだった。このコンチェルトは40分余ある長いコンチェルトなのだが最初から最後まで圧倒的なテクニックと音楽性とで聴衆をとらえて放さなかった。彼のRubyという名のストラディヴァリウスの音色の美しさを何といって表現したらよいだろう・・・とりわけその高音のうつくしさは官能的ですらある。

コンサートの余韻にひたりながら極上のワインとともに食事。

 

10月21日Lundi

伴奏法のレッスンで、今日はR・Straussno Zueignung Op.10 no.1、G・Pucciniのラ・ボエームから第3幕のアリアをやる。

だんだんとMaiteとの呼吸も合ってきて、見なくても合うようになってきた。先生はいちいち見る必要はないと言われる。聴くこと、感じることが大切なのだ。その人のフレージングや息づかいなどを・・

レッスンの最後に弾いたとき、それができてトレビアン!と言われる。

 

 

10月16日mercredi

Parc d'Avroyに移動遊園地がきている。

毎年秋になるとやってくる。あつあつの焼き栗やgaufre(ワッフルのこと。ベルギー名物 国民的おやつ)を片手に歩く家族連れや若者でにぎわう。ジェットコースターやゴーカート、お化け屋敷にメリーゴーランド・・と何でもある。やたら回転するアトラクションが多い。来たばかりの年にこれに乗って失神しかけて以来、乗り物には乗っていない。観覧車は唯一私の乗れる乗り物だが、2年に一度なので今年は来ていない。私はオープンスタイルのこちらの観覧車が好きなのだが・・・はじめて乗ったのはたしか8年前ブザンソンでのフランス語語学研修のかえり、パリのチュイルリー公園でだったと思う。

コンセルヴァトワールからアパルトマンにもどる帰り道、暗闇にぽっかりと浮かび上がる遊園地を横目に見やりながら、ふと不思議な感覚にとらわれる。異次元の世界に迷い込んでしまったかのような・・

 

10月14日Lundi

伴奏法のレッスンで今日初めて歌科の学生Maiteと合わせる。ベッリー二のCAPULETI E I MONTECCHI、 R・シュトラウスのMORGENなど。彼女はソプラノ・リリックで、 先日ブリュッセルにある王立モネ劇場でプッチーニのオペラ ラ・ボエームのミミ役をつとめたほど上手い人である。

ソロでピアノを弾くのも好きだが、合わせものはやはりたのしい。しかし難しい。奥が深い。

日本では伴奏者はまだまだ地味な存在と受け取られがちであるが、ヨーロッパではaccompagnateur(accompagnatrice)は非常に高く評価されている。

 

10月9日mercredi

ブリュッセルへT氏とご一緒に。在ベルギー日本大使館のT氏、I氏とイロ・サクレ地区にあるレストラン、Aux Armes de Bruxellesで昼食。

poissonのスウプ、オマール海老のサラダ、舌平目のクリームソース、デセール・・と美味しいお料理をご馳走になる。(普段粗食に徹している私の胃はびっくりしているに違いない)

食事の後大使館にもどって少しお話した後、ブリュッセル南駅からT氏はパリ北駅ゆきのタリス(新幹線)に乗られるのでここでお別れする。

 

10月8日mardi

昼、ロータリークラブの例会へ参加するためT氏とPalais des congresへ。こちらのロータリアンの方々にT氏をご紹介する。そしてバナー(各ロータリークラブの所有する旗)の交換をする。T氏はDr.でありアフリカでのポリオワクチンの接種等中心になってされてこられた方であり、こちらのロータリアンの方たちは非常にあたたかく歓迎してくださる。

例会の後は、コンセルヴァトワールにご案内し、私のピアノの教授、校長先生とお会いになる。その後街へ。カテドラル、Universite de Liege、オペラ座、PlaceSt.Lambert、旧市街などご案内し、夜 Vieux Liegeというレストランへ。このレストランはミューズ川沿いにある16世紀の建物のおもむきのあるレストランである。ちょうどジビエの季節がはじまったところで、ギャルソンのすすめる鹿料理をいただく。肉はやわらかく、赤ワインとカシスのソースとからまって非常に美味だった。

 

10月7日Lundi

WHOを訪れるためジュネーヴにいらしたロータリアンのT氏がリエージュにいらっしゃる。19時すぎ、駅までお迎えにゆき、私の親しくさせていただいているこちらのロータリアンのご夫妻のお宅でディナー。

シャンパンで乾杯し、白ワイン、chevreのfromage入りのサラダ、ワーテルゾーイ(ベルギーの名物料理のひとつ 鶏肉の入ったクリームシチュー)をいただく。話ははずみ、瞬く間に時間が過ぎる。

 

10月5日samedi

午後 フォルテピアノのレッスンを受けに

ブリュッセルへ。中央駅からバスに乗り、Square des Latinsにある先生のお宅へ。

サロンには1823年ウィーン製のワインレッドのフォルテピアノ、フランス製のクラヴサンがある。先生がまず、モーツアルトの幻想曲ニ短調を弾いてくださる。

現代のピアノにはない繊細で優雅な音色、静かにゆっくりとすぎてゆく時間・・・

それからシューベルトの「楽響の時」から‘Plaintes d'un Troubadour’シューベルトはとてもtimideな性格で、大きなホールでのコンサートよりサロンコンサートを好んだとか。

私はハイドンの変奏曲へ短調を弾く。鍵盤がモダンピアノにくらべてはるかに軽く、幅も幾分か狭く、コントロールするのが難しい。しかし弾いていてなんともいえず優雅な気分になり、私はいっぺんにフォルテピアノの虜になってしまった。

 

9月30日Lundi

楽しみにしていた伴奏法のレッスンが始まる。先生に何か一曲弾いてみて、と言われシューベルトのリートAn die Musik(楽に寄す)を弾く。“Tres bien! Vous etes douee de la musique.”と言われる。

そのうち歌手と合わせるのだが、今のところは先生が歌いながら、教えてくださる。

息つぎのタイミング、母音と子音のときの合わせ方、ドイツ語、イタリア語等・・学ぶことは沢山ある。

今年は、シューマンのリーダークライス、ヴェルディーのオペラ‘La Traviata(椿姫)’全幕、 弦、管の曲、オラトリオ、さらにchoixの曲2曲をやることになった。楽しみだ。

 

9月29日dimanche

友人らと“Le voyage de Chihiro”(「千と千尋の神隠し」)を観にいく。宮崎駿監督の映画はこちらでもとても人気があるようで、観客席はほぼ埋まっていた。

私は彼の作品の熱狂的ファンというわけではないが、ファンの人の気持ちは分かる気がする。

 

9月27日vendredi

夜Salle Philharmoniqueへコンサートを聴きに行く。この日のプログラムはラフマニノフのピアノコンチェルト2番という秋にふさわしい曲である。指揮はAlexandreDmitriev、 ソリストはNicolas Angelichであった。

あのドラマティックな冒頭から聴衆を惹きつけ、2楽章ではラフマニノフ特有の甘美なメロディーで酔わせ、3楽章で華麗なるテクニックで圧倒し・・・素晴らしかった。

アンコールはモーツアルトのピアノソナタKV300hの2楽章。心にしみいるうつくしさであった。

 

9月25日mercredi

夜 リエージュ大学院で哲学とロマンス語、ロマンス文学を勉強している日本人の友人KちゃんとRue des guilleminsにある中華レストランFeng Lingで食事。この人は鎌倉出身で私と同じ2000年夏にやはりロータリー財団国際親善奨学生としてリエージュに来た人である。彼女は先日修士号を取得し、この秋から博士課程にすすむ予定である。

彼女とゆっくり会うのは久しぶりなので、話が尽きず、料理も美味しく、よい時間を過ごす。

 

 

9月24日mardi

10:00amから音楽史上級の授業。20世紀のベルギーの作曲家について。こちらの先生は黒板にほとんど書かれないので、生徒たちは先生のおっしゃることを速記者のようにノートに書いてゆく。私はよく頑張っても彼らの半分から3分の2くらいしか書けないので、あとでこちらの友達にノートを借りてコピーさせてもらう。来て間もない頃は彼らの達筆なフランス語を解読するのがまた大変であった。最近でこそそれにも慣れ、すぐに読めるようになったが・・

9月23日Lundi

室内楽のクラスのReunion。今年からフォルテピアノのクラスが開かれるので、受講するつもりである。当時のスタイルでシューベルトなど弾いてみたい。

 

9月19日jeudi

ブリュッセルへ用事で出かけたついでにAv.Louiseにある日本食レストラン田川で昼食をとる。ここに来るのは初めてだが、駐在員の日本人ビジネスマンに混じってベルギー人もけっこういる。夜は高くてとても手が出ないが、昼のメニュウは比較的手ごろな値段でおいしい日本食が食べられる。この日のメニュウは鮭の親子丼だった。

夕方Av.des Artsにある在ベルギー日本大使館に寄って借りていた本を返却し、ここで働いていらっしゃるIさんと話をする。来年くらいに、大使館にあるサロンでコンサートということになりそうだ。

 

9月16日Lundi

今日からコンセルヴァトワールの新学期が始まる。といっても、最初の週はReunion(会合)が主であり、楽器や和声等の個人レッスンは先生とレッスンの曜日や時間を決めたり、音楽史やアナリーゼ等の講義は授業の説明があったり、自己紹介したりする。

久しぶりに先生や友達に会って、まずする話題は「ヴァカンスはどうだった?」である。太陽をもとめて南仏やスペインに行く人が多く、皆たいてい日焼けしている。

ヴァカンスの後、bronzeである(日焼けしている)のがステイタスとばかりに、皆かなり熱心に焼くようだ。

 

 

9月15日dimanche

リエージュ大で日本語を学んでいるベルギー人の友人たちと日本映画“Hush”を見に行く。ハシグチリョウスケ監督、出演者はタナベセイイチ、タカハシカズヤ、ツグミetc

 日本映画を見るのは本当に久しぶりだ。昨年も北野武監督の“Aniki-Mon frere”や今村昌平監督の“赤い橋の下のぬるい水”、ベッソンの“WASABI”などきていたようだが、結局行けずじまいだったので。(一般の映画館の他、ブリュッセルにある在ベルギー日本大使館広報文化センターでも1ヶ月の一度くらいのペースで日本映画を上映しているようである)

 しかし聞こえてくるのが日本語、字幕はフランス語というのは妙な感じだった。

宮崎駿監督の“千と千尋の神隠し”(フランス語では“Le Voyage de Chihiro”)も近々公開予定である。

 

9月12日jeudi

短かった夏が終わろうとしている。朝夕に吹く風はもう秋のもので、空気も澄んできてこの夏から秋へかわる一瞬というのが私のもっともすきな季節である。

 今日はすばらしい快晴で(ベルギーではうす曇の日が多く、こういう日は稀である)人々は公園やカフェのテラスでゆったりと時を過ごしている。ゆく夏を惜しむかのように・・。

 夜コンサートへ。

プログラムはLouis Langree指揮によるBeethovenの

Leonore L' ouverture, Tripre concerto pour violon violoncelle et piano

et orcestre, Symphonie n.3 ‘Heroique’

ソリストはヴァイオリンがNing KAM、チェロがDavid COHEN、ピアノがVitali SAMOCHKOである。

 ヴァイオリンのNing KAMは昨年ブリュッセルで行われたエリザベス王妃国際コンクール2位受賞者である。シンガポール生まれの26歳で、今勢いにのっているヴァイオリニストの1人だ。

 ベートーヴェンのトリプルコンチェルトはあまり演奏されることのないコンチェルトだが、ヴァイオリン、チェロ、ピアノがまるでいきいきと会話しているような素敵な曲であった。

 

9月9日Lundi

コンセルヴァトワールで練習。(学校が始まるのは9月16日からなのだが、登録手続きや入試のために開いている)

 久しぶりにスタインウェイのグランドピアノを弾くと、やはり音色、タッチがすばらしく、弾いていてたのしい。時間が経つのをわすれる。

 私のアパルトマンに置いているのは、古いPLEYELというアップライトのピアノ(―あるマダムがかつてパリで買って、いまでは弾かなくなってしまったというのでゆずっていただいたもの)なので、譜読みや指ならしくらいをするには問題ないのだが、本格的に弾きこむ段になるとやはり物足りないので、コンセルヴァトワールでさらうことにしている。

 今さらっている曲は―

メンデルスゾーンのVariations serieuses op.54, シューベルトのSonate op.posth.143 D784, バッハのPartitaUBWV826, フランクのPrelude,Choral et Fugueなど・・

 譜読みが終わって、曲のかんじが掴めかけてきた頃がもっともたのしい。

時間をわすれて弾いていると、surveillantのLucが「時間です」とやって来る。彼はたいへんな親日家で、合気道をやっている。日本に何度か行き、内弟子として岩間のstageに参加し、サイトウモリヒロ(9段)、ヒトヒロ(6段)両氏の薫陶を受けている。

合気道をはじめ、空手、柔道などは、身体だけでなく、精神力、集中力を養うものとしてこちらでは非常に人気があり、少年たちが道場に通う姿もよくみられる。

 

9月7日samedi

この日は今シーズンのリエージュフィルのConcert d'Ouverture(オープニングコンサート)があるので午後から出かける。

Orchestre Philharmonique de Liege(OPL リエージュフィルハーモニックオーケストラ)のホールのある建物は、コンセルヴァトワールと同じ敷地内に背中合わせのように建っている。レッスン室へと続く廊下にあるドアを開けると、まるでどこでもドアのように絢爛豪華なステージが出現するのだ。どこまでも高い天井、桟敷席、赤いビロード張りの椅子・・・とさながらオペラ座のようなつくりである。

プログラムはWeberの Le Maitre des esprits,ouverture en re mineur op.27からはじまり、BeethovenのEgmont, BerliozのReverie et Caprice romance pour violon et orchestre op.8 etc...

 なかでも、VieuxtempsのBallade et polonaise en sol majeur op.38 pour violon et orchstreにはひときわ大きいブラヴォーの声が上がっていた。Vieuxtempsはベルギー生まれの作曲家、ヴァイオリニストで、ロマンティックな名曲の数々をのこしている。

ベルギー出身の作曲家(演奏家)は他にセザール・フランク、E・イザイ、G・ルクー、J・ジョンゲン等がいる。(特にセザール・フランクは現在私が住んでいるリエージュの出身

ということで、彼の作品を耳にする機会は多い)心地よい余韻にひたりながら家路に着く。

 

 それにしても、オケで弾く人たちの素敵なことといったら・・・次生まれ変わったら、オケでヴァイオリンを弾くのが私の夢である。オケを聴くたび、羨ましいのは、皆でひとつの曲をつくりあげることができるというところだ。

ピアニストというのは室内楽や伴奏等をのぞくと孤独なものであるから・・。

 

 

 

9月1日(dimanche)

友人の誕生日パーティーに招待され、ワインとケーキを持って行く。リエージュ大学の研究室に勤めている日本人のM氏は料理が玄人はだしの人で(調理師免許も持っていらっしゃる)ヤキトリ、寿司(サーモンの巻き寿司、イクラの軍艦巻きなど)、美味しいものを沢山つくって下さる。寿司は大人気。

 Bon anniversaireの歌を皆でうたって、ケーキを食べたあとはダンス。(こちらの人はほんとうに踊るのが好きだ)私は踊りは全くダメなので、チョコレートボンボンなど食べながら話をしていたら、さっそく連れていかれる。彼は熱心にステップの説明をしてくれるのだが・・・われながらおそるべきリズム感のなさ。そのうちダンスを習いに行こうと決意。  

 

8月23日vendredi

午後歯医者へ。虫歯というのではないのだが、かぶせ物がとれたのを放っていたので。

 こちらに来て間もないころ、虫歯になってしまったときは恐怖だった。辞書(仏和、和仏)を胸のうえにのせ、必死で先生のおっしゃることを理解しようとするのだが、専門用語など分かるはずもなく、ただひたすら、あまり痛い思いをしなくてすみますようにと祈るばかりであった。今でこそ治療のあいまに世間話などもできるようになったが。

先生とは、ロータリアンの知人宅でのサロンパーティーで私がピアノを弾いたときが最初の出会いであり、それ以来のおつきあいである。先生のお宅が私のアパルトマンからすぐ近くということもあり、ときどき昼食などに招待して下さる。

 

8月22日jeudi

 友人ふたりと シタデル(城砦)で有名な町ディナンへ。

電車でまずナミュールまで行き、乗り換えて30分ほど。(リエージュからナミュールまでも約30分)

ディナンは‘ムーズ河畔に開けた絵のように美しい町’と評されるように、橋の向こうに岩山と渓谷がつくりだす景観はさながら絵葉書のようである。

 まずロープウェーで頂上へ。高さ100メートルの城砦からの眺望はすばらしく、数キロ先まで見渡すことができる。城が築かれたのは1050年であるが、現在あるのは19世紀のものであるという。17世紀から19世紀にかけてフランス、オランダ、ドイツに占領されてきた。約40分にわたってガイドの説明を聞きながら銃弾跡や、ギロチンなどを見てまわる。

印象的だったのは爆弾で傾いた第1次世界大戦の塹壕を再現したもので、傾いているというだけでまっすぐ歩けないどころか車酔いのような状態になってしまった。

 つづいてノートルダム教会へ。ステンドグラスが天井から床までと非常に大きく、また手が込んでいて圧巻。横にいた紳士がフランス語で色々説明してくれる。

 

 午後は友達のひとりが、近くの学校でヴァイオリンのマスタークラスを受講するので見学。私はピアノのクラスも見学する。 

 ある男の子がベートーベンのピアノコンチェルト(ハ短調)をもってきていて、2楽章のあまりのうつくしさに感動。

 

8月21日mercredi

友人から夕食に招待されていたのでPM8時ごろ行く。

メニュウはアントレに赤ピーマンとズッキーニのサラダ、メインはracletteというスイス料理だった。

これは各々が小さいおもちゃのようなフライパンにチーズを入れ、その上にスライスしたオニオンやらサラミやらハムをのせて真ん中に置いてある電気調理器にのせてあたため、チーズがとろけてきたところをとり、(ここのタイミングが大切)自分のお皿によそってあつあつのポテトとともにいただくというもので、日本でいう鍋のような感覚で楽しい。ワインもすすむというもの・・・デセールはフルーツポンチとアイスクリームそして最後に日本茶。(招待してくれた私の友達のご主人は日本人)

食後は音楽にあわせて歌ったり踊ったりと楽しくすごす。

 

 

8月18日dimanche

 ブリュッセルの王宮Palais Royaleへ行く。(私の住むリエージュからブリュッセルまではICという特急列車で約1時間10分)

 王宮は現在国王の住居とはなっていないが、国賓館として利用されており、夏の間だけ一般公開される。

 かつてはブラバン公爵の館だったが1731年の砲火で焼失し、1904年レオポルド2世がルイ16世風の建築様式につくりかえたものである。

 中は絢爛豪華――まばゆいばかりのシャンデリア、贅を尽くした調度品の数々・・

素晴らしいのひとこと。なかでも私は黒檀のピアノとうつくしいハープのある部屋―Le Salon Louis XVIに魅かれる。

 宮殿の南側には広大なロワイヤル公園が広がる。そこでしばし休憩。

 その後久しぶりにグランプラスへ。

小便小僧の像の前は今日も黒山の人だかり。この小便小僧(別名petit Julien)世界中から衣装を送られ、今や世界一の衣装持ちであるとか。しばらく小さな店々をひやかした後ダンドワのティールームでワッフルに舌鼓を打ち、再びグランプラスへ。

今日は花の絨毯の最終日ということもあり、多くの人々が花壇を囲んでいる。花は強い日差しでしおれかけていたが夜9時すぎからライトアップされ、‘sons et lumiere’―音と光のショーがはじまり、あまりの美しさに皆歓声を上げる。花の絨毯は隔年なので次回見られるのは2004年の8月ということになる。

また見られるだろうか。

 

 

内田先生の依頼により日記を書くことになりました。はじめに簡単に自己紹介いたします。(内田先生の日記に時々登場していたようなのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが・・ちなみに カナ姫というのは先生の命名です)            

 Profil

 4歳よりピアノを始める。数々のコンクールで入賞。14歳のときオーケストラと初共演。1996年神戸女学院大学(文学部総文です)卒業後ソリストに抜擢され、ハンガリーのコダーイ弦楽四重奏団、サンクトぺテルブルグのニューフィルハーモニック弦楽四重奏団テレマン室内管弦楽団等と共演。1998年スイス、パリでマスタークラスに参加。

1999年ロータリー国際親善奨学生に選ばれ、2000年10月よりベルギーリエージュロイヤル コンセルヴァトワールに留学。

2001年4月、2002年2月ウェジモント城で開かれた演奏会で演奏。6月にはMuseed'Ansembourgにてリサイタル。

  

 こちらに来て1年間は日記をつけていたのですが、2年目に入ると日々の練習etcに忙殺され、書かなくなってしまっていたので約1年ぶりに日記を再開することになります。