そうめんひと束を完食できた日に

こんにちは。伊地知紀子(いぢちのりこ)と申します。内田樹先生に凱風館で合気道と杖道を教えていただいています。

金の切れ目は縁の切れ目、とよく耳にしたものですが、胃の切れ目は何だろうとふと考え始め、この度、内田樹先生がH Pの中に開いておられる長屋へ入室をお願いしました。
「切れ目」と「切り目」は文字通りに異なるだけではなく、「れ」と「り」が呼び起こす力のかかり具合は違います。
そんな、どうでもいい、けれどもなんだか捨てては置けない日常の些細な事柄について、徒然に綴ってみようと思い立った次第です。
そういう契機は、実は何度か自分に訪れていたのですが、ただ見送っていたんですよね。
自分でWEB上にブログを開設したりするのは苦手ですし、読んでくださいね〜とお知らせするのもなんだかな〜というところ、内田先生の長屋を思い出しました。内田先生、O Kくださり誠にありがとうございます。
長屋にふらっとやって来て住まうというのは、「お侍さん、いつから此処にお住まいで?」という、時代劇でよく見るシーンのようで親しみが持てます。

胃の切れ目は、2024年2月5日に私の身体にできました。胃がんになり、胃の3分の2を切除したんです。
切除したのは、消化器外科で執刀担当の医師ですが、胃を直接カットしたのはダヴィンチという現時点で最新の手術ロボットです。
もちろん、私はそのことを術前の説明で聞いており、術後にも「予定より2時間も早く手術が済みました。うまく縫合もできましたよ」とおっしゃる執刀医の声に「そうですか」と応えました。
でも、切った部位も見ていないし、手術用ホッチキスで残部を縫合したところも見ていないし、あの胃はどうなったんでしょうね〜、と呼びかけても、もうきっと身体は変化し続けていて、あの時を見ることはできないんですよね。

手術から約2ヶ月が過ぎました。この間にも、微細でいろんな変化が起き続けています。
かといって、じーっと自身を見つめるなんて飽きっぽい私には無理なんですが、それでも「へ〜」という出来事があります。食べることについてが大半ですが、退院直後にびっくりしたことの一つは、そうめんひと束を完食できなかったことでした。
あんなちょろっとしか量のない、以前なら二、三口で平らげた束を食べきれないなんて、一体どういうことやねん、と自分につっこんでしまいました。そして今日、術後初めてそうめんをひと束全部食べられたんです。
Netflixで「We are the world」制作ドキュメンタリーを見ながら食べたからでしょうか?ちょっとびっくり。だからどしたん、というようなあれやこれやは次回以降ということで、まずはご挨拶まで。
どうぞよろしくお願いいたします。